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第三七〇回('11年10月16日 放送)
 「小沢元代表とTPPと復興補正と」
 ゲスト: 野中広務 氏 / 増田寛也 氏

御厨

「とにかくこれは突然なんですね。普通の定年は60歳です。ですから、68というとそれまでの8年間どうするのという話に実はなるわけですね。こういう話が突然ぽっと出てくる。これ野中さん、背景を含めてどういうふうにごらんになりますか」

野中

「私は、政治家が今の政局の変遷に目をとられて、そして全くそちらに目が行ってないときに役人の悪さがぱっと出て、こういう間隙を縫ったんじゃないかなと、こう思うんですね。しかし、それは天下りをやめたり、ようやく取り戻したけれども、事務次官会議をやめたり、そういう役人を敵視してきた小泉内閣以来の混乱が、ここにこういう間隙を縫って、そしてある意味において爆弾を仕掛けた役人の悪さじゃないかなと、そんな気がしますがね」

御厨

「なるほどね。増田さん、これは51歳が分かれ目なんですよね。要はそれ以下の年齢の人は60歳からもらえると思ってずっと払い続けていた。そしたら突然68歳、こういう話なんですよね。こういうことってやっぱり国民は怒りますよね」

増田

「定年後の雇用確保策というのはものすごく重要であり、なおかつ難しい問題ですよね。そこをどうするかということをやはりきちんと出さないといけないんで、じゃ、今そういう策が何かありますかと。私は同時というか、むしろそれをきちんといま示すというか。定年後じゃなくてまさに50代から60代にかけての雇用確保というのは非常に難しいわけですね。ですから、そこの議論が一方でやられているかというと、とてもそうは見えないわけで、私はこれはあまりにも唐突感で、むしろこういった議論をするんであれば、その全体のバランスを見るというのが政治家の役割だと思います」

御厨

「そうですよね。自民党政権だったらつぶれちゃうような話だと思うんですけども、野中さん、定年を延長するとか、そっちのほうの話が先であって、不景気でそれが進まないから、じゃ年金のほうでやるかというのは、何かすごく安易なような気がしますが、どうでしょう」

野中

「いや、もうね、みんながほんとに現在の雇用関係を真剣に考えて物事をやってるような感じがしないんですよ。定年60歳でやめる。天下りはいけない。そしたら、今もとに天下った人はそのままおれる。そして、その後からやめた人は行くところがない。こういうことで、得する人と行き先のない人とが大変多く出てくるし、役人は物を考えますから、一たん民間みたいな機構にやって、それからすっと戻してくるという、いろんなことを考える。非常に暗い部分がこれから出てくるんじゃないかなと、こういうように心配しますね。

もっと国民にわかりやすい状態で賃金のカットも、あるいは定年の問題も、天下りの問題も。雇用問題というのは一番大事ですから、そういうことを安心できる基本をやっぱり政治の中に植えつけるんだということを目標にして、やってほしいと思いますね」