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 第一三六回 ('07年1月21日放送)
  「今年は… 安倍総理に望むこと」

  ゲスト: 浅野史郎 氏 / ジェラルド・カーティス 氏

今週から国会がはじまります。
私たちの税金を四月から何に使い、どのように生かして行くのか、法律を作るという作業が行われるわけです。それが私たちの生活を決めていきます。その国会での安倍総理大臣と小沢代表との対決。これは7月の参院選の結果にもつながります。

一方で、アメリカは大きく動き出しました。安倍総理大臣は今どうするべきなのでしょうか。このほどニューヨークから日本にいらしたカーティスさん、そして核心をつく発言でならす浅野さんに駆けつけていただきました。



― 半年ぶりの日本は…
カーティス

「まだ、一週間しかいないので分からないけれども、政治の世界はあまり活気がないっていう感じ…、例えば、今度の参議院選挙の本当の何が争点になるか国民が何を求めているのか、ちょっとアメリカと違うんで。アメリカはとにかくイラクの問題をみな関心というか、もうパニック状態なんですけれども。日本はそういう意味でも平和的というか…」

― イラク問題、アメリカでは…
カーティス

「憂鬱というか心配でしかたがない。もう3千人のアメリカ兵が殺されているでしょ。それで一年間で3万4千人のイラク人が殺されてるでしょ。もっともっと殺されることになるでしょ。それは最後に良いことがあるならば、犠牲を払ってもしょうがないと思うかもしれませんけども、最後には良い結果があるという期待を持ってる人が非常に少ない。これが今の、残念ながらの現実だと思いますね」

― 安倍政権はイラク増派に賛成だが…
   浅野

「日本が小泉さんの時から、今度の安倍さんも、そういうアクションやるとすぐ支持します。簡単にね。これはちょっとどうかなと。最初の時だって、フランス、ドイツはちゃんと自国の中でもちょっとまてよということで、派兵しませんでしたけど、日本はもう大賛成。だから、ブッシュさんからすれば四面楚歌だけ、どむしろ国内よりも日本の安倍さんが頼みっていうようなことになってる。このあたりちょっと、逆に日本側からみてね、どうなのかっていうことの方が心配ですね」

― 「山崎訪朝」は…
カーティス

「ムチとアメを両方だすっていう必要性を山崎さんが言わんとしたっていうことは、僕は評価します」

浅野

「全くの単独の行動であるし、どうやら通訳も自前で連れて行ってない。外交ってそういうのあるんだろうかと思いながら、向うのお座敷に乗っちゃってるっていう状況だとすると、下手すると国益を害するということで…。ただ、結果として後々、あの時に言っていた布石が効いてきたということ、あるかもしれませんけども。今はちょっとね、かなり無謀っていうか…」

― 安倍内閣の支持率が急落しているが…
カーティス

「民主党の支持がすごい上がってるならば、これまた意味あるんですけれども、民主党の支持上がってないから…。下がっても、他に上がってないんだったら、40台のへんで止まるんでしたら、彼にとってはあんまりそれほど問題じゃないと思いますね」

浅野

「安倍さんにかわいそうな点が二つあって、一つはどうしても小泉さんと比較される。全然タイプが違うんですからね。だから小泉の時はこうだったということと国民は重ねあわせていますから、指導力がないということになるんだと思う。もう一つは、これはかなり決定的だと思うんですけれども、安倍さんは首相になった、自民党総裁になった、自分で勝ち取ったっていうよりは、周りに乗せられてなったっていうんで、小泉さんはやっぱり最初勝ち取ったわけですよね。安倍さんはみなさんに支えられてっていうことは、逆にこの支えがなくなったならば政権として維持できないと」

「そうすると、どうしても指導力というよりは、まあまあ全部みんなまとめてっていうことでですね、それは国民から見ると物足らないとなってしまう原因なんで、かわいそうっていうよりも、これはぼくは出生の秘密っていってるんですけれども、政権が出来上がった契機っていうのがやっぱり全然違う。だからその意味では弱く見えますよね」

― 安倍政権の政策は…
カーティス

「北朝鮮の拉致の問題も憲法問題も愛国心の問題も、これを取り上げるのはもちろんいいことなんですが、これは政策ではない。年内にできる政策はここに一つも書かれてない。で、総理大臣というのは長期的なビジョンを国民にみせることも大事ですけれども、何よりもやっぱり、国民にとっては重要な問題をどう解決するか。その政策をださないと、本当のリーダーと言いにくいですね」

「特に安倍さんの場合は小泉さんのようなパフォーマンスをできるかたではないので、スタイルが全然違うので中身のはずなんですね。中身で勝負するしかないんですけど。今のところは政策の中身がみえないのが私のそこで言ったことなんですね」

浅野

「アジェンダセッティングがちょっと間違いてるっていうお話ですよね。だからこれを安倍政権として進めるということに上げる中でですね、確かに憲法改正をやりますって言っても中身がなければ、そもそもできるかどうかっていうのも議論にならないということですね」

「小泉さんの場合には郵政民営化、それから地方分権というようなね、そういったことを分かりやすくいって、構造改革っていうことで、一つの柱がありましたけれども、これで議論しろっていわれてもですね、ちょっとわからないし、国民一般はなおさら分からないということなんで、ピンとこないということですね」

― ホワイトカラーエグゼンプションは…
カーティス

「あの、中身じゃないけれど、やたら最近、カタカナの言葉が多くてね。例外的にこういうことをやるって言えばいいのに、これエグゼンプションって…。私、日本語をしゃべってね、一番いいにくい言葉はカタカナの言葉なんです。カタカナが頭に浮かんでこなくて、ローマ字のスペルで読むから、必ず間違うんですね。ですから僕は、カタカナはすごい障害なんです(笑)」

「それで、せっかく日本語が綺麗な言葉であるのでね、日本語使えばいいと思うし、それがネーミングの問題なんだけど。中身もホワイトカラーの人達が過剰な時間働かされて、それでこのエグゼンプションになってもね、そうしたら働かなくてもいいということじゃなくて、ただで働くことになるでしょ。それは反発があるのは当然だと思う」




 
   
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