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第二四四回 ('09年3月15日放送)
  「『小沢・秘書逮捕』『二階疑惑』の衝撃と行方」
  ゲスト: 野中広務 氏 / 亀井静香 氏

― 小沢代表・秘書逮捕の波紋・・・
御厨

「亀井さんは、電話で直接、小沢さんとお話なさったと伺ってますが、どんな感じでしたか?」

亀井

「記者会見と、同じことを言ってました。これは、怒るのが当たり前ですよ」

御厨

「と言いますと?」

亀井

「別に私は、小沢さんをかばう個人的友情もないんだけど。これはね、検察が、小沢一郎を逮捕するところまでいくのであれば、納得いくんです。そのために、側近の秘書を小沢さんと離すために無理をして、別件逮捕をしたのであれば、分からない話でもない。だけども、そうでないとすれば、何も大久保秘書を、今ね、あと6ヶ月ですよ。満期までいって」

御厨

「そうですね」

亀井

「このことが選挙に重大な影響を与えるのは、子供でも分かる話ですよ。それをあえてこの時期にやったという事であれば、仮に大久保秘書の別件逮捕があるとしても、私はやるべきではないと思います。それであれば選挙が終わってから、大久保秘書をちゃんと料理すれば良い話であってね」

御厨

「野中さんはどうご覧になります?」

野中

「私はね、来るべきものが来たと、そう思ってるんです。小沢さんは、法律の司法試験を目指した人ですから、結局、『ダミーの団体を作って、それをフィルターにかければ、これはどうもないんだ』という解釈があったんじゃないかと。それが積み重ねた検察の調査で明らかになって、この時期になったということだと思いますよ」

亀井

「だけどね、私は非常に問題だと思うのは、小沢さんの資金的な背景が、どうであるか、マスコミが今、盛んに書いてますが、そういう事が非常に問題だという批判と、法律違反とは、やはり分けて考えないとね。それを一緒くたに、『小沢けしからん奴だからやっちゃえ』というのは・・・」

御厨

「う〜ん」

亀井

「と言うのは、2つの政治団体にしても、法務省に届けてあるわけですよ。今の『政治資金規正法』の立場で言えば、そこから受けるものであれば、背後に何があるとか、構わないんです。ちゃんとした団体から受けてるお金だから、何も政党支部じゃなくても、管理団体で受けても良いという事で、秘書は処理したんだろうと」

野中

「しかしね、今の岩手県知事は、達増さんですが、その達増知事の部屋には、小沢さんの事務所から秘書が、現に入ってるんですよね。だから、岩手を中心に東北全体を仕切ってきたと。今の小選挙区制度と政党助成金を税金から政党に助成するという、あの制度を提案したのも、小沢さんですよ。その小沢さんが、こういう状態で出てきたというのは、これは私は出るべきものが、出たという感じですね」

亀井

「ですから、政治的にはそうかもしれませんけども、小沢さんを、法律違反で捕まえるなら、やれば良いと思うんですよ。しかし、小沢さんを法律違反で逮捕できなければ、私は大変な問題を残すと思いますね。検察というのは『政治的にけしからんから、やっちゃえば良い』と言うのではなく、きちんと法律違反を犯してる場合に出るのが、検察の仕事ですからね」

― 今後の小沢代表の進退問題について
野中

「私はやっぱり、24日に大久保秘書が起訴されるかどうかによって、小沢さんは自らの身の処し方を考えられるだろう。それが政治家というものだと。そう思いますがね」

御厨

「なるほど。亀井さんはいかがですか?」

亀井

「元々ね、今の起訴事実について小沢さんは『これで逮捕するのは間違いだ』『検察が取り上げるのが間違いだ』と言ってる。簡単に言うと、管理団体から政党支部に付け替えれば良い。これは本当にそうなんですよ。そういう点では、危機管理が出来ないんですよ、民主党はね。政治団体が実際は企業献金だったと言う目で検察が見てるなら、これはやばいと。政党支部に付け替えておくと。色んな政治家やってますよ」

御厨

「う〜ん」

亀井

「『政治資金規正法』という法律は、政治家を縛るためにあるんじゃなくて、国民の目から見て、お金の出と入が、透明化されるためにあるんです。だから、処理の仕方が、形式的に間違えておったら、修正できるようになってるわけです。だからね、それを今、やってればね、検察は逮捕しようと思っても出来なかった。これは、そういう事案なんですよ」

御厨

「ただ、法律の問題、検察の問題で話をしてくると、そういう色んな面があると思うんですが、同時に、第一秘書が逮捕されて、やがて選挙が来るわけですね。この状態の小沢さんで選挙が戦えるのかどうか、そっちの方の問題が、国民の目から見たときに、あると思うんですが?」

亀井

「これはね、最高裁で無罪になる場合もあるし、第一審で無罪になる場合もあるし、色んなケースがありますよね。今の国民は、裁判の結末を見て判断するんじゃないですね。やはり検察が起訴したら、検察が正義だと思い込んでるわけですから。だから冤罪だとか、検察の検察権の行使が適切かどうか、なんて批判の目で見る人はあまりいませんよ。そうなってくると、起訴されたらね、大変な事をやったという事になるんですよ」

御厨

「そうですね」

亀井

「ですから、そういう現実を踏まえて選挙をやらなければいかん。『さて、どうするか』という党首の判断は、あるかと思いますよ。それは小沢さん自身が、選挙を考えて国民がキチンと真実を理解してくれない場合であっても、選挙を勝たなければいけない立場からどうされるか?私には分からない」

御厨

「野中さんどうでしょう。民主党内から小沢降ろしが、出てこない。どうしてでしょう?」

野中

「そうなんですよ。あの党は小沢さんが一言、言えばスーッと。それで誰も言わないところに、何かあの党に期待するものの少なさがあるんですよね。有能な人材が沢山おりながらね、なんか言論が封殺されてる」

御厨

「そうですね」

野中

「これからは具体的なものが出ることによって、民主党のこれから、国家の為にと物言う時期が出てこなければ、彼らは、何のために『ネクストキャビネット』と言って、次の内閣総理大臣だ、総務大臣だ、と言って肩書きにまで書いて、やってきたのかと思いますよ。本当にね、恐ろしいほどみんな黙っちゃってる」

御厨

「そんな中でも、鳩山由紀夫・幹事長、菅直人・代表代行。そして、岡田克也・副代表、前原誠司・副代表、などの名前があがっていますが?ずばり次は誰がなるという風にお感じになりますか?」

野中

「いや、私は分かりません。わかりませんけれども、テレビに出ずっぱりで、守っておる鳩山幹事長や、菅代表代行ではなく、若い岡田君等に、もっていかれたら、むしろ空気がまた変わっちゃうでしょうね。小沢さんがずっと引きずってくれた方が、選挙は、やりやすいでしょうな」

御厨

「なるほど。亀井さんはどうです?」

亀井

「分かりません。私は、いつも民主党の連中に言ってるのは、とにかく混ぜご飯で、おかゆになってる民主党が、世論調査頼みで、選挙で勝てそうだということで、小沢丼に固まってる、そんな事では政権は取れないよと」

野中

「そうだ。そうだ。」

亀井

「人類の歴史を見てみろ、全部、政権が変わるのに血が流れてるんだぞ。民主主義の手続きでなされる場合でも、今のように政権がひとりで手に入るみたいな事を思ってたら、あんた達、政権取れないよってね。私はいつも言ってるんです」

御厨

「なるほど」

亀井

「政権は、戦い取るものであって、そういう世論調査でどうなるか、そんな事は一晩で変わっちゃう事であって。残念ながら、今の民主党は、そういう意味で、何か他人頼みというか、そういう空気が強すぎるからね。本当に心配ですね」

御厨

「戦うって感じでは、ないんでしょうかね?」

亀井

「だから、民主党の国会対策がそうでしょ」

野中

「いやいや、自民党も一緒ですよ。胆力が無い。自ら身を捨ててでも、この国のためにやろう、そして責任を持って、自分は火の粉を被ってもやろうという政治家と、根性がなくなってきた。そこがね、不幸な事だと思いますよ」