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第三七一回('11年10月23日 放送)
 「激動する世界の中で」
 〜私たちは今、何を選ぼうとしているのか〜
 ゲスト: 前原誠司 氏 / ジェラルド・カーティス 氏

御厨

「前原さん、交渉ですからそれぞれの立場があるとは思うんですけれども、日本にとって、この関税を原則ゼロにする、そういう仲間に入るという、このことの意味は何なんでしょう」

前原

「プラス面、マイナス面、両方あると思います。例えばTPPではありませんけれども、EUの関税は車でいうと10%、液晶テレビでいうと14%。で、韓国はアメリカのみならずEUとももうEPAを結んでまして、サムスンの製品は14%かからない、ヒュンダイの自動車は10%かからないということになるわけですけども、日本の場合はEUとも結べてないということですから、その得意な分野においては関税は低い、あるいはゼロのほうがいいと。

逆に言うと不得意なところ、入ってきて関税が出るまで大変だと。例えばお米は778%が関税率ですし、コンニャクに至っては1706%の関税率ですので、そういう意味においては農産物中心に高くて守ってきたところをゼロにしたり、ゼロに近いものにすると、これはもう壊滅的な影響は受ける。

ただ、それに対する対応策をどうするかというところが、先ほど申し上げた抜本的な対応策だと思います」

御厨

「カーティスさんに伺いたいのは、アメリカにとってこの関税ゼロの意味ね、これは何なのかということと、この問題と中国との関係というのは何か関係していますか」

カーティス

「関税ゼロというか、できるだけこのグローバリゼーションの時代には、やっぱりバリアフリーの貿易をするのが自分の国の利益につながるという考え方ですよね。で、世界がもっと自由になれば世界全部が繁栄するというのが、アメリカ人の多くの考え方だと思うんですよ。ですから、TPP、TPPでもう日本では騒いでるんだけれども、ある意味でTPPの問題ではなくて、日本が今の世の中でいろんな国との経済関係をもっと拡大するんだったらどうすればいいのかという、その議論が必要なんですよね。

ですから、僕は日本の農業にしてもね、もっと自信を持ってもいいと思うんです。昔ね、サクランボのことで、アメリカのチェリーが日本の市場に自由に入れたらサクランボ産業が全部だめになると言ってたが、全然そうならない。米だって、自由にほかの国のお米が入れても、やっぱり日本人は米のおいしさを一番わかってる国民だから、ほかの国の米が来てもね、値段が何倍も高くてもね、やっぱり日本の米を食べたい。

あとは日本の米を外国に輸出する、こういうことは十分ありますよ。今、中国でも買ってる人もいますもん、果物とか。そういうような日本の農産物でも、ちゃんと抜本的な改革をしてやれば、その中で輸出もふえるし、輸入に対しての競争力も結構残る可能性は大いにあると思う。だからもっと日本人は自信を持って、もっとこの市場をオープンにすれば国がもっと繁栄する、僕はそう思ってます」