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第二〇二回 ('08年5月18日放送)
  「怒れるお年寄りの中で」 〜袋小路を抜け出すには〜
  ゲスト: 野中広務 氏 / 渡部恒三 氏

― まだまだ、怒りはおさまらず!後期高齢者医療制度
野中

「戦後の大変な歩みを支えてくれた人たちに、こういう最後の送り状を突きつけるのは、人を愛し、人間を尊敬する、そういう事をやらなくてはならない、国会が、やっぱりやっていない」

御厨

「なるほど」

野中

「議会制民主主義と言いながら、人間の技だとは思えないやり方だと、自ら思っております」

渡部

「お金持ちも、貧しい人も、お年寄りも、若い人も支えあって、みんなが、ちゃんとお医者さんに掛かれる。そして、若い時に一生懸命働いたら、お年を召されたら、年金で安心して暮らせる。これが保険制度なんですよ」

御厨

「そうですね」

渡部

「それを、『お前、75歳で後期高齢者だから、お前だけは別枠だ』っていうんじゃね。これは、福祉や保険制度の本質を理解していない。これは本当に許せない法律です」

― 道路特定財源、一般財源化、「2/3再可決」…
渡部

「私は39年国会議員やってるんだけど、これほど国民の皆さんに申し訳ない、国会は初めてですね。なんかしらけちゃってね」

御厨

「う〜ん」

渡部

「だって、総理大臣が『来年から道路特定財源は廃止します』と閣議で決めておいて、しかし今度は『10年間、50億円のお金を使います』という法案を、強引に再可決するなんて」

御厨

「本当にちょっと理屈では合わない感じで」

野中

「いや、これはね、与野党を通じて、『国民生活をどうするんだ』『この国をどうするんだ』という国会議員としての責任感が完全に欠如している。根本的に選挙制度を真剣に考えなければ、日本の議会は本当に崩壊してしまうと思いますね」

御厨

「渡部さんズバリどうでしょう。一般財源化はできますか?」

渡部

「最近の政府与党は、『必要な道路はつくる』ってよく言うでしょ。それは逆に、『今まで必要ない道路をいっぱいつくってきた』ことの反語なんですよ」

御厨

「なるほど」

渡部

「一般財源化するといっても、道路族、国交省の役人たちが、道路の権限は何が何でも離さない。長い間、同じ政党が、政権をとっていたことで、政治と国会と役所が癒着しちゃってる。やっぱりこの辺で、政権が変わらないとね。本当の改革はできないと思います」