御厨 |
「武村さん、国会はどうも毎日、失言問題に明け暮れていたという感じがするんですけど、これ、どういうふうにごらんになっていますか」 |
武村 |
「いや、そういう印象ですね。もうちょっと言葉を変えて申し上げれば、何かちょこまかした今日の出来事に与党も野党も追われていて、国民も、テレビの政治の画面を見るのは少し嫌気が差してきつつあるんじゃないかと思うぐらい、ちょっと心配になるんですね。もっと大事な政治、もっと大きな政治に目を向けてくれよと。大きな政治が一歩も進んでないじゃないか。だから、この国の赤字をどうするんだとか、年金・医療をどう安定させるとか、そういう仕事は全然、展望が見えない。普天間もそうですけど」 |
御厨 |
「そうですね」 |
武村 |
「で、だれが悪い、だれが何言ったということばっかりでやり合っているのは、何か、だんだん政治が小さくなっていっているような感じがしますね」 |
御厨 |
「亀井さん、いかがですか」 |
亀井 |
「これはね、野党のひどい揚げ足取り。揚げ足取りでもいいと思うんだけど、やはり私は、政府がだめだと思うんですよね。大胆に政府が政治を断行していくということをぽんぽんやっていけば、少々の言い過ぎだとかそんなことがあったって、野党はそういう問責だとか陳謝要求なんかできないですよ。
私なんかも、もう自民党時代から、この間まで大臣をやっていたけど、ある面では言いたいことをやりました。自分でこれはちょっと、こんなことを言い過ぎたかなと思うようなことを言ってるんだけど、問題にされなかった。これはやはり、自分で言うのはおかしいんだけど、政治を断行していくという本筋のことをばっとやっている限りは、揚げ足取りがしにくくなるんですよ。一々、言葉の端を取り上げて。今そういう、政権が政治をどんどんやれるのに断行しないというね。だって、法律だってそうでしょう」 |
御厨 |
「そうですね」 |
亀井 |
「本来、国会成立させること、法律も、これをさせられないでとうとう会期末を迎えてるでしょう」 |
御厨 |
「ええ」 |
亀井 |
「だって参議院で過半数ないといったって、自公時代だってそうなんですよね」 |
御厨 |
「はい」 |
亀井 |
「やれたんです。これは(衆議院で)3分の2を使えばやれるわけであって、問題は中身なんです。中身が国家国民のために大事なものであれば、野党が反対しようが、断固としてやっていくということをやれば、それを成立されることが、政権が力がついていくことなんです。
私はこの間、総理にも申し上げたんだけどね、世論も大事だけど、支持率だとか世論調査の結果ばかり気にしているのはおかしいんであって、一時的には国民を敵にするぐらい覚悟をして、国家のために、国民のためにやらにゃいかんことは、野党をけ散らしてでもやっていくと。そうやったら支持率なんか上がりますよと。そこなんですよ」 |
御厨 |
「なるほど」 |
亀井 |
「気合いですよ、一つは、政治はね」 |
御厨 |
「今、気合いとおっしゃいましたが、武村さん、どうです」 |
武村 |
「いや、だからおっしゃるように、政治は気合いでもあるし、中身とおっしゃるのも同感なんですが、言葉を変えれば、ちょっと昨今の政治というのは、政局に重点が行き過ぎていて、政策のほうがやや二の次になっている、そういう印象がありますね。その意味では、今日あって明日がないような政治になってしまっているんですが。
やっぱり大道は、政策を中心にして、この国のあれをどう変えていくか、国民の幸せをどううまく上手にやっていくかということが基本ですから。そっちのほうが何か後へ後へ送られていて、そういう政策でない事柄にかまけている感じがして仕方がありません」 |