時事放談 トップページ 毎週日曜あさ6:00〜6:45
過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 
第二一四回 ('08年8月17日放送)
  「暑い夏に」 〜今こそ転換点〜
  ゲスト: 藤井裕久 氏 / 半藤一利 氏

― 63年前のあの日のこと…
半藤

「私は中学3年生で、軍需工場で働いておりました。11時…そうですね、天皇陛下の放送のある1、2分前まで働いていました」

御厨

「そうですか」

半藤

「すると、突然、機械がポンと止まりまして、ラジオの前に集まったんです」

御厨

「藤井さんは、玉音放送をどのように聞きましたか?」

藤井

「ほとんど聞こえなかったんですよ。ただ『万世の為に太平を開かんと欲す』と、そこだけは不思議によく聞こえまして、これで戦争が終わったんだという実感を持ちました」

半藤

「私もそうですね。『堪え難きを堪へ、忍び難きを忍び』という部分と『万世の為に太平を開かんと欲す』この2ヶ所は非常によく聞こえました。ああ、負けたんだということは分かりました」


― 太田農水大臣の『消費者がうるさいから』発言に…
藤井

「やはり、麻生さんもそういう傾向があるんですが、累代に渡って恵まれた家庭の人というのはね、どうしても人の心の痛みが分からないんですね。今、消費者庁を臨時国会に出して、本当に消費者の立場に立とうという、その大臣がこんな事を言っているようじゃ、話にならない」

半藤

「昔から大臣の方、上に立つ方は、衆愚という言葉が好きなんですね。だいたい民衆は愚なんだと、だから上から教えてやるんだと。私たちを見下してますよね」

御厨

「なんで福田さんはこんな人事をしたんでしょう?」

藤井

「分かりません。とにかく福田人事というのは、バラバラなんですね。まず財政再建派の方を入れた、ところが麻生さんは全く違うこと、赤字だっていい、国債なんていくら発行してもいい、みたいな類の事を言っておられる」

御厨

「そうですね」

藤井

「それから道路特定財源の一般財源化にしても、逆の立場の人も入っている。それで統一がとれるか?という感情を持ちます。現にこの秋、どういう結論が出るか分からないんですね」


― 「中国製ギョーザ中毒事件」。中国側でも被害が出ていたことを、1ヶ月公表せず
半藤

「これは官僚に『喋るな』と言われたから、喋らなかったんでしょうかね?」

藤井

「そうだと思います。経緯を見ますと、7月の初旬にちゃんと連絡が来ているんですね。それをまず隠した。それから胡錦濤と会うということで、初めて総理に耳打ちをした」

御厨

「なるほど」

藤井

「それから1ヶ月経って、8月6日にばれて、しょうがないから出したと。まず初めから総理に教えない事が問題。教えられた総理も、1ヶ月ほったらかしていた訳ですね」

御厨

「何となく、お役人に操作されているような…官僚主導の政治が行き着くところは、歴史的に見てどうなんでしょう?」

半藤

「官僚主導が行き着いたのは、太平洋戦争の時の陸軍官僚。陸軍の参謀本部なんてのは大体官僚ですからね。あれが行き着いたところは、国を滅ぼしてしまったと」

御厨

「なるほど」

半藤

「こういう官僚の人がやるのは、大体、後手後手にまわる。そして、起きて困ることは起きない、という風に官僚の人は考えるんですね。そして自分が立てた計画はうまくいくと、どんなに状況が変わっても考え続ける」

御厨

「それで責任を取らない」

半藤

「そうですね。責任を取らない。非常に独善的で、自分本位で、無責任ですね」