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第三六一回('11年8月7日 放送)
 「『8月のヤマに』〜原爆投下から66年後の朝に」

 ゲスト: 武村正義 氏 / 浜矩子 氏

御厨

「武村さんはこのニュースをどうごらんになりますか」

武村

「私はこのニュースは新聞の扱いよりももっと大きな出来事だと思っているんです。いい意味では、自公と民主が大妥協をした一つの大きい見本を示したなというふうに思います。だから、自民党も公明党もよく頑張ったし、それから民主党の岡田さんや玄葉さんもよくここまで腹を決めたなという意味では、むしろ拍手を送りたい」

御厨

「なるほど」

武村

「で、どっちも相当大幅に譲歩していますから、大きな矛盾を抱えていますが。でも一番本質的には今もおっしゃったように、金のない借金だらけの日本国が、毎月、子供を、それは社会が育てるというスローガンのもとに毎月すべての子供に2万3000円も金を出す。あればいいですよ、悪い話じゃないです。全く金がないのに借金して出すと。その借金は子供や孫が返さなきゃなりませんからね。何でそんな非道徳なことを公約に掲げたんだと。そこに本質があると思うんですね」

御厨

「なるほどね」

武村

「ところが民主党はもう、ここはきっぱりマニュフェストの反省をすべきです。今でもマニュフェストのことにこだわる意見がありますが、それはもう自信を持ってお母さんたちは頑張ってほしいなと。で、民主党がマニュフェストの大幅な見直しをして、再出発を早くしてほしいと思いますね。そのきっかけにこの子ども手当がなってほしいと私は思います」

御厨

「浜さん、いかがでしょう」

「そうですね。今のこの本質という、武村さんも使われた言葉が非常に重要だと思います。大妥協をしたと。そこが偉いとおっしゃったのもよくわかりますが、ということはちょっと見方を変えれば、要するにそういう政治の都合のためにこの大きな政策転換をしたということですよね。そうすると政策の中身がこれはまずいとか、もっといいやり方があるとか、そういうことでこの方針転換をするのが本来の姿であると思いますけど。要するに相手と折り合いがつくためにという、そこに焦点が合ってスタンスを変えるというのが、これはそれこそ本質論的にいえばおかしいと思うんですね。そこは非常に気になるところですね」

御厨

「今度の妥協のプロセスというのも、ものすごく細かいところを随分やって、最終的に名前も、また変わるんでしょうけども、こういう形で個人の家計の収入がふえたり減ったりという、これが今回起こったわけですが、この点については武村さん、どうですかね」

武村

「それはもう、子供を持ってるお母さん方にしては大不満でしょうね。そんなことでふわふわ変えられたんじゃ、家計が成り立ちませんもんね、ふえたり減らしたり。だから、その責任は政治に、償いようがないぐらい大きな責任がありますね。でも、でも、そうはいっても、これ、じゃあ続けるのかといったら、借金がふえるしかないですからね。これは、どこかで切りかえるしかなかった出来事ですね」