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第二七四回('09年10月25日 放送)
 「国会が迫ってきた」
 〜いろいろ迫ってきた〜
 ゲスト: 武村正義 氏 / 片山善博 氏

― 「日本郵政」の新社長に、斎藤次郎氏
御厨

「斉藤さんは、15年前の細川政権時代、あの小沢さんと組んで『国民福祉税』を主導したスーパー官僚ですが、武村さんは、今回の社長人事、いかがですか?」

武村

「久々に斉藤さんの写真を見て、非常に懐かしく思いました。ただ民主党に言いたいのは、あれだけ武藤さんを日銀総裁にする時に、元大蔵事務次官だからと拒否しましたね。その民主党が、今度は、同じ元大蔵事務次官の斉藤さんを迎えに行くと」

御厨

「はい」

武村

「民主党の官僚に対する姿勢には、全く一貫性がないと思います」

御厨

「片山さんは、どうご覧になりますか?」

片山

「小泉内閣の時に行った郵政改革を見直したい、という事なんでしょうが、小泉内閣の時は『官から民へ』というスローガンで改革した訳ですが、今度どうされるのかなと。逆に『民から官へ』という方向を明確に打ち出したんじゃないかと」

御厨

「そうですね」

片山

「それと、ひとつ気にかかるのは、どう見ても『脱官僚に反してるじゃないか』という声が、民主党内からも、あまり聞こえてこないでしょ。という事は、どうも小沢さん絡んでるから、あまり文句を言えないのかなと」

御厨

「なるほど」

片山

「まあ本当に、ご本人が噛んでるかどうか分かりませんが、そういう雰囲気が民主党内にあるのであれば、それはそれで問題だと思いますね」


― どうする!?「普天間基地・移設」問題
御厨

「普天間については、どのような印象を?」

片山

「この問題で、私は、幕末を思い出すんです。日本は当時、アメリカと開国をすると決めるのですけど、あ〜でもない、こ〜でもないと言って、なかなか実施しない」

御厨

「そうでしたね」

片山

「色々国内事情がありましたが、最後は、勅許を取らないといけないと。アメリカから見れば、なんかいつまでも、たぶらかされていると。それで、当時のペリーの本には『日本に対しては、ガツンと言わないといけない』ということが、書いています」

御厨

「そうなんですか」

片山

「今見てますと、よく似てますよね。だからいつまでたっても、日本は変わってないのかなと思いますし、どうも、アメリカの対日関係の人は、ペリーの本を読んでいるらしいですよ。だからガツンと言わないといけないと思っているのではと」

御厨

「なるほど。どうも鳩山さんの発言内容もブレてますが、どうですか?」

武村

「とにかくゲーツさんという人が、大胆率直に、ピシャピシャと言いますよね。これがアメリカ流かもしれませんけど。そういう言い方と比べて、我が国の総理の言い方は、曖昧だし、フラフラして、焦点がはっきりしない。これじゃ、アメリカの方は怒ってしまいかねない。ちょっと心配ですね」

御厨

「さきほど、ペリーの話にもありましたが、どうでしょう?時間稼ぎに感じるんですけども、この後に、落としどころはあるんですか?」

片山

「この問題については、民主党はマニフェストを作る時に、失礼ですけど、そんなに真剣に議論して考えていなかったと思うんですよ」

御厨

「なるほど」

片山

「どちらかと言うと、沖縄県の民主党の関係者の意向を踏まえて書かれた。ところが、いざ政権とって、この問題を解決しようと思ったら、それだけじゃとても出来ませんので。それで、右往左往して、総理だけじゃなく、他の幹部の方もバラバラですよね」

御厨

「そうですね」

片山

「ですから、改めて早急に、この問題をどう新しい政権が処理しようとするのかを決めなきゃいけない。それでないと、対外交渉は出来ません」

御厨

「解決が、長期化すると日米関係によくないですよね?」

武村

「本当は、オバマさんが来る前に議論して決めたほうがいい。大体、県外に持っていくなんて言っても、候補地もないし、今から納得する場所を見つけるのは不可能ですよ。そういう意味では、名護では、かなり反対も強いんだけども」

御厨

「はい」

武村

「反対が強いのなら、防衛庁長官が、一週間位泊まり込んで、反対する人と話し合いをして、説得する位の気概でやってほしいです」

御厨

「なるほど」

武村

「マニフェストは、どれもこれも完璧ではないですから、そこは素直に、民主党はマニフェスト絶対主義で、外交までやらない方がいいと、私は思います」


― いよいよ動き出した「行政刷新会議」
御厨

「片山さんは、刷新会議のメンバーですが、初会合の様子は?」

片山

「予想外にフランクでした。もうちょっとシナリオなんか決まっていて、あまり自由な発言も出来ないのかなという懸念もありましたが、そんな事ありませんで。私も、時間の中で言いたいことを、全部言わせて頂きましたし、みなさん耳を傾けて頂きました」

御厨

「武村さんは、どうご覧になっていますか?」

武村

「担当大臣の仙谷さんとは『財政赤字を憂う会』という議員連盟で、当時、私が会長で、仙谷さんに幹事長やってもらって、議論をしていました。だからその仙谷さんが刷新会議の中心になられて、非常に期待してます」

御厨

「そうでしたか。会議では、どんな話が出たのですか?」

片山

「当面は、数兆円規模の財源不足を、既存の歳出からカットして、捻出しようということです。ただそれだけですと、なにやら財務省の主計局の下請けみたいな事ですから、それでは『刷新』という事になりませんので」

御厨

「なるほど」

片山

「今までの役所では出来なかった事、出来にくい事をこの会議でリードしていこうと。例えば、今までの財務省の予算査定というのは、来年度の事しかやりませんので、来年度どういう風な予算を組むかという事で、つじつま合わせ、数字合わせになるんですよね」

御厨

「はい」

片山

「それで、将来にツケを回すような事をして、どんどん、いたちごっこのように悪くなる。ですから、そういう視野じゃなくて、中長期的に将来を睨んで、今はそんなに削減効果はないかもしれないけど、ジワっと効果が出てくるような、長い目で見た改革を同時並行でやっていこうというような議論をしました」