御厨 |
「現在、民主は300議席に迫る勢いと言われていますが、もし仮に、政権交代した場合、何が変わりますか?」 |
増田 |
「政権交代は、細川政権の時に、一回、経験しているんですね。わずか8ヶ月でしたけど」 |
御厨 |
「はい」 |
増田 |
「あの時、私は、まだ現役で、霞ヶ関で官僚をやっていましたが、当時は、むしろ、新政権側から『みんな安心してくれと』。『そんな重要なところを変えるわけじゃないから』という、ささやきみたいなものがあって」 |
御厨 |
「そうですか」 |
増田 |
「官邸も、ずっと継続して、石原信雄さんが官房副長官で。政権交代はしたけれど、変わった政権の側から、継続性とか、変えないという安心感を、むしろ言われました」 |
御厨 |
「なるほど」 |
増田 |
「ですから、今とちょうど全く逆の状況で。だから、今回が本当に初めての転換、政権交代になるかどうかじゃないでしょうか」 |
御厨 |
「片山さんは、どうですか?」 |
片山 |
「あの〜政権交代が、本当にあるということは、今までの政策が、ガラッと変わるかは、ともかくとして『政策が点検される』ということが、必要なんですね。それで『是は是。非は非』で、直していく」 |
御厨 |
「なるほど」 |
片山 |
「今、増田さんがおっしゃったように、細川政権の時は、官房副長官が変わらなかったことに象徴されていますけど、官僚は、変わらなかったので、そうしますと、従来から官僚が積み上げてきた政策、それを自民党内閣が追認してきた、そのやり方は、変わらなかったんです」 |
御厨 |
「そういうことですね」 |
片山 |
「政権交代は、形式では、ありましたけれども、事実上、それまでの政策の点検はやられてない。今回、仮に政権交代すれば、従来の政策を点検して、その失敗をちゃんと明らかにできるかどうかですよね」 |
御厨 |
「そこが、ひとつの歴史的な意味?」 |
片山 |
「そうですね。それで初めて、政権交代の意義があるんだろうと。そういう政権交代を繰り返すことによって、失敗をなくしていく、是正していくと。そうすれば、政治が一段進化すると思いますね」 |