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 第一二三回 ('06年10月22日放送)
  「北朝鮮の核実験は…」

  ゲスト: 堺屋太一 氏 / 浅野史郎 氏

北朝鮮の核実験が大変な騒ぎになっています。内情がわからないだけに、不安は募り、政治家の間でも勇ましい話が相次いでいます。北朝鮮が核実験を行えば出るのではないかといわれていた日本の核武装論もふきだしました。一方、国会では初めての「安倍対小沢」も行われ、与野党対決も熱を帯びてきています。

今回は改革派知事として名を馳せ、かつては在米日本大使館勤務のご経験もある浅野前宮城県知事、そして中国の事情に詳しく外交の裏も表も良くご存知の堺屋太一さんにおいでいただきました。



― 北朝鮮は何を考えているのか?
堺屋

「いや、それはね、だれもわかんないじゃないでしょうか。ただね、私たちの年頃のものは戦争中の日本を知ってますから、あの時分の日本が国際常識とこんなに離れてたと、いうことを考えるとね、北朝鮮の中の人たちは全く違う情報環境にいるだろうと想定できますよね。もう一つ、やっぱり問題はね、日本は北朝鮮に、どうなってほしいのかっていうのがね、わからない、というのが本当に難しいですね」

浅野

「それはわからないけど、今はもう何とか生き延びるっていうことなんでしょうけどね。通常ではちょっと推し量れないような人物像だと思いますけどね。まずそれを基本にこちらも対策考えていかないと、普通にこう、将棋でこう打ったらこうくるだろうっていうことと全然違うようなことになる方だということは分かりますよね」

― 「核武装議論」は?
堺屋

「議論するということと、議論してある種の結論に向かってるということとは違うのかどうか。消費税の場合ね、議論するというのは、ある種の結論に向かっている話だったんですね。そういう意味で、議論するというのだったら、かなり危険な議論です。ただ、そういうような考え方があるという、まあ、茶飲み話するっていうなら、何も政調会長が言うことじゃなくて、しょっちゅうやってるんだろと思いますがね。その辺が、議論するというのが、非常にあいまいな話なんです。私は今の段階で、その核保有を年頭に置いたようなことは、すべきではないと思っています」

浅野

「普通の国並に、議論をするっていうのは、議論するかどうかって話じゃなくて、平和憲法をもち、そして、長崎、広島の被爆を受けたという地球上で唯一の国として、今、これとは全く別の話でですね、もう核は本当北朝鮮に限らず、イランも、もっといけばアメリカもまでなんですけど、もう止めようということをいえるのは本当大国としては日本だけなんですね。これを、自分から捨てるようなことをしたのでは、日本の外交のなんか基軸っていうもの、これがなくなってしまうっていう心配をしてますね」

― 「安倍VS小沢」対決は?
浅野

「ぼくはね、内容っていうよりもね、何で今、安倍さんと小沢さんが党首討論してんだろうか。総理大臣としての安倍さんが。我々国民は安倍さんを総理大臣として選んだっていう感覚ないんですよね。小泉さんなんですよね。小泉さん何で辞めたんでしょうかと。あんなに9・11のあれで歴史的な大勝をやったら、何でもできるじゃないですか。何でもっていうか、一応ね。何で変えたんだろうかっていうのはあって、少なくとも国民からの任意で安倍政権が発足したということはないんですね。発足したのは小泉さんだというで、何かあたりまえのように党首討論やってるのは…。

本当はこのこと自体がキーなんですよ。で、それをキーと思わない国民も含めた、ある新聞にも書きましたけど、やっぱり与党ボケだと。与党の中で、ハイあんたから、安倍さんねと、中で民主的な議論して選びましたっていったって、そこには国民は入ってないわけですよね。というところからちょっと引っかかってるもんですから。内容よりも、この光景がちょっとおかしいなって思う人が、もうちょっとあってもいいんじゃないかと、私はその一人として見てました」

堺屋

「わたしは、現在のシステムで政権交代する時に、与党内交代ってのは通常おこるわけですね。だからいつ総選挙をするか、という問題はあるにしても、当然自民党の中で選ばれた総裁がなるっていうのはそれは不思議なことじゃないと思うんです。

で、この安倍さんの話ですけどね、あの著書「美しい国」からはじまってね、中々内容が分からないんですよ。おそらく総理大臣になられた方々の著書。田中角栄さんの日本列島とか、福田赳夫さんの均衡財政論とか、あるいは竹下さんのふるさと創生とか、色々読み比べてみるとね、最も内容がわかりにくい。明確に、ま、他の人はね、表題見ただけで何するかわかるような内容なんですが、そういう点で、その安倍さんの考え方がまとまってないのか、あるいはまとまってても、オブラートにつないでしか言わないのか。この点、この答弁もね、非常にたくみだけれども、分かりにくい、はっきりさせない、それがまあ今、人気があるとしたらね、日本人の政治感覚が大分変わったなあっていう感じしますね」

― 「教育再生会議」は?
堺屋

「私は、もう20年以上前に教育自由化ということを提唱いたしまして、バウチャー制度の導入なんかもしたんですがね。まず教育の目的な何か。個性を育てるのか、規格を育てるのか、水準を一律にして欠点のない人間をつくるのか。それとも長所を伸ばして一芸に秀でた人間をつくるのか。まずここの問題が必要なんです。

日本の教育というのは規格大量生産にあわせて規格品の人間をつくるほうで、個性のある人は全部落ちこぼれる仕掛けにした。で、独創は非常によくないことだと、独創は我流だと教えてきたわけですね。これを、本当に目的を変えて個性のある人間を育てるんだということにして、そしたらどういう仕組みかとそういう議論をしないと、内容の話、教育の内容の話と、仕組みの話と、目的の話と、ごちゃ混ぜになる」

浅野

「内容よりも、教育って、こうやって国で一本で決めちゃって、それで、これでやれみたいなことになるのは非常に危険で…。誰も正解まだわからないならば、例えば、宮城県ごとに、宮城県方式とか、全般じゃなくていいですよ。それでやらしてみて、そしていいところをとってっていう方の、つまり教育の分権。ということと反対方向、今、このやり方で入ってるということに疑問を感じます」

― 小泉前総理に一言
堺屋

「あのね、小泉さんが私の連載小説を読んで頂いてるらしくてね、楽しみにしてると言ってくれたんで、大いに私の小説も読んでもらいたいと思いますけれども、一番小泉さんにお願いしたいのはね、自分が5年半やった時にね、こういう改革はできたと思ってる、これはできなかったと思ってる、それをはっきり、これとこれと俺は出来なかったんだから、後の人たのむよと、いうことを言ってほしいと。まあ何でも出来たような顔しないで、これとこれとは遣り残したよってことをね、はっきりつたえてほしいですね」

浅野

「大変、おもしろかったと思うんですね。政治を身近にしたと、だけどそれがちょっとうすっぺらだったという感じがして、これはもうご本人が意図したかどうかわかりません。受け止める国民側の問題なんですけれども、政治とはこういうもんだと、また、こうやれば受けるんだっていうのは、ちょっと危ないなと、思ってですね、良かったんだけど、ちょっと心配のこしと、いうことなんですけれども、お疲れ様でした」




 
   
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