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 第一一四回 ('06年8月13日放送)
  「なぜ消化試合なのか、なぜ争わないのか」

  ゲスト: 野中広務 氏 / ジェラルド・カーティス 氏

この一週間、自民党内では総裁選での安倍氏への支持が相次ぎました。その一方で出馬に意欲を持っていた額賀さん、山崎さんが次々と出馬断念に追い込まれました。なぜ、対抗馬が総崩れ状態なんでしょうか。今、自民党の中で何が起きているんでしょうか。水面下で大きくうねりをあげる裏事情を日本政治の内部事情に詳しいジェラルド・カーティスさんと野中さんに、ズバリお話いただきました。



― 雪崩を打って「安倍支持」になっているが?
カーティス

「総裁選挙にもう一人出ててるんですね、谷垣さん。安倍氏しかない、いろんな印象を与えてるのは今の現状の現れだと思うんですね。出てはいるけれども、これも一人勝ちになってるんですね。これ安倍さんにとっても自民党にとっても非常に不幸なことだと思うんですね。やっぱり戦って、それで、あれなかなかいいという評判になってはじめて総理大臣になる方の支持があがると思うんですけども、安倍さんにとっては非常に残念な、もちろん日本の政治全体にとっても残念な出来事だと思うんですね。理由がよく分からないんですけれども、まあ人材不足ということは間違いないような」

野中

「緊張感をもって国民が注視してた福田康夫さんが突然出馬しないということを表明されまして、一挙にですね、何か一つの流れが安倍さんで出来たような感じで…。誠に今度の総裁選挙は自民党にとっても、あるいはわが国のこれからのありかたにとっても不幸なことだとわたくしは思いますが、カーティスさんが今ご指摘いただきましたように、京都の同郷の谷垣さんがもう立候補表明してそして自分の政策を各地で講演して歩いてるわけなんで、マスコミももう少しね、そちらに目を向けてやってほしいなと…」

― 福田氏はどうして出馬しなかったのか?
野中

「わたしもよくこの番組で、どうせ森さんと中川政調会長との出来レースですよと、よく言いましたけどね、結果的にそうなったんじゃないですかね。だから、これから安倍さんがですね、一本立ちしていく中で、この出来レースだといわれた二人が、どう踊らされるか、そこらあたりを安倍さんもしっかり考えていってほしいなぁと、そう思いますかね」

カーティス

「福田さんが出なければ、じゃあ俺は出るという人が何故いないのか。これはまあ一つは、小泉政権5年間の小泉政権の中が小泉支持があまりにも強くてね、ほかのリーダーが何か出てくるような場面がなかったということと、多分、小選挙区制度とも関係あると思うんですけれども、党内の緊張感がゆるまったんですね。ですから福田さんが出なかったからこうなっちゃったんじゃなくて、福田さんしか出よう、彼も出ようともしなかたんですけど、福田さんしか話題にならなかったのが、日本の今の政治の何かおかしな現象だと思います」

野中

「人材が…。選挙制度を今言われましたけれども、本当にあの選挙制度でですね、人材がなくなってきました。そしてもう小さいこと以外に考えない、それで落ち着いてですね政策を勉強しよう、そしてこの国の将来を考えようという、そういう人達がなくなっていくという感じを、わたくしはしますね」

― 派閥は?
カーティス

「派閥が派閥として動いてないのが今の現状じゃないですか。だから一人一人が誰を支持するか、派閥のまとまり、これがいいか悪いかは別の問題で、もしかしたらとてもいいことかもしれません。いずれにしても派閥の動きという、あの発想そのものがね、古くなっていると思っているんです。今派閥動いてないの。だからもうしょうがないから、安倍支持というのはやっぱり言わないと、その派閥の長が言わないとばらばらになってるのがばれるから、安倍支持のほうに動いてるんじゃないですか。だから派閥政治そのものが大きく変わってきたと思うんですね」

― 小泉総理の靖国参拝は?
カーティス

「先々週、中国行ってましたんですけれども、今の中国のリーダーというか、リーダーに影響力を持っている戦争体験をした人たちの話を聞いてると、8月15日に行くなら、これはもちろん批判しますが、もう問題は小泉政権ではなくて、その次になる安倍政権だから…。私自身は15日っていうのは非常に挑発的なことだと思うので、非常に疑問に思っているんですけれども、多分、もう中国の関心は小泉さんから安倍さんの方にもう移ってきたんですね。ですから、小泉さんの15日の参拝っていうことよりも、安倍さんがこの靖国問題、また中国との関係、中国との関係改善を一生懸命本当にやりたいのか、それがより重要であると思うんですね」

― 安倍官房長官の靖国参拝は?
野中

「行ったことが明らかになったわけですが、考えてみると、自分はもうその時に総理になると、確信もったんじゃないかと…。だから今のうちに行っといて、総理になったらもうこれほど問題の多いとこには行かないと。まあ本当はですね、小泉さんが公約が生きてるなんて言わないで、政治家っていうのはやっぱりね、結果責任をもたなきゃいけませんからね。一宗教法人である靖国神社がね、日本外交のね、大きな波にさらされるってのは、わたくしはやっぱりね、非常に不幸なことであり、総理をやった人としてね、結果として責任をもったないかんと思ってるんですよ」

― 『安倍総理』に期待することは?
カーティス

「それはもちろん外交のこと、私の立場でアメリカ人として言うんでしたら、日本が世界における役割は何であるべきか。アメリカと違うはずなんです。アメリカのよき同盟国として同じ目標に向かってやっぱり日本のやるべきこと、やれることアメリカのやること違うはずなんであって、それはなんであるか、それは特にこの関係の難しい隣国とどうする、どういうふうに改善をはかろうとするのか、こういうことを是非ね、積極的に取り組んでくれればアメリカでも世界中でこれはすばらしいだっていう総理大臣になるんだけれども、それがなければ日本はどこにいこうとしているのか分かりませんっていうようなね、不信感が生まれますね」

野中

「やっぱりその日米の基軸にしながら、近隣諸国とどうね、仲良くやっていく道をまっしぐらに努力するかというのがね、安倍さんの最初の仕事だと思います」




 
   
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