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第二六五回 ('09年8月23日放送)
 「あと1週間で」
 〜歴史的な衆院選〜
 ゲスト: 増田寛也 氏 / 片山善博 氏

― 「衆院選2009」ズバリ争点は?
御厨

「いよいよ選挙戦に突入ですが、今回の争点は、何でしょう?」

片山

「いろいろあると思いますが、一番は『政治と行政の関係』を変えられるかどうか、ということだと思います」

御厨

「政治と行政の関係ですか」

片山

「日本は、国民主権の国ですよね、憲法のもとで」

御厨

「はい」

片山

「だから、国民が選んだ代表によって政治が行われる。その指導のもとに、行政が行われる、というルールですが、なにか、もう、各省が、強い省があって、岩盤のようにあって、全然、変わらない」

御厨

「なるほど」

片山

「今、いろんな不祥事とか、政策のいびつな問題とか、失敗とか出てきてますよね。それらは、どうも行き着くところは『官僚機構の問題』なんですね。だから、これを本当に変えられるかどうか?政治が本当に役所をリードできるかどうか?これが一番の争点だと思います」

御厨

「増田さんは、いかがでしょう?」

増田

「今、政党というものが、一体どういう役割を果たしていくのか?ということに対して、国民の中に、ものすごい不満があるのは、間違いないですよね」

御厨

「そうですね」

増田

「底流にある政治に対する根強い不信。ひとつは、今、片山さんがおっしゃたように、政治と行政との関係があるかもしれません」

御厨

「はい」

増田

「あと、政治家の質ですね。大きな政治が示す構想力の欠如。ですから一体、政治信条で集まっているはずの政党というものが、今後どういう風になっていくのか?それを各党が、示せるかどうかじゃないでしょうか」


― 「政権交代」の本当の意義とは?
御厨

「現在、民主は300議席に迫る勢いと言われていますが、もし仮に、政権交代した場合、何が変わりますか?」

増田

「政権交代は、細川政権の時に、一回、経験しているんですね。わずか8ヶ月でしたけど」

御厨

「はい」

増田

「あの時、私は、まだ現役で、霞ヶ関で官僚をやっていましたが、当時は、むしろ、新政権側から『みんな安心してくれと』。『そんな重要なところを変えるわけじゃないから』という、ささやきみたいなものがあって」

御厨

「そうですか」

増田

「官邸も、ずっと継続して、石原信雄さんが官房副長官で。政権交代はしたけれど、変わった政権の側から、継続性とか、変えないという安心感を、むしろ言われました」

御厨

「なるほど」

増田

「ですから、今とちょうど全く逆の状況で。だから、今回が本当に初めての転換、政権交代になるかどうかじゃないでしょうか」

御厨

「片山さんは、どうですか?」

片山

「あの〜政権交代が、本当にあるということは、今までの政策が、ガラッと変わるかは、ともかくとして『政策が点検される』ということが、必要なんですね。それで『是は是。非は非』で、直していく」

御厨

「なるほど」

片山

「今、増田さんがおっしゃったように、細川政権の時は、官房副長官が変わらなかったことに象徴されていますけど、官僚は、変わらなかったので、そうしますと、従来から官僚が積み上げてきた政策、それを自民党内閣が追認してきた、そのやり方は、変わらなかったんです」

御厨

「そういうことですね」

片山

「政権交代は、形式では、ありましたけれども、事実上、それまでの政策の点検はやられてない。今回、仮に政権交代すれば、従来の政策を点検して、その失敗をちゃんと明らかにできるかどうかですよね」

御厨

「そこが、ひとつの歴史的な意味?」

片山

「そうですね。それで初めて、政権交代の意義があるんだろうと。そういう政権交代を繰り返すことによって、失敗をなくしていく、是正していくと。そうすれば、政治が一段進化すると思いますね」