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第三四三回('11年3月27日 放送)
 「震災17日目の朝に」
  〜がんばろう日本 電気の少ない「新しい日本」の姿は
 ゲスト: 増田寛也 氏 / 浜矩子 氏

御厨

「浜さん、気になるのは情報の発信の仕方なんですね。国民にパニックを起こさせない。これが大前提で、『大丈夫だ、大丈夫だ』と繰り返すんですけども、しかし、だんだん1号機から6号機まで全部広がって、それも今、増田さんがおっしゃるように一進一退というふうになってくるんですね。情報の発信の仕方自体、これどうでしょうか」

「うーん、そうですね。おっしゃるとおりで、『大丈夫だ、大丈夫だ』と言われれば言われるほど大丈夫じゃないんじゃないかというふうに思う。そういうところがわかっていないところが驚くべきことですが、これは情報の発信ということの意味が誤解されているような気がします。これはやっぱり情報の共有だと思うんですよね。情報と認識の共有。同じことを同じ危機感を持って見ているということが、政策に関する責任者たちも、一般市民たちも。

ですから、パニックするんだって一緒にパニックすればいい。ちょっと言い方では語弊がありますけれども、やっぱり怖いものは同じような程度に、同じような認識で正確に一緒に怖がっているという、そういう感覚が持てれば、この聞いているほうとして、ほんとに大変な事態だけど、この人たちに任せておけば結果的には大丈夫かもしれないというふうに思えると思うんですが、要するにこの言いわけ、責任回避というものが非常に前面に出ている感じがするんですね。

説明責任というのは、別に言いわけをすることではないのであって。我々も別に責任追及をしようと思って見ているわけではないので、やっぱりこの事態を本当に共有していくという思いに立って物を言ってもらいたいというふうに思いますね」

御厨

「なるほどね。増田さん、具体的に政府にアドバイスするとしたら、今何でしょう」

増田

「主語をはっきりさせて、それでどういう専門家のアドバイスをもらって、その上で私がこういうことを決めたとか、そこをはっきりと言ってほしいですね。『自主避難』という言葉がありましたけども、20キロから30キロ圏の人たちに自主避難を促したわけですが、あれはただ逆に不安をあおるだけで、今あそこの人たちに一番大事なのは物資が届かないということですから、その人たちの生活を守るために国がやるのは、その物資をきちんと国がかわりに届けることです。

その役割を放棄して、それをできないから自主避難をさせるんじゃなくて、もしそれができないんだったら、国がそれはできないということをはっきり言って、だから退去してくれということをきちんと言うべきです。いいかげんだと思います」

御厨

「なるほど。浜さん、放射能というのは見えないだけに、不安にみんな、おびえるわけです。その辺どうでしょうか」

「全くそのとおりだと思います。それでやっぱり見えないもの、怖いものはちゃんと敬意を払って怖がるべきだというふうに思いますね。だからこの原子力政策の中でも、ここから先はわかってないかもしれないとか、まさかと思うけれどもこういうことはあるかもしれないという、そういうことに対する畏敬の念といいますか、そういうものが非常にない中で突っ走ってきたというイメージをどうしても持ってしまうんですね。だからそこをもう一度きちっと考え直してもらわないといけないと思います」

御厨

「いけないということですかね」

「だからそれをやってないから、ここで何か言いわけがましいことを言うということになってしまうんだと思うんですよね」

御厨

「見えちゃうんですね」

「ほんとに『まさか』というのと、『何とかなるだろう』という、この二つの言葉が非常に我々を惑わしているし、彼らにおいてもそこが誠意のなさとしてどうしても伝わってきてしまうんだというふうに思うんですね」