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第二七二回('09年10月11日 放送)
 「政治は生活だ」と言っていたけど…
 ゲスト: 藤井裕久 氏 / 浜 矩子 氏

― 補正予算・削減!これからのニッポンは?
御厨

「仙谷さんの下で、バラマキ批判のあった15兆円の補正予算を削減を行うわけですが、コンセプトは?」

藤井

「財政政策というのは、国の資源配分の問題なんです。世の中の方が稼いでくださった資源をどういう風に配分するか。高度成長の時代であれば、1億総中流になったんだけども、現在は、高度成長じゃありませんから、そうなってない」

御厨

「そうですね」

藤井

「それならば、内需中心で、しかも内需でも、福祉経済、それから地域経済。そういうものから盛り上げていく」

御厨

「なるほど」

藤井

「もちろん、輸出だって大事です。特に日本は、先端技術が進んでますからね。それに基づく輸出というのは、世界にも役立つからいいと思うんですが、何でもかんでも輸出だという時代は、終わったという前提に立っております」

御厨

「浜さんは、どうお考えでしょうか?」

「今、藤井さんのおっしゃられた福祉である、輸出立国ではないというのは、その通りだと思いますね。今までの予算で共通しているのは、とても古い、あたかも日本が戦後の『焼け跡経済』であるがごとき発想に立って、すべてが組み込まれていることです」

御厨

「そうですね」

「その観点から言えば『成長戦略』という言葉も、本当に古臭いと思うんです」

御厨

「なるほど」

「また、内需拡大という言葉にこだわるのも、やや時代遅れだと思います。新しい状況に対して、新しい言葉を使い、新しい発想をもって、そこをスタートに考えていく。すると何を削減するべきであるか、どこに力をいれるべきか、というのが見えてくると思うんですね」

御厨

「はい」

「格差という事を前提にすれば、いかに景気を拡大し、いかに成長率を上げたって、幸せにならない人が結構いるわけです。そこの所が、今までと本当に変わってきた。そこにどう目を向けていくかが、ポイントだと思います」


― 「子ども手当」の経済効果って?
御厨

「子ども手当の法案の提出は、臨時国会では、見送られるそうですが、その真意とは?」

藤井

「子ども手当は、来年4月からというのがマニフェストの約束ですから、通常国会でも間に合うと考えました。臨時国会の最大のポイントは、22年度予算の年内編成だと考えております」

御厨

「なるほど」

藤井

「政権交代して色々変わるけれども、空白があっちゃいけない。どうしても予算の年内編成をしたいと思っております」

御厨

「分かりました。浜さん、子ども手当の経済効果をどうお考えになります?」

「子ども手当については、それこそ、子ども手当の経済効果という発想が、多分、間違いだと思うんですね。子ども手当は、経済効果を狙ってやるのかと。そうであれば、ちょっとおかしいと思うんですね」

御厨

「なるほど」

「子育て世代、お子さんがいる家庭の生活がしっかりしていく、そこで苦しいところを手助けするという事のためにやるはずですよね。だから、別に経済効果は考えてないんですと言えるぐらいの勇気を持ってやって頂きたいものだと思うんです」

御厨

「なるほど」

「結果的に経済効果が出てくるのは、結構な話ですけど。やはり、子育て世代の家庭にやさしくすると、成長率が高まるんです、みたいなまやかしのようなことは、絶対、鳩山さんには言って欲しくないと思いますね」

御厨

「藤井さん、いかがでしょうか?」

藤井

「そうですね。結果として、経済の浮揚効果がでるんでしょうと、しかし、目的は違うと。例えば、子ども手当で言えば、次世代に立派なお子さんがいて欲しいということから考えるのも、これもやっぱり、子ども手当の発想であって、それが直接、経済対策なの?と言われれば、そうじゃない。バラマキなの?それも違う。これは、マクロ経済の典型ですよね」

御厨

「なるほど」

藤井

「立派な子どもさんが、次の世代に大きく増えるということは、大事なことですから。そういう意味で、経済成長のためにやっているのではない。みんなの幸せのためにやっているんだ。とまあ、こういうことでしょうかね」