時事放談 トップページ 毎週日曜あさ6:00〜6:45
過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 
 第一一三回 ('06年8月6日放送)
  「総裁選が本当に『消化試合』でいいのか?」

  ゲスト: 山崎拓 氏 / 加藤紘一 氏

せっかくの総裁選がこのままでは「消化試合」になってしまいそうです。本来ならば外交問題や、そして格差の問題など、今、日本が直面している問題している問題を新しく総理大臣になる候補者達が政治生命をかけて議論し、その中で国民も一緒になって考える大切なチャンスであるはずです。それがこのままでは流れてしまいそうです。そこで今回はかつてのYKKの盟友として「小泉政治」の表も裏も知り尽くし、対立軸の柱とされる山崎さんと、加藤さんをお招きいたしてズバリお話をうかがいました。



― 福田氏の総裁選不出馬は?
加藤

「総裁選挙に出るっていうのは、ご当人と周辺と色々総合的ですから、あの控えめな福田さん、という点もありますし、やっぱり森さんの強いバックアップがなければちょっと無理だったと思いますね。山崎さんはこの番組でも、森さんが一つの派閥から二人立てるということはないと、半年、一年前からそう言ってましたね。山崎さんの言ったことが当たったような感じですね。なんか、私の発言で森さんは大分怒っているようですけれども、やっぱり森さんのバックアップがなければ福田さんの立候補はなかった、というのは本当だと思いますね」

山崎

「私は以前にこの番組で、一つの派閥から二人立つというのは今までのルールになかったことなんで、無理じゃないかということ申し上げてまいりましたから、もし同じ森派から二人立てるということになれば加藤さんのおっしゃる通り、森さんが二人立てるという方針をお持ちにならないかぎり、難しかったでしょうね」

― 総裁選が「消化試合」になっている状況は?
加藤

「(福田氏の発言に)『国論を二分するような議論をしちゃいけないと思うから立たない』っていうのがあったんですが、私は国論を二分するような議論を自民党の中でやらなきゃいけないんだと思いますね。で、それは国のために二つの意見をめぐって国民が自分はそう思う、自分はああ思うと、居酒屋さんでみんなで議論してほしい。それがこの国の民主主義を強くする。それから私は自民党ですから、自民党も強くしたい。そうすると、自民党の中にも、広い意見の差があって、民主党の人達を飲み込んでしまうぐらい幅広い討論やってるねと…。そうすると、もう小沢さんいらないんじゃないかと、管さんも鳩山さんもいらないんじゃないかと…。あの人たちの意見言ってる人が自民党の中にいるよ、とならばですね、来年の参議院にいいんですね。これは党利党略ですけども、当然ですね、一つの政党としては。だから二分するような議論っというのが是非あってほしかったなと」

― 安倍官房長官の「靖国参拝」が明らかになったが?
加藤

「安倍さんの日頃の言ってること、特に最近出された本、僕も読みました。中々コンパクトでね、よくまとまった本なんです」

岩見

「『美しい国へ』という…」

加藤

「ええ、『美しい国へ』。で、みんなで読んで、かなりの可能性で総理になる人の本ですから、みなで議論したらいいと思うんですが、それには値するよくまとまった本です。でも考え方はですね、わたくは大分違って…。これは問題だなと思うんですが、特にあの靖国問題は小泉さんよりキツイですね。つまり東京裁判、あの裁判自体を否定したい、という心情が色んなとこで出てるんですね。

で、靖国っていうのは基本的な理念は東京裁判の否定ですから…。やっぱり合致するとこが多いし…。ですから、4月に参拝されたっていう話を聞いて、これ当然だし、また当然小泉さんの参拝よりは問題が深刻だなと思いました。というのはね、小泉さんは、A級戦犯の人は戦争犯罪人ですよと言い切ってるわけです。で、その人を拝みに行ってるのかどうかはハッキリわかんないこと言うんですけど…。いずれにしろ、国のために殉じた若い者、そして遺書を書いた『お母さん行ってきます』といった青年達に自分は本当の誠をささげる心の問題なんだという側面で…。どっちかっていうと文学的なんですけど、安倍晋三さんの場合には、法律条約的に、あれは無罪ではないかと言う感じがね、信念的に強いです」


山崎

「私も、加藤さんがおっしゃいました通りあの本読んでみましてね、東京裁判を否定される立場にたっておられるということを痛感しましたね。そうなりますとね、まずあの戦争は間違った戦争じゃなかったということにするかですね、いわゆる聖戦をとるか、あるいは戦争責任者はあの時裁かれた人以外にいると、いうことになります。論理上ですね。どっちかですね。戦争責任は無いとするのか、別にいるとするのかそういうことになるでしょ。そうなりますと、ひじょうにおかしなことになるんですね。それから戦後の政治を、日本史というものを真っ向から否定しなきゃならんということになると。それをずっと戦後政治で育ってきた自民党の政治家がそんなこといっていいんだろうかと、いうことが一つあります。

それからもう一つは、古賀誠遺族会会長とですね、最近意見を交換したことがあるんですけどね。彼はいわれましたことはね、彼のお父さんがそのケースなんですが、戦争に赤紙一枚で召集されて戦地においてですね、散華された人を奉ってあると…。それと赤紙を出した人ですね、戦争に駆り立てた人と一緒に奉られてると、いわゆる命令者とそれに従った者と一緒に祭られてるのはおかしなことだということをちょっとおっしゃったんですが、彼は遺族であるだけにですね、私はその点、感に打たれたわけでございます。まあ、今度のことはですね、こっそり行っておられるわけですね、何故正々堂々といかれないのかと、だから行くということに、行かなきゃならない気持ちの上での何かがあったんじゃないかということがひとつと、あるいは靖国神社にですね、何かまあ悪い言葉でいうなら媚を売るために行ったというふうにとられても仕方が無い。これ隠してるからね、で、今ごろになって何故表に出てきたかもわからないけども、4ヶ月もたってですね」

― 山崎氏の出馬は?
山崎

「今日は出かけにちょっと同志と電話で話ましてけどね、今日は決してそれを言っちゃイカンといわれて、釘をさされてきましたんで…」

岩見

「五分五分よりは出馬の方が率としては強いでしょうね?」

山崎

「五分五分です」

― 加藤氏は山崎氏が出馬すべきと言っているが?
山崎

「あの、それは前から加藤さんの持論でしてね、それぞれの後見人を持つものがね、出るべきだと…。それと20人のベースをもたなければね、立ちにくいということをおっしゃったわけでね。それはいつも真剣に受け止めているんですけれどもね。同じような考えもったものが沢山立ってもね、どうかなっていう、試合の帰趨がわかっているのに、マイナーリーグが参加しているような感じは嫌だから、それだけはぼくらも責任と誇りがありますんでね、やる以上は立派な選手として登場したいという気持ちがありますので、そこらへんを慎重にやりたいと思います」




 
   
html>