半藤 |
「これは官僚に『喋るな』と言われたから、喋らなかったんでしょうかね?」 |
藤井 |
「そうだと思います。経緯を見ますと、7月の初旬にちゃんと連絡が来ているんですね。それをまず隠した。それから胡錦濤と会うということで、初めて総理に耳打ちをした」 |
御厨 |
「なるほど」 |
藤井 |
「それから1ヶ月経って、8月6日にばれて、しょうがないから出したと。まず初めから総理に教えない事が問題。教えられた総理も、1ヶ月ほったらかしていた訳ですね」 |
御厨 |
「何となく、お役人に操作されているような…官僚主導の政治が行き着くところは、歴史的に見てどうなんでしょう?」 |
半藤 |
「官僚主導が行き着いたのは、太平洋戦争の時の陸軍官僚。陸軍の参謀本部なんてのは大体官僚ですからね。あれが行き着いたところは、国を滅ぼしてしまったと」 |
御厨 |
「なるほど」 |
半藤 |
「こういう官僚の人がやるのは、大体、後手後手にまわる。そして、起きて困ることは起きない、という風に官僚の人は考えるんですね。そして自分が立てた計画はうまくいくと、どんなに状況が変わっても考え続ける」 |
御厨 |
「それで責任を取らない」 |
半藤 |
「そうですね。責任を取らない。非常に独善的で、自分本位で、無責任ですね」 |