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第二二四回 ('08年10月26日放送)
  「『決断』それとも『見送り』?」 〜歴史の節目で〜
  ゲスト: 藤井裕久 氏 / 寺島実郎 氏

― 解散は?給油継続法案は?日本は?
御厨

「給油継続法案。衆議院は審議2日で通った。藤井さん、民主党として、これは?」

藤井

「これは政局であることは間違いありません。その政局にすることの是非というのは色んなご意見がありますし、謙虚に受け止めなきゃいけないと思っております。ただ、ずっと歴史を見ますと、政局というのはここ一発ではやるんですね」

御厨

「ここ一発と言いますと?」

藤井

「例えばですね。昭和33年、3人の大臣が辞めたんですね。池田、三木、灘尾。これは政局なんです。反主流だから、岸さんを倒すために辞めた。そして池田さんが総理大臣になった。これは全く政局なんです」

御厨

「寺島さんいかがでしょうか?去年は断固反対して、今回は通しちゃうてのはちょっと腑に落ちないところが…」

寺島

「選挙を睨んだ党利党略という事は分るんですけども、この法案って非常に大事なんですよね。結局『インド洋で給油することが日本の国際貢献です』というロジックの枠の中で動いてるんですけど、世界のアメリカ外交を担当してる人と議論すると『日本がそんな事をやってるの?』ってレベルの知識しかない人もいるぐらいで…」

御厨

「そうですか」

寺島

「ですから我々が一方的にインド洋で給油することが、国際貢献だと思い込んでる枠組みを脱していかなければいけない。『日本らしいアフガニスタンに対する関わりは何だろうか』と真剣な議論を今しなきゃいけないのに、また元の木阿弥で、しかも政局の題材にされて、本当に納得いかないですね」

御厨

「民主党は、解散前提で協力をしてこられたが、解散しないということになると?」

藤井

「さっきもお話したように、政局はやたら考えるものではないけど、ここ一発ではありえる。そして、これが一発だったと思いますが、それが崩れれば、給油問題が、本当に世界平和に貢献できるものなのか、原点に戻って議論したらよいと思います」

寺島

「僕が大事だと思うのは、3年前の小泉郵政選挙というものに対する反省を国民を含めてしっかり持たなきゃいけないということです。郵政民営化にYESかNOかという選挙で、目くらましのような形で3分の2の状況を作っちゃった」

御厨

「そうですね」

寺島

「一種の改革幻想に取り憑かれたように、日本人は過去10何年間と、政治改革と言い、行政改革と言い、実際には本質的な改革がなされないまま、今日に来ている。日本人は、自分たちが、この国をどういう方向に期待していくのかという事を、自分の頭で考えないと、政治を見る目が肥やされないと思います」