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第四五四回('13年6月23日 放送)
 「参院選まで、もう2週間」
 ゲスト: 森喜朗 氏 / 渡部恒三 氏

御厨

「『死んだら遺骨をロシアに分骨する』と既に親族の方に言い遺すほど森さんはロシアに思い入れがおありになるわけですけれども、今回の安倍総理のプーチン大統領との会談をどのようにご覧になっていますか」

「ええ、まあ会談、『今回の会談』って言うべきですね、連動し合うことがとてもいいことだと思っています。だからそのためには、前にロシアを訪問された時に、ある程度多くの問題提起を沢山してあるわけですよ。ですから、それから、また今年あと2回くらいは会えますよ。プーチンと安倍さんは。2回か3回は会えるはずですから。その時その時に初めから『久しぶりです』『やあどうも』って話じゃなく、『さああの時、ウラジミールのあの時の話、私はこう思うよ』っていうぐらいにして、『次まで考えとこうね』っていうテーマにしていったほうがいいと思うんですね。ですからね、タイミングはとてもよかった。

それからいよいよこの次官級も動き出すんですが、ロシアもね外務省、政府は動きが悪いんです。昔からそうなんですよ。それから日本もそうなんですよ。日本もね、何が何でも4島返さないとだめだという人たちと、やっぱり妥協してでもいい方向へ持って行こうという人たちと、役員の中にあるんですよ。ですが、今いい方向に解決しようよって人たちが中心で安倍さんを支えてるんだと思いますね」

御厨

「なるほど。渡部さんはこれをどのような風にご覧になりますか」

渡部

「これね、国民のみなさんに知ってもらいたいんですけれども、あのヒットラーがねモスクワを攻めた時、日独伊同盟をやって『日本もやってくれ』って。しかしね、日ソ不可侵条約というものがあるから、日本は一切それに加わらなかったのよ。ところが、あの太平洋戦争、日本がもう負けた、戦争終わった、その後入ってきて、あの北方4島を取られたんですね。こういうことは世界の歴史にあまりありませんよ。

僕がいつもいま言ってるのは、アメリカね、あの鳩山くんがしくじったけどね、あの沖縄、あれは世界の歴史の中で、戦争によって奪われた領土を戦争に寄らずして返したのはあのアメリカの沖縄だけなんですよ。だからね、軍事基地の問題なんかでね、鳩山くんは歴史知らないでねすぐ『引き揚げろ』なんて言って恥かいちゃったんですがね、考えると、やっぱりこれからアメリカとロシア、日本にとって大事な国ですけど、やっぱり北方4島の問題はちゃんとしてもらいたい。だから、森さん頑張って下さい」

「その『ちゃんとしてください』ってのはどうしたらいい?今の恒三先生の話を聞いてると、ロシアのヤツはひでえやつだと。ソ連当時ね。だから勝手に入ってきて取ったというね。あの時、いま仰ったように、56年にはまず2つ返すということを言ってる。それから、あの時『それをもらっちゃいかん』と言ったのはアメリカなんです。

つまり、あの時は米ソの冷戦時代ですね。で、日本もソビエトは仮想敵国で、ソビエトは1番悪い国だってみんな思ってた。あるいは日ソ時代ですね、今は違うんです、日露時代ですね。だから『あの時のことは許さないから、4つ返すまでは絶対だめだ』という言い方も、私はひとつの意見だと思う。で、それをやってたらいつまでもこの問題は終わらない。

だけどもうひとつは、ロシアと日本はものすごく近い関係にある訳ですから、このエネルギーをうまく使って、両国のためにも世界のためにもやるっていうのであれば、どこかでやっぱり妥協しなくてはいけないのかもしれませんね」

渡部

「これはね、参考までに森さんに申し上げますがね。まあ私が政治の中枢におった頃、金丸さんが実力者で、あのチムニー油田から天然ガスや石油が出て、ロシアが日本に買ってもらいたいってことで。あの時は、1兆円くらいかかるって言ったかな。あのチムニー油田から日本にパイプを引くっていうのは。あれ、もう一歩って言う時、なんか色んな意見があってまとまらなかったんだけど、おそらくロシアはね、あのチムニー油田の油、天然ガス、日本に買ってもらいたいんだと思うんですよ。その辺とこお考えになって」