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第二五六回 ('09年6月14日放送)
 「近づく天下分け目」
 〜でも、迷走〜
 ゲスト: 加藤紘一 氏 / 藤井裕久 氏

― 日本郵政・社長人事問題について
御厨

「この問題は、もう半年も迷走してるわけですど、麻生首相は、なぜもっと早く手を打たなかったのでしょう?」

加藤

「改革派、郵政派、いろいろあって政治要求もあるんでしょうけど、もっと早くやるべきでしたね」

御厨

「そうですね」

加藤

「国有企業を売却する時や、社会主義国家が、自由化する時は、必ず利権は発生するんですよ。ロシアは石油成金ができた。中国は土地成金ができた。だから350兆円の郵政グループの民営化の時には、徹底して、そこを用心しないといけない」

御厨

「はい」

加藤

「ところが『かんぽの宿』を受けた人は、最後に1人で、それは改革グループの中のオリックス、宮内さんのところなんですね。これはダメです。だからその意味で、これを問題にするのは良かったと思います」

御厨

「はい」

加藤

「でも『それはダメよ』と言う権限は、鳩山さんにあるんです。早くおやりになれば良い。それなのに、人事権者の鳩山さんが、マイク持って街頭演説して、その方針を『あ〜でもない。こ〜でもない』と言ってるのは、本当にバランスを欠いてますね」

御厨

「藤井さんどうでしょう?」

藤井

「一括してやっちゃったでしょ。しかも、それが企画の提案で選んだわけで、金額じゃないんですね。それから2700億円。建物だから減価してそれでも1300億円の評価があったものを、100億円で売っちゃった。これは、鳩山さんの言うことが、遅かったにしろ、利があるように思いますけどね」

御厨

「李下に冠を正さずという言葉がありますが、何かドツボにはまるようにこの事件は起きた。そして、時が経つにつれ、問題が複雑化して、なにか、小泉改革の是非を問う形になってますよね」

加藤

「まあ小泉改革は、国がね、銀行をする必要ないし、簡易保険、生命保険、損保会社でしょ。なにも国が、保険会社をやる必要ないですから。だから郵政を民営化するは、良いんだと思いますよ」

御厨

「はい」

加藤

「そこの財産の売り方と、その後マネジメントの問題だと思います。郵便の不正事件ありましたね。だからこれは、大臣と総理大臣がバシバシバシと。みんなが納得するような処理をしたら良いんですよ」

御厨

「藤井さんは、このドタバタをどうご覧になります?」

藤井

「まず、民営化の問題と、社長の責任はまったく別の問題だと私も思っているんです。民営化の問題は、今、誰も『公社に戻せ』と言ってる人はいないです。よく『郵政の労働組合の人が』と言いますが、その人達の意見を良く聞いても、そんな事は言ってない」

御厨

「なるほど」

藤井

「中の郵便会社ですか『なんで分けてるんだ?』とか、特に地方のほうが、疲弊しすぎてるじゃないか。こんな事をやるから、そういうところをみんな言ってるわけで、そこは『是正する』ということだと思うんですね」


― 麻生首相で、解散するのか?
御厨

「しかし、低支持率ですが、この状態で衆院選に突入しますか?」

加藤

「う〜ん。国会議員は、表情がこわばってきましたね。民主に風がまた戻っていったような。そんなに僕は、民主党が素晴らしい政策をうってると思いませんよ。でも、こっちは、麻生さんに対する信頼が元々低かった。やっぱりきついなと思います」

御厨

「衆議院の任期は9月10日で、すると夏に時間が空いてますが、そこで総裁選をやるチャンスは?」

加藤

「お盆ですからね。そういう時に、選挙をやってたり、総裁選というのは合わないんじゃないでしょうか」

御厨

「加藤さんは、チャンスがあったら、総裁選に、手を挙げられますか?」

加藤

「いやいや、そんな。とにかく今は『党が勝つようにどうしたら良いか』という風に考えるだけです」

御厨

「舛添さん、なんてことも取り沙汰されていますけど?」

加藤

「そうですね。ダンダンこのままいくと『どなたでも良いから代わって欲しい』みたいな雰囲気が出始めるかもしれませんよ。具体的な名前は別として『今の状況を何とか変えて欲しい』と、悲鳴にも似たような声が出始めましたね」