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 第九十四回 ('06年3月19日放送)
  「世界は『ポスト小泉』に何を求めているのか」

  ゲスト: 藤井裕久 氏 / ジェラルド・カーティス 氏

民主党がメール問題で謝罪の広告。「政治家の資質」について、つくづく考えさせられるこの一週間でした。

そこで、世論調査の結果で「ポスト小泉」が語られることの多い昨今ですが、今回は次の総理に求められる資質は何なのか、日米の政治の裏表を詳しく知る、ジェラルド・カーティスさんと与野党双方の裏事情を知る藤井さんに、ズバリ語っていただきました。



― 民主党の「謝罪広告」は…
カーティス

「過去にも例はないし、外国にも…ないでしょう。もう、言葉が無いですね。これに対して、これで責任を取ったと思っているんでしたら、これまたおかしいと私は思います。責任のとりかたは色々あるんだけども、新聞に謝罪広告出すっていうのは、もう本当に頭を振るしかない。わからない。40年日本の政治見て来たんですけれども、まさかこう言うような事が起こるとは、思いませんでした」

藤井

「ハッキリ言えば、この類のことはいくらもやっているんですよ。それじゃあね、自民党の総裁が謝ったかって、社会党の委員長が謝ったか、謝りゃしないんですよ。それはね、みんなそれなりに処理しているんですね。そういう性質のものだと思います。

これはもとよりね、ウチの…今はウチじゃないですね、私は自由人ですからね。前原さんが、小泉さんに謝りに行くなんてね、そっちのほうが問題ですよ。そっちのほうが問題です。こんな話は、ご承知のようにね、割りにあるんですよ。過去にね。日本でもあるんですよ。恐らく外国でもあるんじゃないかと思いますがね。それをこう言う形にしてしまうこと自体が、つたないと思いますね」

藤井

「自民党に謝る必要は無いですよ。そうじゃなくて、世間に謝らなくてはいけないんです。例えば、増税をやるとか、医療の改革をやるというのは、大変な国民負担になるわけでしょ。それの時間をこんなことでやっておりました。申し訳ありませんでしたと世間に謝ることだと思うんですよ。小泉さんなんかに謝る必要はまったくない」

カーティス

「どこまで本当に反省をして、もっとチームワークのできる、政権の能力があるというイメージが作れる、どういう風にしてその政党が作れるかという事を考えないでね、ただ謝罪したり、誤ったりすることで、それで済むと思うんだったら、残念ながら民主党の将来は明るくないですね」

― ホリエモン騒動は…
カーティス

「もしも堀江さんがあの時に、私は民主党が大好きで、どうしても民主党ででたいといったならばね、本当に民主党は断ったんだろうか。あの時の堀江さんはもうとにかく、ロックスターみたいにね、日本では物凄い大人気があって、マスコミが煽って、もうこんなにすばらしい人だ、日本を変える人だ、という風にみんな行ったでしょ。それで、自民…、まあ自民党公認じゃないんだけれども、まあ自民党が応援する、支援するというのは、おかしくない。民主党でも喜んで応援したと思うんです」

藤井

「しかし、その点だけ申し上げますとね、僕は岡田氏を支える立場でね、これは間違いありません。えー、彼がですね、来たんですよ。で、はっきり言えばですね、民主党でも自民党でもどっちでもいいんだという話までしたんですよ。それに対して、岡田さんは断ったんですよ。何故断ったか。肌合いが合わない。まああの人の性格と、堀江さんの性格というのが全然違うというのは、すぐお分かりだと思います。肌合いが合わないといって断っているんですよ。それだけは申し上げたい」

― 小泉チルドレンは…
藤井

「私はね政治を面白くするという事は全く否定しませんよ。全く否定しませんがね、もう限界超しています、こんなことは。今の前原体制の稚拙さ、堀江さんのやりかた、そして、この小泉チルドレン、みんな同じなんです。みんなね、社会良識の欠落。軽薄、これから来ているわけですね。

要するに、若けりゃいいという発想はね、もうそろそろ反省してもらわにゃいかんですね。もちろん、若くて立派な人はいますから、若けりゃみんな駄目だという意味じゃないんです。だけど、今、社会ムードの一つにある。それを、小泉さんが煽っている事は間違いありませんから。そういう大きな反省をしてもらいたい、と」

カーティス

「政治家は政策、それで、もう政治をやるのが仕事であって、もうちょっと真面目にそういうことをやらないとどうしようもないという感じがしますね。だから、年若いとか、年取ったとか言う問題ではなくて、何の為に政界に入ったのか。例えば自民党が、この小泉チルドレンの中に、本当に日本の指導者になれる、その資格を持っている、性質を持っている人が自民党のトップの人の中にも、何人いると思っているのか。ほとんどいないと思うんですよ。ほとんどいないというよりも、そのことを考えない。

とにかく選挙に当選してくれれば、後はもういいんだという。これ、このまま続けていけばね、非常に日本の政治が悪くなる、というか、悪くなるばかりじゃなくて、日本の政治システムそのものがね、崩壊しかねない危険性があるんですね」

― アメリカで「靖国問題」は…
カーティス

「広がっていますね。広がっているし、たぶんブッシュ政権は、心配はしているんですね。っていうのは、日本と中国が一体になるのは、これ大変なことなんで、それは良くないという心配は前にあったんですよ。

今の心配は、競争して欲しいんだけれども、本格的にケンカしたらアメリカは困ると。アメリカは中国と良い関係を持ちたいし、日本との同盟関係があって、それがね、日中関係が本当に悪くなったらアメリカは困るんだと。何とかしてくれと。そのためには、靖国が問題だという意識はたしかにあるし、一方、アメリカのマスコミは、この靖国に対しては非常に批判的な報道がされていますね。

ですから靖国をどうしたらいいのかというのは、それこそ日本人が決めることであるんだけれども、ただ、客観的に、冷静に見て、世界でこれがどういうイメージを与えているかという事を、客観的に見たうえでね、やっぱり対策を考えなくちゃいけないんじゃないかな、とそういう感じですね」

― ポスト小泉の課題は…
藤井

「必ず外交を変えなきゃいけないですね。中国問題も小泉さん大失敗なんですから。今までの例を見てもですね、吉田さんは講和条約があるために親米でしたよ。GHQとはケンカしましたがね。だけど鳩山さんに代わることによってできたわけですね。佐藤さんも沖縄返還がありますからね、しょうがなかったんですよ。だけど、親米でしかなかった。田中さんが出たことによって日中ができたんですよ。

つまり、小泉さん及び小泉亜流ではね、直りっこないんですこれは。直りっこないです。ですから、僕は人の具体的に名前は言いませんよ。言いませんけれどもね、だからもし争点にする…というのもちょっとおかしいけれども、この本当に日中関係も良くしていく。もちろんアメリカとの関係を上手くしていくというのはね、今まで亜流の人じゃ駄目です。それはもう断言できますね」




 
   
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