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過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 
第二七三回('09年10月18日 放送)
 「これから日本をどうする」
 ゲスト: 野中広務 氏 / 仙谷由人 氏

― 補正見直し!苦戦の理由
御厨

「補正見直し2兆9259億円。これを、まとめたのが仙谷さんですが、特に苦労された点は、どこでしょう?」

仙谷

「やっぱり一旦予算づけされて、各省庁に入った瞬間に、省庁的には、大臣も含めて、自分のものみたいな雰囲気になってくるんですね」

御厨

「そうでしょうね」

仙谷

「所詮は、僕から言えば、麻生さんがやったものでしょと。選挙の時に、あれだけ批判をした事業が相当数あるわけですから、それは、いっぺん返してもらって、それで我々なりに使い方を変えようと」

御厨

「はい」

仙谷

「そのことが重要ではないのかという話をするのですが、いっぺん返すと次の予算なんかつけてくれないんじゃないかみたい思いが、広範にあるんですよね」

御厨

「なるほど」

仙谷

「だからそうじゃないんだ。我が政権の中で、コンクリートから人へと、完全に組み替えるんだ。特に今は、大変シビアな生活を送ってらっしゃる方が多いんで、そこに付け替えるんだという説得をかなりしたつもりですが、理屈じゃない部分が、かなりありました」

御厨

「野中さんはこの削減ぶり、どうご覧になりますか?」

野中

「いや見事ですよ。これは、財務大臣の藤井裕久さん、そして、切り込み役は、勇ましい仙谷大臣がおられる。どっちも私に言わせたら優れた団子屋ですよ。この二人が上手いことやって最後に落としどころを決めた。だから、そうでなかったら、これは、できません」

御厨

「ムダの削減をめぐって、あちこちで緊迫のバトルとなりましたが、長妻・厚労大臣なども大変だったのでは?」

仙谷

「これはですね、長妻さんがというよりも、やはり地方議会が、8月30日に選挙の結果が出るのが分かっていながら、それを待たず駆け込みで、議会で議決したとおしゃるんですよ」

御厨

「ああ〜そんなことが」

仙谷

「選挙の直前に、厚労省が『こうやったらもらえますよ』という通達を地方に出しているんです。それで、地方の特に知事の皆さん方の電話による抗議が多かったですね」

御厨

「なるほど」

仙谷

「それから今回のケースは、通常予算で付かなかったものが、突如、補正予算で15兆円近くの予算が付けられて、夢みたいなものが、突如、降って湧いたみたいな感覚に、地方の方々もなっているんですよね」

御厨

「そうでしょうね」

仙谷

「だから、決して逃がすまいみたいな、応援団というか、利害集団が、働きかけたということは、あったんじゃないでしょうか」

御厨

「野中さんは、どうご覧になります?」

野中

「私は結果的に『逆陳情』で、東京に来るお客さんを増やしてしまったんじゃないかと。是非、続けてくれ、そのまま止めないでくれとか。そういう陳情客が東京に来るための旅客収入の面では、貢献されたんじゃないかと思いますけどね」


― 来年の予算編成 本格スタート!鳩山政権正念場
御厨

「概算要求90兆円超。過去最大規模。結局、麻生政権の当初予算よりは、膨らみましたね?」

仙谷

「今年の予算が88兆円。マニフェスト分の7兆円足したら95兆円になってします。それを、そうならないように各事業ごとの『無駄・緊急性・必要性』をちゃんと査定して、検証して削れ、という大号令を総理、財務大臣、私のとこでかけておるんですけど。なかなか積み上げ方式だと減らないですね」

御厨

「野中さんは、どう思われますか?」

野中

「私はね、小沢さんの発想でずっと民主党がネクスト・キャビネットを作って、次の内閣の何々大臣だ、副大臣だといって、政務官まで決めて名刺にしてましたよね。その人達の中で、閣僚になったのは、原口・総務大臣だけでしょ」

御厨

「そうですね」

野中

「今回は、仙谷さんと藤井さんとが、荒業でガッとやったけども、それまでにこのネクスト・キャビネットの下にスタッフを揃えて、これだけの政権交代をやるのなら、こういう所を削る、ここは増やすと、新政権の新鮮さを国民にアピールする準備が、やや足りなかったんじゃないかと思いますよ」

御厨

「なるほど」

野中

「ネクスト・キャビネットは、言っていただけ、名刺に印刷しただけに、終わってしまっているという気がしてなりません」