塩川 |
「情けないなと思うのは、『あんた扶養家族からはずれた』ということなんです。『あんたは人生の終末期に入ったんですよ』と言わんばかりの話やな」 |
片山 |
「家族から引き離されるというのは、高齢者にとって、すごく心理的な負担が増えると思うんです。なんか厄介払いをされて、あげく本人も厄介なことをしなきゃいけなくなる。そういうことが大きな反発を招いたと思うんです」 |
塩川 |
「医療のお金が不足だったら、もっと色々考え方があると思う。扶養家族から切って計算を別にするんじゃなしに、お金を持っている人には、もっと負担してくれんかと言ってくれた方がいいですよ」 |
御厨 |
「お年寄りには、お金を持っている人も、持っていない人もいますからね」 |
塩川 |
「今、日本の年金は、悪平等になっている。お金持ちにも、貧しい人にも、同じように年金を出しておる。そこには、相互扶助の精神が働いていない。お金をもっていない人には、うんと厚く、社会保障として給付したらいいと思う。お金のある人には、基礎年金はいいから、その分を医療に回すというような仕組みを作って欲しいですね」 |
御厨 |
「どうして、こうなってしまうんでしょう?」 |
片山 |
「政府与党がやっている政策形成過程のツケが回ってきていると思うんです。というのは、大体、政府の中は根回しで物事を決めるんですね。国会で議論し、問題点を明らかにし、必要な修正をする、ということをしない。国会議員の皆さんも『問題ないんだな』とお役人に聞くわけですよ。すると、お役人は『先生、問題ありません』というに決まっている。それで、国民が知らない間に通っちゃう」 |