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第三五七回('11年7月10日 放送)
 「この混乱どう立て直す」

 ゲスト: 藤井裕久 氏 / 武村正義 氏

御厨

「わざと議論を盛り上げて解散に持っていこうとしているのではと、うがってみると見えないわけではない。武村さんはどうごらんになるでしょう」

武村

「私も、うがって見るのは得意じゃないんですが、でも昨今の菅さんの言動をずっと見ていると、本気で解散を意図しているんじゃないか。100%じゃないにしても、状況がそろえばその方向で行こうと思っているような気配をひしひし感じますね」

御厨

「はい」

武村

「しかし私は、そもそもこんな暑さで戦うだけでも大変だし、省エネで、節電でみんな頑張っているときに、国費使って解散をやるなんてとんでもない話だと、まずそれがありますし、今解散を打ったって、菅さんにとっては全然得にならないというか、風は吹かないと僕は見ますね。一つは、脱原発と原発推進で国民世論が二つに割れるなんてことはないです。先ほど申し上げたように、国民のほとんどはもう脱原発の方向を向いてますよ。再生(可能)エネルギーは、もう国民のほとんどが賛成ですよ。二つに割れませんよ。それからもう一つは、それでも無理してやられたって、民主党が大勝するなんていう展望は全くないと思うんですよね。何でそんなことを考えるのかな」

御厨

「その辺、藤井さんにも伺いたいんですが」

藤井

「私は、選挙なんていうのは話にならないと思っておりますよ。まず、この不信任を出したこと自体も話にならないし、これも話にならない。つまり、今何が大事かということを政治家たちは、各党を通じて知らないんじゃないかと私は思っているんですよ。今大事なことは復旧・復興の話であり、経済の話であるわけです。さらに、私たちがやっているので言いにくいけど、社会保障の一体化の問題、こういうことが一番大事な話なのに、こんなことをやるのがまずおかしいということと、幾つかの例を言いますよ。

日本は戦前から戦争には、みんな選挙をやっているんですよ。日清戦争、日露戦争、第一次大戦。ところが関東大震災のときはやってないんですよ。前のときは昭和(大正)9年に選挙をやったんです。そうすると、4年目が大正13年なんですよ。ところが12年にこの事件が起こったんですよ。もう3年もたっていますね。でもやらないですよ。そして任期満了の大正13年にやっているんですよね。つまり災害のときにこんなことをやるというのはあり得ないんですよ。

それからもう一つは、私は、小泉さんの選挙というのは、要するに郵政のワンパターン選挙でしょう」

御厨

「そうです」

藤井

「これは、選挙としてあっちゃならないことなんです。だから、原発の選挙なんてあっちゃおかしいんです。選挙というのはもっと大局的な仕事があるわけです。さっき言いました経済の話があるんですね。それから原子力政策はもちろんありますね。社会保障の問題がありますね。安全保障の問題がありますね。選挙というものは、そういうものを一体として掲げて戦うべきものであって、ワンパターンでやると、これは私は小泉さんの郵政選挙は失敗と見てますが、ああいう形になるんですね。郵政だけで引っ張ろうとするわけです。今度は原発だけで引っ張ろうとする。これは両方間違いだと私は思ってます」