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第二九一回('10年2月28日 放送)
 「大丈夫か!トヨタ」
 〜米公聴会を終えて〜
 ゲスト: 塩川正十郎 氏 / ジェラルド・カーティス 氏

― トヨタの大規模リコール問題
カーティス

「日本ではこの問題を、一種の日本バッシングだと思う人が、多いらしいのですが、そういう事は一切ない。車に欠陥があって、4人家族が亡くなった。だから大変な問題になったのです」

御厨

「なるほど」

カーティス

「公聴会に豊田章男さんが出て行って、攻撃がスゴイと思われていましたが、とってもよかったですね」

御厨

「そうですか」

カーティス

「まず責任は自分にあると言った。去年ビック3の社長たちが公聴会に呼ばれた時、誰一人責任をとろうとせず、みんな言い訳をしたんです。GMが潰れるのに、自分に責任はないと社長が言ったり」

御厨

「はい」

カーティス

「それに比べれば、豊田さんは、正直に謝って、問題は全部自分の会社にあったと言った事が、アメリカでは良い反響を呼んだのです」

塩川

「社長自身が、自分の責任だと言った。ここは日本人らしい文化だと思うんです。その事についてアメリカは理解してくれたとすれば、これから、具体的にどういう改革をやるのかですね」

カーティス

「豊田社長が言ったように、発展が早すぎて人材育成がついていかなかった。また、グローバルな会社になったのに、その地域にまかせないで、全部、豊田市で決めていた」

御厨

「そうですね」

カーティス

「そういう事を今、改めると話した事で、アメリカ側の議員も大分納得したという印象を受けています」

塩川

「トヨタは100年の間に、色んな事を経験してきました。だから私は、この問題もトヨタは絶対に乗り切る自信があると思うんですよ」

御厨

「と、言いますと?」

塩川

「私が思い出すのは、第1次石油ショック後、トヨタが輸出しかけた時分に、ラルフ・ネーダー弁護士が、公害問題で排気ガスの規制をしようとしたんです」

御厨

「ありましたね」

塩川

「その時、全米の会社は『1000人の弁護士をもって、この不当性と闘う』と言った。ところがトヨタの豊田英二社長は、トヨタは『1000人の技術屋を集めて、この対応を必ずいたします』と言ったんです」

御厨

「なるほど」

塩川

「それをきっかけに、トヨタは一生懸命、技術開発をしてきた。ですから今回も1つの試練として捕まえて、これを見直すと」

御厨

「はい」

塩川

「どこを見直すか、私が感じるのは、企業は『Plan Do See』やっぱり発展があまり急速だったから『See』の部分をさぼっていたのではないかと。だから変革と言うならば、ここをしっかりとやる」

御厨

「なるほど」

塩川

「これは、日本における1つの良い企業活動の標本になったと思います。やはり経営者は、責任を明確にしないといけない。30年前も、英二さんが社長をやって乗り切った」

御厨

「はい」

塩川

「今度は、章男さんがやっている。また乗り切りますよ。そのための改革を粘り強くやって欲しいと思います」