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第二六六回 ('09年8月30日放送)
 「今日は、選挙」
 〜歴史的な朝に〜
 ゲスト: 塩川正十郎 氏 / ジェラルド・カーティス 氏

― ついに来た!運命の8月30日
御厨

「いよいよ今日は選挙の朝です。塩川さんは、現役時代、投票日の朝は、どういうお気持ちでしたか?」

塩川

「前の晩は、寝られないですね。僕は、よく寝汗をかいたこともありました。パッと目が覚めてね。大丈夫かなと。大変、緊張しますよ」

御厨

「カーティスさんは、わざわざこの選挙を見るために来日されたそうですが、どんな感じですか?」

カーティス

「多分、寝汗かいている自民党の議員は多いんじゃないでしょうか(笑)」

御厨

「そうかもしれませんね」

カーティス

「選挙の結果は分かりませんが、私は、今まで40年間、日本の政治を見てきて、これほど意味のある、大きな変化が起こりうる選挙は無かったので、非常に注目したいと思って、アメリカから飛んで来ました」

御厨

「なるほど。本当に大事な日です。みなさん是非、投票にお出かけ下さい」


― 選挙戦を振り返って…
御厨

「今回の選挙は、総理大臣を選ぶ選挙だと言われていましたが、党首の顔が双方共にあまり見えなかったような。塩川さん、どうでしょう?」

塩川

「私が、選挙応援に回っていて、感じたのは、政策論争がないんですね。ほとんどお互いの批難なんです。それと、ただ『お願いします』ばっかり。これじゃ聴衆も聞きたくないと思いますね」

御厨

「そうですね」

塩川

「それから、非常に特異な選挙ですね。とにかく『政権交代しろ』という、それだけのテーマの選挙ですから。非常に単純。選挙の性質から言うと、政策の選択をするのが選挙ですから、そういう点からは、非常に寂しい選挙だと思います」

御厨

「カーティスさん、どうでしょう?」

カーティス

「そうですね。今までの選挙と全く違いますね。政策論争が、全く無いわけではないんだけど。じゃあ麻生さんが良いか?鳩山さんが良いか?という選択でもなくて、結局、今までやってきた自民党政治に対する評価ですね」

御厨

「なるほど」

カーティス

「これまでの自民党政治をどう評価するか?良いと思うのか?悪いと思うのか?その評価によって、投票が左右されるんじゃないでしょうか」

御厨

「気が付かないうちに、自民党には、予想以上に強い風が吹いていた。塩川さんが先程おっしゃいましたけど、政権交代という風か、嵐か分かりませんけど、これに自民党候補は、相当苦労しているんじゃないでしょうか?」

塩川

「要するに『自民党、いい加減に嫌になったな』と、『自民党は、もういいわ』という感じがあるんでしょう」

御厨

「なるほど」

塩川

「『民主党が良いから、民主党に行こう』と考えてる人は、そんなにいないと思いますね。民主党の言ってる政策。これが本当に出来るかどうか、国民はチェックしてると思うんですね」

御厨

「なるほど。チェックしている」

塩川

「だから私は、今度の選挙で痛感しますのは『自民党はこれからの日本をこうします』という事をちゃんと訴えれば、まだ、新鮮味があったと思うんです。過去の実績だけ言って『お願いします』だけじゃ、人も集まってこない感じですね」


― 新政権へ…
カーティス

「まず日米首脳会談をあまり早くやらない方がいい。新しい総理が、国連に演説にいらっしゃるでしょ。そこでオバマさんと会えば、挨拶はすればいいんです。ただ、ワシントンまで行って、ジックリ話しをする時は、日本は『日米関係をより強化するために、こういう事をしたらどうか?』と、日本から提案した方がいい」

御厨

「なるほど」

カーティス

「省エネ、環境問題、いろんな面でこうしようと、日本が提言・提案をしないで『ただ挨拶に来ました』と言われても向こうは喜ばないし、かえってイライラする。『何のために来たのか?』という、ことになるので、ちゃんと準備をしたうえで行った方がよいと思います」