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第三七七回('11年12月4日 放送)
 「さあ、12月。突入、消費税政局。どうなる野田総理」
 ゲスト: 藤井裕久 氏 / 野中広務 氏

― 増税論争について…

御厨

「まあ、藤井さん、消費税の陣頭指揮をとっておられるわけですけれども、この動き、ずばりどうごらんになりますか」

藤井

「まず、消費税の問題って非常に重要な話だと私は思っているんです。いま南ヨーロッパで起きているような事態は十分日本にも考えられる。つまり、これからどんどん社会保障は伸びてきます。仕組みですからね。でも、その裏をなすのがやっぱり借金だけじゃだめだと。借金だけふやしていきますと、結局国債の値段が落ちる。国債の値段が落ちると国債の金利が上がる。それは国債だけじゃなくて、日本経済全体の金利が上がる。それが経済にマイナスだと。

もう一つは、国債を持っているのは9割が日本の金融機関だ。これがそういう国債を持っていることによって壊れると。金融機関が壊れる」

御厨

「うん、そうですね」

藤井

「そうすると本来血液であるはずのものが壊れてしまえば、なかなか経済がうまくいかないと。こういう問題であって、これは議論はすべきだと思います。いろんな議論があっていいと思いますが、政局になるのは本当は残念なことだと私は思っています」

御厨

「なるほどね。野中さん、どうでしょうか。党が2分されるとか、小沢さんがまた揺さぶっているんですけれども、これはどうごらんになりますか」

野中

「まあ、党の代表もやめて、いま裁きの庭にある小沢さんが、そういう中でやっぱり自分の存在感を示すためにいま最大の問題となっておるこの消費税や、あるいはその他の増税について発言をして、世間の注目と党内のやっぱり世論を自分に注目さすという、小沢さんらしい、私は発言だと、そう思うんですよ。

だから小沢さんが、自分が今までと同じように民主党内で大きな力を持ってるんだ――そばにおった人ですからこの人よく知っとられるけれども(笑)――そしてそれほどきれいな道を歩んできた人かということは、知れる人は知っていますから、私は犬の遠ぼえだと。私は、野田総理は、今向かっておる日本のこの金融の、あるいは国民負担の現状、社会保障の現状に正面からぶち当たっていこう、そういう気迫を持ってやってるんじゃないかと。

だから国民の消費税を上げますというのは、なかなか総理としては、世論が喚起していかないうちに、総理が「私がやります」という、そういう発言はなかなか難しいことですよ。だけどこの人は、法律は通して、税はかけないで、選挙はその後になんですから、だから国民にはいわゆる消費税が法律として通っても選挙のときには国民はその痛みを感じない。消費税は一番、毎日腹が立つほど痛みを感じるんですから、そういうことを読み込んでやってる、なかなかしたたかな人じゃないかなあと、そう思いますね」