時事放談 トップページ 毎週日曜あさ6:00〜6:45
過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 
 第一三七回 ('07年1月28日放送)
  「支持率低迷〜安倍政権の行方」

  ゲスト: 藤井裕久 氏 / 寺島実郎 氏

いよいよ国会が始まりました。安倍総理と小沢民主党代表の激突も見ものです。しかし、世の中には腹立たしいことや心配なことがたくさんあるのに、政治家の方々は今ひとつその実感が薄いようにも思えます。そんな不満もあってでしょうか、宮崎ではお笑い界から知事が誕生しました。支持率が下がる一方の安倍さん、大臣のスキャンダルも相変わらず新聞や週刊誌で次々取りざたされています。そこで核心をつく発言で知られる寺島さんと藤井さんにズバリお話いただきました。



― また、「耐震偽装」が発覚
寺島

「資本主義社会のゆがみっていいますか、特に90年代以降、市場化とか競争とかいう中でだんだん何かがゆがんできて…。で、これ若い人たちが見上げたときにですよ。この社会腐ってるなっていうか、ものすごく悪い影響与えてると思いますね」

藤井

「これ、政治が一番大事なんですがね、職業倫理っていうのをもっと謙虚に受け止めなきゃいけないと思いますね」

― 宮崎県で東国原(そのまんま東)知事が誕生
藤井

「過去に色んなことがあると言われながら、これだけ大勝したということは政党不信なんですね。もう、政党人は深刻に反省しなきゃいけないと思いますね。数字みましても、各党ですね、公明党、共産党もふくめてですが、三割ぐらいは私は何党を支持しますっていってる人がこの方に入れてるわけですね。それから75、6パーセントだったと思いますが、私は個人を対象にしました、政党ではありませんと、こういってるわけですね。これも大変政党に対する大きな反省というか深刻な事態だと思いますね」

寺島

「私が仮に宮崎県民だとしてもね、そのまんま東さんに入れただろうなと思うぐらいの気持ちありますね。というのはですね、彼にはなにやら異様なまでの情熱とかひたむきさとかっていうものを伝えるものがあって。つまり怒りがですね、爆発してたですね。この話って、滋賀の去年の選挙にも通ずるものですね。全国動いてて感じますけど、いわゆるマグマがね、たまってきてるっていうかですね、特にやはりこの世に格差っていわれてる状況中で、例えばワーキングプアなんていわれてですね、統計的に言うと、非正規の雇用者で、年間200万以下の収入で生きざるをえなくなってる人たちがぐんぐん増えてきて1260万人っていわれてるんですけれども、で、そういう人達をも含めてね、例えば年金で生活しているお年よりの方も含めて、何かおかしいぞと、我々のおかれているとこがどんどんどんどん危うくなってるぞっていう危機感がこうマグマのように高まってきてですね、その怒りが、なにやら政党とかですね、官僚機構で支えられた人達がこの対立候補だったわけですけれども、そういう人達に対する不信感がね、バーンと出てきてて、これはですね、今年及びこれからに向けての政治を動かしてくるね、何か爆発してくるんじゃないかなっていう予感ありますよね」

― 安倍内閣の支持率低下
藤井

「これは自民党の中の総裁選ですけど、要するにあの人がリーダーシップがあるということで応援したわけでもない、理念があるわけで応援したわけでもない。選挙に勝てるんじゃないかというのでやって、結局リーダーシップのなさっていうのが、分かってきたわけですね」

寺島

「あの間違いなくいえることは、国民がやってもらいたいなって思って期待していることと、要するにこの政権がやろうとしてリキんでいることのギャップがあるっていうことですね。まず国民は感じてるんだと思いますね」

― 「格差問題」は
寺島

「『余人をもって代え難い』というのがキーワードなんですけれど、『余人をもって代え難い』ような能力をもった人間はですね、高い雇用システム、つまりメジャーリーグのようなとこに引き寄せられて、10億円なんてことがボンとでてきちゃうわけです。ところが、問題は『余人をもって代え難い』ような労働じゃないもの。誰がやっても同じってなる。例えば、バーコードをですね、光学読み取り機でなぞるような仕事、時給千円前後っていうイメージで議論したら分かりやすいと思いますけども、そういう人っていうのはですね、そういう仕事って発展途上国でやれば、百円でやれますよっていうような方向にどんどんどんどん引っ張られていっちゃう。それが雇用のグローバル化なんですね。怖いことが起こってるんですね。

ですからそういう流れの中で、どういう分配の基軸、どういう哲学理念をもって、この国では分配をするのがいいのか。特に、日本社会の安定っていうのは何だったかっていうと、中間層を厚く持ちこたえてるっていうところが、世界の中でも日本社会っていうもの、極めて安定した国にしてきてたわけですね。ところがこの十数年で一気に変わって、特にアメリカのようなシステムっていうか、強いものはより強く、弱いものはより弱く、それで何が悪いんだっていう流れが起こってきちゃったんですね。その中で、世界のグローバル化っていう流れは抑えきれないですよ。だけど、その中で、ギリギリどういうルールとか、システムをつくってね、分配の構成とかいうものを計るんだっていうこといかなかったならば、底なし沼のように二極化していく流れが進んでいっちゃいますね」

藤井

「私は、経済のグローバル化にくさびをさすこはできないわけです。ただ、その日本の社会において、そういうことがおこるとですね。経済の差だけじゃなくて、心の荒びがでるわけですね。社会のトゲトゲしさがでてくるわけですね。これが一番怖いことだと思うんです。ですから、今、起こっている犯罪なんていうのは、昔考えられないんですね。ですから、この経済のグローバル化というものについては否定できませんけれども、そういう心の荒びが社会におこっているということに対する、対応はしっかりやっとかなきゃいかんと思うんです。その大きなものが小泉さんの負の遺産があると思うんですよ。例えば百年安心の年金って、あれ嘘ですね。マクロ経済スライドって難しい言葉つかってますけど、人口の特殊出生率が落ちればね、もっともっとあげるんだよと。年金もきるんだよっていってる。現に2013年にはね、今の1.26とかいうのが1.21になるよって予想までだしてるわけですね。ですから、それに対してそんな不安定なことにしないで安定する仕組みをつくらなくちゃいけない。色々まだありますけどね、まず社会保障ですね。そこに私は消費税というのを入れろというのは私の意見です」

― 安倍外交は
寺島

「ブッシュ政権の空気が一気に変わってきてるというか、レームダック政権の開き直りみたいになってきて…。要するに、歴史でどういう評価されるかっていうことに対する気になってきてるから、イラクに最後の勝負かけてますよね。あの先に、ひょっとしたらアメリカがイラン攻撃さえ考えているんじゃないかって話しが今飛び交いはじめています。ある緊張感がペルシャ湾に高まって、そういう中で、たとえば米軍再編問題とか、いよいよその問題を日本人として議論しなきゃいけない。つまり、アメリカとどう向きあうのか。ブッシュ政権末期の二年間でどういうふうに向き合うのかっていうのかっていうことが、大変な課題になってるわけで、そこんところをしっかりと問い詰めなお、自分自身も方向付けをだしていくっていうことをですね、やっていただきたいですね」




 
   
html>