野中 |
「やっぱり安倍さんが途中で辞任をし、福田さんになって、小泉改革の粉々に日本国中を潰したような改革の軌道を、少しでもまともな関係に戻していこう、あるいは靖国や、中国の関係も正常な形に戻していこうと、ようやく落ち着いて政治をやってもらえるかな、と期待したその時に、福田さんが途中で辞められたというのは、今日の麻生さんの混迷振りに、結果的に繋がり、最悪の事態になってしまったと」 |
御厨 |
「う~ん」 |
野中 |
「日本の人達も、格好良く踊る政治家にある意味において憧れたのかなと。何回も総裁選に負けては出、負けでは出した、小泉さんや麻生さんの内面を知る事が出来なかったというのが今日の最大の不幸だと。そうなると福田さんが辞めたのは、非常に惜しかったなとしみじみと思います」 |
藤井 |
「私も、本当にそう思うんですよね。だけど、こういうことが重大ニュースになること自体が、日本の政治が滅茶苦茶だという風に言わざるをえません」 |
御厨 |
「そうですね」 |
藤井 |
「前から言っていますように、この2年の間には『解散』という大きな選択肢があったはずです。政治が混迷したときこそ解散すべきなんですね。もう1つは「憲政の常道」なんですがね。昭和29年に吉田自由党と鳩山民主党があったわけですが、吉田自由党が瓦解して、緒方竹虎さんが次の総裁になった。その時、緒方さんは、野党第一党である鳩山民主党に譲るということを決断されたわけです。そして、その代わり鳩山民主党が解散をする。数ヶ月のうちに解散して選挙をやった。これが憲政の常道なんです」 |
御厨 |
「麻生さんは、選挙向けの顔だったのに、解散を先延ばしにしたことで、色んな面でギクシャクして」 |
野中 |
「それはその通りでしてね。麻生さんが、文藝春秋に論文を書かれたのは冒頭解散だったと思うんですけど、それがいつの間にか居座りになり。それを批判する党の中の雰囲気も無くなってしまった。だから野党も野党としてですね、健全化ぶりもはっきしないで大連合というような夢を描いてみたり、混乱が混乱に拍車をかけてしまったと私は思うんで、支持率はどんだけ下がろうが必死に権力にしがみつく。資質が無いのに、そういう嫌な面を国民は見せられ、どん底に国民が落ちていく。そこに警告を発する政治家がいないというのは非常に悲しい事だなと思っております」 |