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第三八九回('12年3月4日 放送)
 あと一週間で「3・11」
 〜あれから1年。まだ、政治は変われないのか
 ゲスト: 藤井裕久 氏 / 石破茂 氏

御厨

「石破さん、この会談のねらい、ずばり何でしょう」

石破

「新聞に出る極秘会談ってあんまり聞いたことがない(笑)」

御厨

「極秘じゃなかったんですね」

石破

「何で出たかってこともありますけれども、私は、あったかないか知りませんよ。私、見てもいないし。だけど、総理と野党第一党の党首が話をするっていうのは、当然あるべきことだと思います」

御厨

「そうですね」

石破

「そして税と社会保障、あるいはTPP、あるいは沖縄の普天間基地の移設。国難にどうやって対処するかというときに、総理と野党第一党の党首が話すのは当たり前のことであってね。それは小沢さんに対する牽制とかいろんなことあるでしょう。だけど、そういう瑣末とは言わないな、そんなことよりも、この国難に何だったら協力できるという話をしたんだというふうに思うべきだし、これから先も会うべきですよ。そして何なら一致できるんだということで、最後の審判は国民の皆様方がなさるんだということで、これまた政治家の理屈であれこれ考えちゃいかんですよ」

御厨

「なるほど。さあ、藤井さん。野田総理の指南役としてこれはどういうことか、ちょっとご説明いただけますか」

藤井

「私も、2人ともそんなのはないと言ってるから、一応信用しますけれども、何らかの相当な意思の疎通があったことは間違いないと思うんです。なぜならば、その後の党首討論で全く呼吸が合ってるんですね」

御厨

「そうでしたね」

藤井

「それはそういうことを連想させて間違いないと思いますし、僕は、いま石破さんのおっしゃったとおりだと思うんですよ。動かないという政治は全くよくないし、動かすということは大事だと思います。党首討論の中の話はまたあったかもしれませんが、解散の話については0増5減はやりましょうと、それが第1番だということも言いましたね」

御厨

「はい」

藤井

「これは一つ正しいと、私も思っております。それから消費税については谷垣総裁が、それは方向として正しいということも言っておられますね。そしてもう一つ、あえて指南役でも何でもないんですけど、野田さんの言った中に『51対49でもやる』。これは大変な言葉なんです。今の石破さんのお話のようにだれの牽制ではなく、やることはちゃんとやるという意思表示は、総理大臣の意思表示というのは、過去においてもすごい意味を持ってると思うんです」

御厨

「そうですね」

藤井

「これだろうと言ったということは、私は評価します」

御厨

「なるほど。小さい話だというふうに出ましたけど、それでも政局的に見ると消費増税を小沢さんがずっと反対し続けているという、これに対する危機感というのは、これはどうでしょうね。石破さん、やっぱりある」

石破

「それは、それなりの数を小沢さんは率いていますからね。で、反対反対と。自民党も一緒になって反対ということになると、法律は通らないわ、不信任は通っちゃうわみたいなことが起こるわけですよね」

御厨

「そうですね」

石破

「やはりそこは牽制というよりも、そんなことは許しませんよという姿勢は鮮明にしておかなきゃいけなかったんだと思うんですよ。ただ、いま世論調査でもやってみると、いつかは消費税を上げなきゃいけないけれど、今のやり方は納得できないよという方が多いのは何でなのかというと、消費税を10にしますと、それがひとり歩きしているんで、いやそうじゃなくてと、どうやって社会保障というものを改革していきますか、どうやってこのデフレを脱却していきますか、そしてどういうような政府と国家の姿を目指すんですかと。

そういうことが見えないままに、どんどんどんどん『消費税を上げたから全部片づくと思うなよ。増税路線まっしぐらだ』と言われちゃってるんで、こうなるわけです。で、小沢さんがそれに力を得るわけです」

御厨

「そうですね」

石破

「そうじゃないんだよということを、きちんと覚悟をする。消費税10%と言い出したのは自民党ですから」

御厨

「そうですよね」

石破

「そうであるならば、その環境整備をどうしますかということについては話し合うべきでしょうよ」

御厨

「そうですね」

石破

「そして、その審判は国民にしていただくという当たり前のことなんであって、これを政局じゃなくて、やっぱり、あるべき像というものを両トップがちゃんと話をする。私は、いいことだと思いますがね」

御厨

「藤井さん、いかがですか」

藤井

「世論の中の世に言う知性派という人は、よくやってくれたと。私は、やったかどうか知りませんけどね。よくやってくれたと言う人がほとんどなんですよ。それは要するに、政治が動いていないということに対する批判だと思います。私は、そのご批判は正しいと思っておりまして、少なくとも意思の疎通が行われたことは事実だし、そこで進む姿が出てきたのも事実だと思います」