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第二五二回 ('09年5月17日放送)
 「小沢代表 辞任!新民主の行方は…」
 〜何が試され、それがどうなって、これからどうなる〜

 ゲスト: 藤井裕久 氏 / 武村正義 氏

― 誕生!民主党・鳩山新代表
御厨

「鳩山氏・124票。岡田氏・95票で、民主党の新しい代表は、鳩山氏に決定しました。この結果はどうご覧になりますか?」

武村

「やっぱり鳩山さんが、強かったんだなと思って、見つめておりました。小沢さんが、全面的にサポートされたようにも聞いてますし、いくつかのグループが組織を上げて応援もしてますから」

御厨

「そのようですね」

武村

「岡田さんは、自らグループを作らないのを信条にされてるので、1人1人が信じて岡田さんを押した。良くこれだけ集まったと思うんですけど。勝てなかったなと」

御厨

「藤井さんはどういう風に、ご覧になりましたでしょうか?」

藤井

「今度の代表選で非常に良かったと思うのは、この2人だけが出たということです。なぜならば党の代表になることはもとより、次の日本のリーダーになる可能性が高い方ですからね。顔見せのような人には出て欲しくなかったんですね」

御厨

「なるほど」

藤井

「結果としてこの2人、つまり政治の良い意味のプロフェッショナルが2人だけ出たという事は非常に良かったと思っておりまして。結果については我々党員としては素直に受け止めて、これからの団結を大事にしなくてはいけないと思っております」

御厨

「世論調査では岡田さんが圧倒的な人気で、議員で投票したら鳩山さんが勝っちゃった。こういう現象をどうご覧になりますか?」

武村

「民主党の議員さんが、小沢さんが去った直後の民主党をどうするか?という当面の事に目がいった。まとめ役というか、一致結束、党内調整、党内をまとめてくれる人に、鳩山さんが良いんではないかと考えたのでは」

御厨

「なるほど」

武村

「しかし最後の演説を見ても、岡田さんは迫力がありましたね。国民向けの説得力が、かなり高い立派な政治だなと改めて認識しました。だから勝ち負けはともかく、岡田さんが近々、民主党、ないし日本のリーダーになられることは、間違いなと逆にそう思いました」

御厨

「武村さんは、さきがけ時代に、鳩山さんとは御一緒だったんですよね。鳩山さんについては何かエピソードはありますか?」

武村

「私が、官房長官を預かった時に、彼が副長官で、8ヶ月ほどコンビでしたし、その後、私が、さきがけの代表になってからも、3年ぐらい。いわゆるコンビでやってきた4、5年は、鳩山さんに随分世話になった1人です」

御厨

「そうですか」

武村

「その間、一度も言い合いをした事がないというか、喧嘩をせずに済んだというか。だから結局、今度の場合も、小沢さんにとっては鳩山さんは、使いやすかっただろうなと。きっと代表と幹事長の関係で、小沢さんは、鳩山さんを気に入ったんだろうなと勝手に思ったりもしました」

御厨

「なるほど」

武村

「鳩山さんは、ひょうきんな人だし、家柄も良い家で育ってスクスクときてますし、そのぐらい恵まれた人物という事からいって人に優しいところもある。言葉を変えれば、融通無碍というか、天衣無縫みたいなところもあって、発想も軽快なんですよね」

御厨

「そうですか」

武村

「党内の調整役としては、うってつけだと思いますね。自己主張は、それほどしない方だと思いましたから、政策については、岡田さんと色んな人が入って、しっかり任せながら、二人三脚か、三人四脚でやられたら、上手くいくなと思いながら見てます」

御厨

「藤井さんは、鳩山さんというと、どんなご印象でしょう?宇宙人という評もあったりしますけど」

藤井

「宇宙人というのは、マスコミの人は良い名前付けますね(笑)。要するに、超然としてるという事でしょう」

御厨

「なるほど。では、小沢さんにも超然となりますか?」

藤井

「これはですね。彼が、幹事長の時に良く努力されたと思うのは『小沢さんが辞めるべきだ』いや『違う』という人が、拮抗しているなかで、上手く、上手くやってましたよ。そして、マスコミには『あの人は説明責任を果たしてない』という事をちゃんと言ってるんですね。ですからね、本当に堂々とやられてたと思いますよ」

御厨

「代表選をめぐる、新聞記事を見てみると『親小沢 VS 非小沢』などと書かれています。どうでしょう、藤井さん、鳩山さんで、小沢民主の総括と脱却が出来るのでしょうか?」

藤井

「まずね『親小沢 VS 非小沢』というのは、あれはどうも作られたような気がしてしょうがないし、鳩山さんにも岡田さんにも気の毒だと思ってるんです。特に、鳩山さんから言いますと、あの方は仲を一生懸命取り持ちながら、さっき申しように『説明責任を果たしなさい』という事を、小沢さんにはっきりと言っているんで、べったりというよりは、相当離れてますよね」

御厨

「なるほど」

藤井

「そして、岡田さんは自民党時代に1年生で議員に入った時から、本当に小沢さんは、彼を可愛がってましたね。岡田さんの方も『政治の親父は、小沢さんだ』と言ってね。それは怒られ、怒られですけどね、本当に可愛がっておられたのは、間違いないですから。こういう図式は、両方の方にとって、可哀想だなという気がしております」

御厨

「武村さん、どうでしょう?『小沢院政』という事も言われていますが?」

武村

「小沢さんご自身もお感じなんじゃないでしょうか。70歳にだんだん近づいておられるし、そういう意味では、年齢そのものから考えても『もう、そろそろ俺も、政治家としての終わりが近づいてる』『ある程度、自分の政治生活にはこの辺りで区切りをつけよう』と。でも『まだ元気だから、しばらく頑張るのは、頑張る』と、こういう心境じゃないかと、僕は、思いたいですね(笑)」

御厨

「なるほど」

武村

「小沢さんの自身のためにも、そのくらいの心境で残りを頑張って欲しいです。『院政』とか『傀儡』とか言われないように。しかし、鳩山さんも先ほど、天衣無縫と言いましたけど、宇宙人ですし、極めて自然人だから、彼は、いつまでもジメジメと、小沢さんにこだわってないと思いますよ。わが道を行く感じで、もう半年もすれば、鳩山ペースになるんじゃないかと思います」