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第四〇七回('12年7月15日 放送)
 「これは『ピンチ』か『チャンス』か」
 〜新民主の進むべき道〜
 ゲスト: 仙谷由人 氏 / 武村正義 氏

御厨

「この新党『国民の生活が第一』。これ、仙谷さん、どういうご印象ですか」

仙谷

「だれも反対できないスローガンですから。党名もですね。『国民の生活』というふうにいったときに、今日だけの国民の生活なのか、あしたも、1年後も3年後も5年後も10年後も、あるいは子供たちも国民ですから、子供たちの10年後、そのときの生活なのか。

国民の生活というのは一番大事だけども、そのためにはガバナンスが必要だったり、安全保障が必要だったり、あるいはどういう産業をこれから起こしていくことが必要だったりという、サプライサイドのほうにも、ある程度力点を置かないと、何かべたべたの現実の今日の生活を守るために消費税に反対するとか、今日の生活のためには全然負担がかからないようにするみたいな、こういうイメージになってくると、政治ではなくなるんじゃないかというのが、私がこのごろ感じて申し上げていることなんですよね 」

御厨

「なるほどね。武村さん、どうでしょう」

武村

「反消費税とか脱原発とか、それから3年前の民主党の公約である『国民の生活が第一』。この言葉を聞いていると、何か後ろ向きだなという感じがしますね。反消費税と言うなら、じゃあ、一体この国の赤字をどうしてなくしていくの、その対案はあるのと。脱原発と言うなら、再生エネルギーをどういうテンポで着々とこの国に広めていけるのと、そこを語ってほしいですね。

国民の生活が第一というのは、どの党にでも、共産党にでも通用する言葉であって、全然こんなもの、政党の政治理念を表現した言葉とは思えない。私に言わせると、平凡な、どこにも通用する言葉であって、それをなぜ党名にするのか。それは3年前のマニフェストのこだわり以外にないんで、すべてが後ろを向いていて、前向きのフレッシュな、パワフルな雰囲気を感じさせないのが残念ですね 」

仙谷

「マニフェストの件も、だんだんだんだんマニフェストを守ることが第一だという」

御厨

「そういうふうになっていますね」

仙谷

「抽象化して言うと、マニフェスト教条主義みたいになるんですが、08年09年マニフェストをつくったときからは時代状況は大きく変わっちゃったというのは大変なことだと思います」

御厨

「おっしゃるとおりですね」

仙谷

「その問題は後に置くとして、こういう言い方をすると、小沢さんにけんかを売るような感じになってよくないんだけど、暫定税率をもうやらないというので、このマニフェストをまず破ったのは小沢幹事長だったわけですから」

御厨

「そうですね」

武村

「あ、そうだな」

仙谷

「あんまりマニフェストマニフェスト、マニフェストを守らないから野田はだめなんだということをおっしゃられると、僕なんかものすごい違和感がありますね」