「『余人をもって代え難い』というのがキーワードなんですけれど、『余人をもって代え難い』ような能力をもった人間はですね、高い雇用システム、つまりメジャーリーグのようなとこに引き寄せられて、10億円なんてことがボンとでてきちゃうわけです。ところが、問題は『余人をもって代え難い』ような労働じゃないもの。誰がやっても同じってなる。例えば、バーコードをですね、光学読み取り機でなぞるような仕事、時給千円前後っていうイメージで議論したら分かりやすいと思いますけども、そういう人っていうのはですね、そういう仕事って発展途上国でやれば、百円でやれますよっていうような方向にどんどんどんどん引っ張られていっちゃう。それが雇用のグローバル化なんですね。怖いことが起こってるんですね。
ですからそういう流れの中で、どういう分配の基軸、どういう哲学理念をもって、この国では分配をするのがいいのか。特に、日本社会の安定っていうのは何だったかっていうと、中間層を厚く持ちこたえてるっていうところが、世界の中でも日本社会っていうもの、極めて安定した国にしてきてたわけですね。ところがこの十数年で一気に変わって、特にアメリカのようなシステムっていうか、強いものはより強く、弱いものはより弱く、それで何が悪いんだっていう流れが起こってきちゃったんですね。その中で、世界のグローバル化っていう流れは抑えきれないですよ。だけど、その中で、ギリギリどういうルールとか、システムをつくってね、分配の構成とかいうものを計るんだっていうこといかなかったならば、底なし沼のように二極化していく流れが進んでいっちゃいますね」 |