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 第一一五回 ('06年8月27日放送)
  「どうした自民党」

  ゲスト: 加藤紘一 氏 / 渡部恒三 氏

政治家がそれぞれの経験と考えに基づいて自由に発言し、国民が判断する。それが民主主義の基本です。いきなり家に火をつけてしまうような政治テロ行為というのは自由な議論を危うくします。

しかし今回小泉総理大臣の靖国神社参拝問題にからんだと思われる加藤さんの地元、山形での重大な事件の後も、総理官邸そして自民党では、素知らぬ雰囲気が続いています。そして国会の廊下ではもっぱら「安倍政権」を前提とした「ポスト」の話題ばかり。今、自民党、そして政治家になにが起きているのでしょうか。



― 加藤さんの実家が放火された。今の心境は?
加藤

「事件起こした人もどういう背景なのか、単独犯なのか、多分単独犯だろうと思いますけども、で、やはりこういうことをやろうとする雰囲気みたいなものが色々あるのかなと…。嫌な雰囲気がちょっとあるなと思います。それから、読んでた雑誌とか漫画とか、残されたレンタルカーにあるんですけど、それ見るとやはりちょっとした論調とか漫画で影響される人が多いと。気をつけなきゃなあと。何かこう世の中がですね、フワフワフワっとみんな、拘束、縛り、色んなものから放たれて自由になってみたものの自分自身の考えを深くもつなんてのは世の中そうめったに出来ることではないですから、こう糸の切れた風船みたいなのがワァーっとあって、ちょっとした風でフワーっと動く世の中になったなっていう感じします。危ないと思います」

渡部

「これはあの今仰る通りですけどね、それともう一つね、この事件が起こったときの政府や総理や与党の態度、私はこれね、非常に残念だと思っておりますのはね、これはやっぱり言論に対してね、大変な弾圧行為ですからね、これはもっとね、あの総理もこういうこと二度とあっちゃいけないっていうことをね、真剣に対応しなくちゃなんないし…。総理の談話なんか出たのかな。お見舞いはもちらんされたんでしょうけどね」

岩見

「お見舞いも、電話なかったっていうふうに聞いてますけれども」

加藤

「まあ忙しかったんだろうと思いますが」

渡部

「忙しい何ていう話じゃない、これはね、加藤紘一さん、個人の問題じゃなくて、これ政治家の発言が今後ね、こういうことに現れるっていうことは、これはあの太平洋戦争前のことと、加藤さんの命でなくてよかったけれども、しかしこの次ぎはまた今度は命を狙うものが出てくるかもしれないのでね、非常に大きな問題として取り上げなくちゃなんないと、それなんか、なんでもないみたいな雰囲気、この方がわたしは心配しています」

― 加藤さんが会長の「アジア外交ビジョン研究会」に21人集まったが?
加藤

「まあ、少ないといえば少ない、良く集まったといえばよく集まったんですがね。何も総裁選挙の前でなくても、終わってからみんなでいっぱい集まってやればいいじゃないかっていう意見も我々内部の中にあったんですが、しかし、あの8月15日の参拝の問題、それにともなう議論もありましたしね。それから国内外にかならずしも小泉さんのような考え方だけではないんだということを示したいし、また、そういう考えだけでいいんですかっていうFAXや手紙もこういうメンバーのところにものすごく来るんですよ。だからやはり、総裁選挙の前でもちゃんと主張するものは主張する、ま、火種みたいなものはつくておこうと、いうふうなことを思ってやりました」

渡部

「ちょっとね、さびしい。考え方から言えばね、この今の加藤さんの考えに共鳴する議員が少なくとも100人ぐらいは自民党内にできると思うんですがね。おそらく参加しないのはね、これに参加してると今度大臣になれないんじゃないかとか、政務官とかいろんな役職ありますね、なんとか大臣とかなんとか、そういうようないろんな思惑で参加してないんじゃないかと思うな」

― 「反安倍」とみてよろしいんですか。
加藤

「政策的には対立軸ですね。どこが違うんだっていうと、まあ一つは安倍さんの場合には、日中の間は政経分離で行くと…。政治はかなりもめる、でも経済はしっかりやるというようなことなんですけども、一つの国で政権分離ってことはまずないですね。例えば投資規制についての法律を出すのは政治ですから、特に中国のように社会主義の国にはね。ですから元々もめるってことを前提にですね、戦略をたててもしそれがもめたらインドがあるし、オーストラリアがあるしっていうじゃちょっとナイーヴじゃないでしょうかねというのが一つですね。

それから安倍さんのこの本はですね、「美しい国へ」という本は、コンパクトで読みやすい本なんですけれども、あの、ある部分でね、こないだの戦争は必ずしも間違ってなかったと、だから東京裁判というのを認めたくないっていうそういう思想が根底にあります。実はこれ中国との関係で、ハッキリ言おうじゃないかっていうふうに思っていってる人が多いんですが、このあいだの東京裁判っていうのはアメリカが主導でやったわけですから、靖国神社もわたくしはかなり反米神社だと思わざるを得ない。

2、3日前その論陣の一番中心の岡崎久彦さんが、その部分を直さんと私は靖国を守らんぞという長い論文を書きましたね。大変な論文なんですけれどそれでもわかりますように、日米関係にいろんな問題が明確に出始めてきたと思います。前にこの番組でも申しましたけどね。などから考えて安倍さんの外交基本姿勢はちょっと、もうちょっと慎重にやってくださいということを我々が言わないとこの国のためによくないなと、本当に思ってますんで、一種の軸ですね、対抗軸です」

― 安倍氏に…
渡部

「これ、わたしは今ね、水戸黄門にされちゃって世直し旅、全国歩いているんですが、本当に地方のみなさんは今ひどいですよ。このままでは故郷なくなっちゃう。ですからね、地域格差はもちろんですけど、生活格差、経済格差、とにかく格差是正のために本気で取り組んでもらいたい。これは国民の一人としてね、本当は民主党内閣になれば一番いいんだけども、それは今そういったって無理ですから、やっぱり国民のために安倍さんに格差是正、これに本気で取り組んでいただきたい」

加藤

「外交もある、社会保障もある、経済もあるけど、やっぱり世の中の雰囲気というのに一番注意を払ってもらいますね。そこの大きなところ見誤ると大変なことになると思います」




 
   
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