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第三五一回('11年5月29日 放送)
 「政治ごっこはもうやめろ。世界が心配しているぞ!!!」

 ゲスト: 増田寛也 氏 / 浜矩子 氏

御厨

「さあ、世界が疑心暗鬼です。これをごらんください。『原発の安全向上を促す G8宣言採択し閉幕』とあります。さあ、これもまた浜さんですけれども、長くイギリス暮らしをされていたということで、今回のサミットで各国首脳の思いをちょっと解説していただきたいのですが、どうでしょうか」

「そうですね。皆それぞれ非常に複雑な思いを持っている。要は原発をどうするかということで、ドイツはこれで完全に脱原発の方向にどんどん向かうというスタンスで、フランスは原発大国である。で、ヨーロッパは独仏枢軸というものがうまくいってないと、なかなかまとまらない。最近はそういう力もなくなってはきましたが、でもやっぱりそこの足並みがどうなのというのは、非常に注目される。そこで、まさに足並みが逆方向に向かうような感じになっていることが露呈してきたというのがあります。

そのサミットに参加していないヨーロッパの小国も、結構考えてみれば原発を持っているところがたくさんあるんです。私の知り合いのベルギー人なんかも、これを機に自分の孫に原発というものがどういう感じで動いているものかを説明しておくとか言って、非常に心揺れる状態をこの日本の福島の結果として、強いられているというので、みんななかなかつらい思いをしているという現状ですね」

御厨

「なるほど。増田さんはどのシーンが印象に残られましたか」

増田

「首脳がにこやかに手を振って歩いている姿がサミットであったんですけれども、みんな心の中は全く別で、ああ、この人たちはとにかく原発をこれからどうやって売り込もうかということを考えている首脳だなとか、恐らく日本に対しては各国何か前向きなことを日本から期待しているのでも何でもなくて、ただ、ひたすら正確に今の福島の情報だけをきちんと出してくれと。後はもう自分たちで安全の基準とか何かは、都合のいいようにつくるけれども、とにかく正確な情報だけは隠さず出してくれよと、それだけじゃないでしょうかね」

御厨

「さあ、そして実は菅総理は後10年ほどで自然エネルギーを20%にすると言っていますが、さあ、増田さん、ソーラーとか、風力発電の長所、短所。それから岩手には地熱発電もありますね。この辺、どうなんでしょう」

増田

「技術開発が、そういった自然再生エネルギーには非常に目に見えるスピードで進んできたことは間違いないと思うんですが、ただ、家庭用の電力程度のものは賄えるにしても、やはりどうしても産業全体を支えるだけにはなり得ない、代替することになり得ないというのが今の見方だと思います。その中で地熱はまだあまり使われていませんけれども、人によっては、場所が自然公園などの中にあるということはありますけれども、開発の可能性が高いとおっしゃる人はいると思いますが、私はそれぞれの長所、短所、一般的に言われているように、どうしても自然エネルギーはコストが高くなります。

ただ、あまり先入観なく、これはそういうデメリットがあるということではなくて、どちらにしても私自身は原子力の割合は残しておかなければいけないとは思いますけれども、それにしても自然再生エネルギーをこれからふやしていかなければいけない方向にあるのは間違いないと思います。菅さんのようにほとんど積み上げもなしにぽんぽんと数字を出すのはいかがかと思いますけれども、きちんとこれから自然エネルギーの開発は進めていくべきだと思います」