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第二二八回 ('08年11月23日放送)
  「油断。迷走が続いて・・・」〜小沢代表が動き出した〜
  ゲスト: 藤井裕久 氏 / 増田寛也 氏

― 修正連発!麻生首相の発言がコロコロ変わって・・・
増田

「何か総理が話をされる前には、政権としての色々な調整ですとか、やり取りが当然あって然るべきなんですよね。総理の発言が非常に軽く見られると、国民にとっても政治不信につながりますね」

御厨

「郵政の問題、道路財源の問題でも発言の修正がありました」

増田

「いずれの問題も政策として今後の決着の仕方に、非常に不安を感じさせると思います。本来なら、政府与党が一体で、政策を実施していくわけですから、こんな風に百家争鳴だったら、誰が物事を決めていくのか、という風になってくる」

御厨

「それにしても、定額給付金は、混乱してますね」

藤井

「まず基本的理念がハッキリしてないんですね。生活支援なのか、需要対策としての減税なのか。はじめは、定額減税でしたから全世帯。そのうちに与謝野さんが『所得制限をかけるべきだ』と言って、すると、麻生総理も『そうだ』と。そのうちに分らなくなっちゃって『地方団体でやってください』という風になった」

増田

「『これは地方分権だから」と言いましたでしょ。それで完全に「何だ」と思いましたね」

藤井

「地方分権とは何か、全然、意味が分ってないですね。これは地方分権の話ではなく、自分たちで出来ないから、地方にあんた頼むよって話ですから、地方分権でもなんでもない」

増田

「やはり『地方分権だから』と言うんじゃ、居直りに聞こえるわけですよ。そうではなくて、配るために実務は大変なんですよ。所得についての情報を市町村は持ってませんし、ですから、随分手間もかかるので『苦労をかけるけれども、よろしく』と一言えば済んだ話なんですよね」

御厨

「なるほど」

増田

「ですから政策理念のところが問題になるけれども、もう是非の問題じゃなくて『2兆円で実施する』と決ったわけだから、後はいかに効率的に早く実施をするかだけに的を絞って意思統一をしておけば良いと思うんですが。何か、これに象徴されるが如く政権のつっかえ棒と言うんですかね。そういう役目の人が見えなくて、そのことがまさに『迷走してる』と言う風に受け取られるんじゃないでしょうか」

御厨

「あとは、財源は埋蔵金という話も。赤字国債は使わないと言っていますが?」

藤井

「埋蔵金があるか、無いかも問題なんですが、埋蔵金を称するものが仮にあった場合。使うのは赤字国債と同じです。つまり、そういうお金があるとすれば、それは借金の返済に回すべきなんですね。なぜなら、家庭ではいえば、自分の預金を崩してそれを毎月の消費に使うのはいけないんで、家のローンがあるならローンを返しなさいと」

御厨

「そうですね」

藤井

「仮にあった埋蔵金を定額給付金に使うなんてのは、赤字国債と同じだと私は思ってますね。しかも、これをやるのは、1年こっきり。こんなものは誰が考えても選挙目当てのバラマキとしか考えられない。赤字国債を使って、バラマキをやる。そのバラマキには経済効果が無い。もっとやることは他にあると思います」

増田

「ですから、今、大事なことはやっぱり財政の継続的な健全さを取り返すという事ですよね。そこに非常に国民の不安はあるわけで、消費税の議論は難しいにしても、もっと息の長い取り組みの姿を示すことが大事じゃないでしょうか」