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過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 
第四四九回('13年5月19日 放送)
 「何だかイロイロ…」
 ゲスト: 増田寛也 氏 / 浜矩子 氏

御厨

「なんとも急な円安の進行ということになりますが、浜さんはどういうふうに捉えておられますか」

「そうですね、この円安の進行ということに関して言えば、ひとつ今、お話に出てました生活圧迫と言う面がありますし。それは別に個人だけじゃなく企業も実は輸入コストが上がるという問題があって、それをなんとか相殺してコストを抑え込もうとすれば、企業は実は賃金を抑えていかなくてはいけないということになるかもしれない。という大きな落とし穴がこの円安政策にはあるわけですけれども、それはそれとしてですね、この102円台突入というふうな見出しもあります。

これはちょっと既にして円安が危険水域に私は入ってきたんじゃないかと思いますね。どんどん、これはむしろ囃して円安というよりは円がいつ紙屑になるか分からないから、ちょっと円からは逃げておこうという、円からの逃避の動きもちょっとでてきていると、いうふうに思います。

ですからこの調子でいきますと、本当に経済の力学から言えば何の根拠もない歯止めなき円安の中で、為替市場が大混迷に陥っていくと。いう、ちょっとその兆しが早くも見えてきたっていうことではないかなと思いますね。

チーム安倍としては、これをすごく『どうだ!』っていう感じで言っている風情を示しているわけですが、彼らも内心はちょっと心配になってきている面もあるかもしれない。というか、彼らに物事が分かっていれば、この辺で心配し始めるところだと思いますけれども、そういう非常に多くの問題を含んだ市場の展開になっているという感じだと思いますね」

御厨

「増田さんいかがですか」

増田

「この自動車業界なんかは大変、今、収益を上げているわけですけども。それは要するに為替の変動によって出てくるものでですね。実態が何か変わっていると言うよりは、さすがに70何円台とか80円台前半はあまりにも円高過ぎたんでしょうけれども、90円くらいで競争できるくらいの基礎体力をつけた、そこまで努力してやってたと思うんですよね。

ですから、私は円高があまりにも急激だというのも大変企業にとっては厳しいし、経済にとっても厳しいけれども。ここまであまりにも急激にですね、振れると半年で20円もですね、安くなるっていうその急激さと。それから、そのことがとりあえず輸出企業にとっては収益を上げるんですが、何かまだある問題点を覆い隠すような形になりはしないかというですね。何かこの本当に変えなければならないところをみんな覆い隠すようになるんではないかということと、それから、これからおそらくあれだけ金融緩和したんで、円安にさらに振れていくと思いますが。一体どこの水準っていうか、どこのあたりが着地点として良いのかね。

今言ったように、色んな輸入について、非常に今、特にエネルギーなんかがですね、輸入は大変苦労してるわけですから。ですから、リーマン前120円くらいの時ありましたけども、どこまでいったらこれが落ち着くのか、落ち着かせることが出来るのか、そういった意味でも心配になりますね」