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第四四一回('13年3月17日 放送)
 「春に思う」
 ゲスト: 塩崎恭久 氏 / 浜矩子 氏

増田

「TPPですが、総理がみずから記者会見を開いて、そして交渉への参加を正式に表明をするということになりました。まず塩崎さんから、このTPPへの参加のメリット、これをどのように考えておられるのか。このあたりから口火を切っていただきたいと思います」

塩崎

「今回、我々最後に総理に対して申し入れを決議としてしましたが、これをまとめるのに本当に苦労したのは、情報がほとんどない中で議論しないといけなかったと、こういうことなんですね。ですから、そのメリット、デメリット、いずれも推測の域を出ませんけれども、しかし大事なことは、恐らく安倍総理が決めるのに当たって一番大事に思ったのは、やはりこれはこの地域のルールを、秩序をどうやってつくっていくのかと、誰がつくっていくのか。そして、やはり中国という新興勢力が大きくなってきている中で、アメリカ、そしてアジア大洋州の中で、中国を見据えた上で新しい秩序をどうつくるか。これをやっぱり日本が入らないで秩序をつくられるわけにはいかないという。

そして、日米の同盟関係の中で、この秩序づくりをやっていくという、そこのあたりがやっぱり一番私は大事な判断材料だったんじゃないかなと思うんですね。ですから、これは安全保障の問題でもあるし、そして日本がどこまでスタンダードセッターになれるかということになるんじゃないかなと思うんですね」

増田

「なるほど。このTPPについては,浜さんもあちこちでいろいろな意見を言っておられますけれども、まずその点について、浜さんはこのTPPをどのように考えておられますか」

「そうですね、塩崎さんが今ルールづくりという言葉を使われましたけども、このTPPというもの、そしてより一般的に世の中で自由貿易協定と言われているものが、そもそも自由貿易のルール違反だというふうに私は思っています。WTO(世界貿易機構)というものがあって、その枠内で全方位的にお互いに分け隔てなく、差別することなく貿易を自由化していきましょう。これが、戦後においてそういう約束事を世界的にしたわけですね。それは、戦間期の保護貿易戦争、ブロック経済主義というものへの大いなる反省のもとに、そういう体制をつくったわけで。

にもかかわらず、それと非常に逆行するというか、保護主義的なところに戻っていく地域限定的な貿易のやり方をしようという、このやり方は非常にまずいと思います。だから、日本が通商の分野でスタンダードセッターになりたいと、これも塩崎さんはおっしゃいましたけど。のであれば、こんなこそくなことはやめようよと、もう一度WTOの原則に立ち戻ろうではないかとアメリカを叱咤するぐらいのことを示してもらうべきところではないかと思いますね」