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 第一九九回 ('08年4月27日放送)
  「そして福田丸の行方」
  ゲスト: 野中広務 氏 / ジェラルド・カーティス 氏

― どうなんだ!?後期高齢者医療制度
御厨

「野中さんは、法案が通った2年前から、怒ってらっしゃいましたね」

野中

「そうですね。戦争の苦しかった時代に一生懸命働き、戦後の困難の中を復旧してきた人たちに、人間として感謝する、そういう政治にとって一番大事な気持ちが欠けていると思うんです」

御厨

「カーティスさんは、日本の医療制度を褒めていらっしゃいますけど、今回はどうですか?」

カーティス

「高齢者に伴うコストが高まる。ここで何とかしなくちゃならないのは、分かるんですけど、このやり方が良いのか非常に疑問に思う」

御厨

「そうですね」

カーティス

「医療制度を保つのは、国の責任であって、小さな政府が、はやり言葉ですが、大きな政府が必要な場合もある。医療はやっぱり国がやるんだと国民を安心させることが大事だと思います」

御厨

「なんで、75歳で区切ったのでしょうか?」

野中

「保険会計の出入りの中で考えて、それを維持するためには75歳以上は別な保険制度にしなければいけない。そして、負担を重くしなきゃいけないと。しかし、所得の多い人にたくさん負担を求めるならそれは良いんですけれど、年金だけで食べている人から天引きするっていうのは、銭勘定だけで、人間としての尊厳を認めていない」

カーティス

「私が1つ非常に疑問に思うのがですね、なんで2年前、法案が通るときに、今のような批判をしなかったのか。マスコミの責任は凄く大きいと思う」

野中

「そうなんです。小泉さんの時代に、『改革だ』と言って大きな声でつくって、国民はホァーと流されているときに、ワールドカップやなんかで他の事で浮かれてそういう時にできたんです」

カーティス

「国民に対して、もっと丁寧に、まず説明しないと。要するに国民を説得し、納得してもらわないと。それで準備もしていないのに、とにかく時間通りにやる。これは非常に残念だし、昔だったらしょうがないとあきらめた人が多かったかもしれませんけど、もう怒りが非常に大きいと思いますね」