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過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 
第三三六回('11年1月30日 放送)
 「さあ、明日から予算委員会」
 ゲスト: 野中広務 氏 / 藤井裕久 氏

御厨

「野中さん、この代表質問どういうふうにごらんになりました?」

野中

「私は、いつになく谷垣さんが非常に張り切ってやったなあと、そう思いながら、何でこんなときにこんな数で解散を冒頭に持ち出したんだろうと。もっとやりようがあっただろうと、私は率直に思いました」

御厨

「そうですか。藤井さん、どうですか。なかなか厳しい状況ですけど」

藤井

「今、野中先輩が言われたように、解散という話は非常に不適切だと思うんですよ。つまり解散というのは、例えば社会保障のあり方、それに伴う税制改革というものの対立軸がはっきりする、あるいは同じならなおいいんですけど、場合によっては対立で行っていいんですが、それがはっきりしたときに選挙というものがあるはずなんですが、今これからやろうというときにどっちがどう考えているのかはまだわからないんですね。そのときに解散するということは一体どういう意味があるのかと、私は思わざるを得ません」

御厨

「ああ、わかりました。さあ、藤井さんはこの代表質問を実はひな壇で受ける立場におなりになったわけですけど、野中さん、この藤井さんの副長官就任をどうごらんになります?」

野中

「これは最大のヒットだったと思うんですよ。まだ副がついたのは失礼で、本当に藤井さんが入ってくれたからおもしができたし、そしてこれからの軸足がこの人を中心にしてやっていったら私は間違いなかったと思うんですが。

ただ藤井さんとは仲がいいからひょっとしたら与謝野さんの入閣に藤井さんは甘かったんじゃないかなあと。この政権の重さを見たら、立ち上がりか立ち腐れか知らんけれども、あそこへ行って共同代表という肩書きにこだわって、我々自民党のときにも非常にポストにこだわった人です。この人をぱっと持っていったというのは、この人の識見とか力量とかそういうことだけじゃなしに、この人が非常にポストにこだわる人であるということを見抜かずに、何かどこからか押しつけられて、マスコミの名前が挙がっておりますけれども、魔が差したというのか、これが菅内閣が本当に腰据えてやっていける目標値を達成できるかどうか、私はこれを入れたばっかりに大変な火種をつくってしまったと、ほとんど不可能に近いものを持ってしまったという気がしてなりませんね」

御厨

「なるほど。非常に厳しいお言葉でございますけども、藤井さんはどうお思いになるかということと、現実にどういう仕事をその〔人に期待されますか?」

藤井

「いま野中先輩に褒めていただいて何かむずむずするような気持ちなんですが、(笑)私は去年1月に財務大臣をやめさせていただいたときに、もう体がもたないんですということで、そのかわり後から続く、これからの若い主役をどうにか育てたいということだけやりますと。

今も同じ心境なんですね。1年間それをやってまいりました。で、そういう同じ心境で今おりますから、あくまでも裏方に徹すべきだと思っております。それで裏から今の若い官房長官以下をお育てするという。お育てと言うと大変失礼ですが、私の今までの経験といいましょうか、過去にどういう事態のときに先輩たちはどういうふうな発想をしたかというようなことをお話をする役だと思っております。

今の話は野中先輩の非常に厳しい、鋭いご指摘だと思いますが、人間ですから両面あるんですね。彼は確かに長い目で経済を見る力はあると思うんですよ。700人以上いますが、目先の経済のことばっかり言う人は幾らもいます。しかし長い目で経済というものを考える人というのはそんなにいない。その1人であることは間違いないと思いますが、今の前半のご指摘というか、そういうものについては私も野中先輩のお話は承りたいと思います」