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第二七一回('09年10月4日 放送)
 「どうなるモラトリアム どうなる郵政」
 ゲスト: 野中広務 氏 / 亀井静香 氏

― どうなる?モラトリアム(返済猶予)
御厨

「亀井さんは、記者会見で『貸しはがしが、激しいので、3年程度、返済猶予を実施したい』と表明。すると、翌日の東京株式市場では、金融株が軒並み下落。新聞でも『市場に亀井ショック』などと報道されました」

亀井

「これはね、銀行が本来の役割を果たしていないんです。かつては、住専・ノンバンク・消費者金融と、高利を得るために、本来融資すべき所に融資をしないで、高利のお金を得るとことばかり考え、その反省をしない」

御厨

「なるほど」

亀井

「国は今、7つの銀行に資本注入してるでしょ。貸し手の銀行については国民の税金をつぎ込んでいるのに、借り手が苦しんでる時は、黙って見ていて、倒産しろなんて、そういう事は絶対やるべきじゃない。鳩山さんが、友愛と言ってるでしょ。言葉だけじゃダメなんです」

御厨

「なるほど」

亀井

「具体的に、政治の中、政策の中で実行していかなきゃ。不肖、亀井静香、それを1つは、自分の担当の仕事の中でやっていこうと考えています」

御厨

「野中さんは、この亀井大臣の発言をどう思いますか?」

野中

「全面的に、私は賛成なんですよ。小渕内閣で金融不安の時、公的資金で、銀行は危機を回避する事が出来た。その恩恵を受けた銀行が、亀井さんの提案に一斉に反対するなんてのは、不届きだと思う」

御厨

「なるほど」

野中

「この際、みんなが困っているのなら、銀行の方から協力して、それで政府も亀井大臣も援助もして下さいよ、という位の気持ちでやられたら、国民も非常に理解し、一般中小企業のみなさんも大変喜ぶだろうと思うんです」

御厨

「なるほど」

野中

「全部一斉にとはいかないだろうけど、亀井さんも妥協点を知ってるであろうし、落とし所も知っておると思いますから、そこは総理とよく話しされて、一日でも早くやって欲しいなと思っています」


― 郵政民営化・見直しについて
亀井

「郵政事業という明治時代の事業を、ある意味では、私(わたくし)しようとした人たちが、かんぽの宿のあんな詐欺師でもやらないような事をやってしまって、濡れ手に粟で大変な利益を受けてるわけでしょ」

御厨

「はい」

亀井

「私どもは東京地検に告発しましたが、今の経営陣というのは、残念ながら、民営化と言って、やってはならない事をやりまくった。もう過去は言いません。とにかく、この11月で株式凍結、資産売却の凍結をやって、その後、基本法を出します」

御厨

「なるほど」

亀井

「そして、かつての小泉さんが無茶苦茶にした前の状況に戻すつもりはないんです。そうじゃなくて沖縄から北海道までの山の中、島までにあるネットワーク。これをもう一度、地域の活性化、日本全体の活性化のために、新しい視点から再構築をしていく大事業をはじめます」

御厨

「その点について、野中さんどう思われますか?」

野中

「同じ考え方です。元の国営の郵政に戻そうと考えたって、これはもう至難中の至難でありまして、難しい」

御厨

「はい」

野中

「しかも、おそらく亀井さんも、来年の参院選が済んで、もし、民主党が過半数を取ったら、国民新党は『ご苦労さん』という事になるであろうから」

亀井

「(笑)」

野中

「北海道から沖縄にいたる、小さな特定郵便局を3事業一体でやってきた、このネットワークを取り戻して欲しい。これが1つ」

御厨

「はい」

野中

「もう1つは、悪い人たちが企んだ、株式の上場とかこういう事を凍結して欲しい。この2つは、是非やって、男・亀井静香がその名を残さなかったら、何のために郵政担当大臣になったのか分からない」

御厨

「そこで郵政民営化の見直し案として、日本郵政の本体に、郵便事業会社と郵便局会社を合併させて、新しい形にするという案があるようなのですが?」

亀井

「それは、まったくウソっぱち」

御厨

「ウソっぱちですか?」

亀井

「読売新聞にでっかく出ていましたけど、これは誰かが描いた、空想が勝手に出ているんです」

御厨

「そうでしたか」

亀井

「どういう事業をやろうか、我々は今、検討をしております。まず今やる事は、株の凍結。これは、11月に成立させます。その後、どのような事業展開をするのか、組織はどうするのか?という基本法を、この11月に出します」

御厨

「なるほど」

亀井

「そういう事を新社長を抜きで、全部決めた上であなた社長になりなさいたって、なる人はおりません。だからそういう意味では、やはり新しい皮袋に新しい酒をもっていく。そういう意味では、今の経営陣をいうのは一新を致します」

御厨

「なるほど」

亀井

「これは、私が責任をもってします。そうして、そのもとで新しい社長の考え方も入れながら、今後の組織・企業展開を考えていきたいと思っています」