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第二五一回 ('09年5月10日放送)
  「カウントダウン選挙」
  〜自民党のジレンマ、民主党のジレンマ〜
  ゲスト: 仙谷由人 氏 / 片山善博 氏

― いよいよ深刻!?小沢代表の進退問題
御厨

「この2ヶ月間、どこの調査でも6割が小沢代表に『辞めるべき』と言っている。正直、これで良いんでしょうか?」

仙谷

「僕は、政治家・小沢一郎にとっても、ここは1歩後退、2歩前進という戦略をとらないと、せっかく20年間、日本の政治の中心にあって『2大政党政治を日本に実現させよう』『政権交代を実現させるのが、本当の民主主義なんだ』と言って、頑張ってこられた」

御厨

「そうですね」

仙谷

「だけど、選挙直前に秘書が逮捕された。そのことについては私も弁護士ですから、検察のやり方について言わないといけないことは相当あると思ってますけども、事ここに至っては、国民の皆さん方の反応を拝見していると〜」

御厨

「はい」

仙谷

「小沢さん自身も、民主党に勝たせるという1点でね。亀井さんもおっしゃったんですけど、私も『身を捨てて浮かぶ瀬もあれ』と、冷徹な政治計算の上で政治決断をしなければと」

御厨

「なるほど。片山さんいかがですか?」

片山

「私は今回の小沢代表の進退問題は、実は民主党が問われてると思うんですね。政治資金規正法の法律の問題で、小沢さんの秘書が逮捕された。これは適切に処理してると言われてますけど、実はそういう問題ではなくて」

御厨

「はい」

片山

「民主党は、代表が依然として、公共事業の関係から政治資金を調達していたんですか?と言うことなんですよね。ちゃんと制度を作って、政党交付金も出ている。どうしてまた別途、公共事業から政治資金を調達しなきゃいけないんですかと」

御厨

「なるほど」

片山

「政治資金を公共事業から調達すると言うことは、全部、官が発注してるんでしょ、お役所が。お役所が発注したものが、談合だとか色んな仕組みの中で、超過利潤が発生して、そのうちの一部が政治に還流しているというのが、公共事業と政治資金の関係ですよね」

御厨

「そうですね」

片山

「これは自民党的体質なんですよ。それに対して、民主党はそれを乗り越えて、批判して『政権交代しよう』と言ってきた。ところが、その民主党の代表が、自民党的体質の延長そのままであった。『それでいいんですか?』ということです」

仙谷

「今、片山さんがおっしゃった通りでね。我が党の党是は『コンクリートから人へ』。つまり投資のあて先を人材養成、教育、あるいは、医療、介護。そちらの方に優先すべきであって、そもそも公共事業の世界は、適正化することが必要なんだと言ってやってきた」

御厨

「はい」

仙谷

「ところが蓋を開けてみたら、ダムか道路か知らないですが、東北地方の公共事業というのは割と、小沢先生の事務所に、ご挨拶をしないと上手くいかないみたいな、西松をはじめ、色んなところにあったんですかね?というこの雰囲気が、ボディーブローのように入った6割という数字じゃないかと思っています」

御厨

「そうすると、みんな不思議に思うのは、小沢さんが辞めた方が良いとみんな思ってるんだろうけど、民主党の中で、どうしてそれが言えないのか?言わないのか?」

片山

「私は、民主党の中に1つの恐怖感があると思うんですよ。小沢さんが辞めた途端にバラバラになるんじゃないかと。でも、そこを乗り越えないと民主党の政権交代はないと思うんです」

御厨

「なるほど」

片山

「ですからこの問題を、小沢さんだけに『語れ、語れ』じゃなくて、本当にもっと党の外に、民主党の皆さんが語るべきだと思いますね」

御厨

「仙谷さんは、前原グループの会合に出席になったんですよね。どんな感じでしたか?」

仙谷

「それはみんな現職は『このままでは政権交代が出来るような数が取れるはずはないよね』と。それから、新人議員からは基本的には、悲鳴が上がってますよね。だからその声を改めて聞いてみよう、という趣旨でやったんですけどね」

御厨

「民主党内には、やはり小沢さんを支持する人達が結構多いのですか?」

仙谷

「特に、参議院選挙で勝って『小沢さんの力で我々は議員バッジを付けられた』という方が、相当いらっしゃる。だから今、温度差が違うのは『どこそこのグループに入ってる』という帰属意識のある人はそんなに強くなくて、やっぱり選挙が近いことについての『衆・参の温度差』の方が強いような気がしますけどね」

御厨

「そうすると、小沢さんに辞任を迫る行動のリミットはいつでしょう?」

仙谷

「う〜ん、選挙の投票日が8月9日だとすればですよ。僕の経験からすると選挙には、代表が代わるんであれば、2ヶ月ほしいですね」