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 新春スペシャル ('06年1月1日放送)
  「ニッポンをどうする」

  ゲスト: 中曽根康弘 氏 / 渡辺恒雄 氏

今年は、何と言っても小泉総理に変わる新しい総理大臣を決める年です。そこで、今回は「時事放談・新春スペシャル」。2006年、ニッポンをどうする。歴史を鋭く読み解く中曽根さんと、政治記者として数々の政局を見てきた渡辺さんに日本は今年どうなるのか、そこで私たちは何を注意しておかなければならないのか。語って頂きました。


― お二人に「今年のキーワード」は…

中曽根康弘 氏 「難関突破」

中曽根

「景気は良い方に動いていると思いますけれども…。政治が、小泉さんの最後の段階になって、通常議会も色んな問題が噴出してくる。最近心配しているのは、いろんな不正問題に自民党や民主党の議員さんと、なんとなしに関係があるような、無いような記事が出ますね。これは、一番やってはならんことなんでね。そういうような問題とか。それから、今度の予算編成はね、割合よくやっているんですよ。私はこれはまあ合格だと、そう言っておる。ただし、長期展望を示さないで、今の問題だけに、手をつけてあるんで、国民の皆さんは、定率減税をやめさせられたと。何でやめさせられたんだろうかと。そういう疑問やらね、予算についても不満がかなり出ると思いますよ。どっちかと言えば弱い人が多分やられて、お金うんと持っている人は、それほど痛めつけられないそういう形の予算になってますから。

まあ、しかし、財政再建をする為に、あの、21世紀の10年、あるいは12、3年、の間ね、プライマリーバランスといって、税金だけで処分して、赤字の借金はしないと。そう言うことを目指して進む、という意図がね。今度の予算編成にある程度伺われる。その点、私はよくやったと、思いますね。何しろ説明が足らん。これがどうなっているかというね、連続性、行程管理表、そういうものがね、無いのはね、小泉君の非常な欠点ですね。だけども、それが、予算委員会で、みんなから色々、内面を衝かれてそして、長期的な展望やら、あるいは、外国との関係、そういうような問題で、国民の納得する場面をつくるというのは、政治の大きな問題ですね。私は、小泉君は変人だったがね、こないだの選挙でね、変人が、ある程度勝負師になって、怪人になったと。で、いよいよこの九月でやめるんでね、是非『達人』でやめてもらいたいと」

渡辺恒雄 氏 「道徳の復興」

渡辺

「去年ね、非道徳的、人倫に反するようなこと。多発しましたね。親が子を殺し、子が親を殺す。というようなことから始まってね、姉歯建築士のああいういつ潰れるかわからないようなホテルやマンションをたくさん作ったり、あれは非道徳的ですね。それは、僕は小泉さんがいわゆる選挙に勝つと。ポピュリズム、人気を得るために道徳について何も言っていないんですよ。総理大臣がね、国民に向かって、道徳、倫理について説いた事はない。これは、非常に道徳感覚が総理大臣、ひとつ失っているなと。このままじゃあ日本はね、あの、非常に危ないことになる。

かって、ドイツの総理大臣のシュミットさんがね、最近その、語った言葉なんかもありますけどね、例えば、『倫理は集団生活を可能にする最低限の基準である』、『人類は、弱肉強食の世界に逆戻りしてはいかんのである。その為に最低限の道徳基準と言うのは必要だ』という事を言っているし、その他、諸外国の政治家はかなりね、倫理道徳という事を言っているんですよ。日本の総理大臣だけが、倫理、道徳という事を一つも言わないで、で、世の中その通りになっている。非倫理的、非道徳的な事件が多発した今年はやっぱりそう言うことをやめてね、少し道徳的、倫理的になってもらいたい。特にそのいわゆるファンド資本主義、市場経済原理主義者。これは道徳なしに、お金儲けだけかんがえとる拝金主義者ですから。これは日本のテレビから何からみんな乗っ取ろうとしてる。こういう事はやはり道徳に反すると、僕は思うなあ」

― 「小泉外交」は…
中曽根

「まあ、小泉君も、いいこともしているんでね。例えば、安全保障の問題について、あの、イラクに自衛隊をだすとか、インド洋にも出すとか。そう言うことで憲法すれすれの技をやって、国際的にニッポンが世界の国と同じように汗を流していると。そう言う意味で、ニッポンの評価が非常に高まってきていると。あるいはさらに、国内的にもね、有事立法。いざと言う時の国はどうするか、というような法律を作ったと。そういう点とか、それから1990年代と言うのは、日本は漂流していましたよ。その漂流したのをとめたのは小泉君。で、5年間ともかく漂流をとめて、ある程度安定させる努力をした。これはね、彼の功績。

しかし今度は政治の中身の方を見るとね、その、端っこの方ばっかり突っついてね、政治の本流である、あの日本の主体性、あるいは、日本の本当の姿。それから政治の中心軸。そういうものを全然やらない。例えば憲法の問題とか、教育の話だったら教育の問題とか。あるいは財政再建の方策とか。時間的にも随分あった。そう言う事はやらないで、道路とか、郵政とか。そういうような、政治からみたら端っこの問題でね、国民にとってみたら、財政とか憲法とか、あるいは、外交で今、アジアの国と日本の国というのが、前と違って、日本の地位は非常に低下しちまった。ASEANの国すら、日本というものをやや軽蔑する目で見ていると。それで、詰まっちゃって、雪隠詰めになっているのが今の日本のアジア外交ですね。だから、これを打開しないといかんのですね」

渡辺

「日米外交をね、堅持する。これを確立した、と言う点ではやはり大変な功績ですよ。日本にとって軍事的脅威というものは北朝鮮だけですね。北朝鮮は核がある。日本は核がない。もし、日米同盟というものがなければ、日本は核武装しなきゃならない。これは非常に危険なことである。それをしないですむって事は日米同盟があるから。

しかし、その韓国とか中国とかとの関係は極めて悪くなった。それに対する配慮がほとんど無い。日米同盟さえ強くなれば、韓中関係良くなるというのは、小泉さんの考え方ですよね。それは間違いですよ。ま、世界的にみれば、日米同盟というのは大きな力であるが、韓国、中国、すぐ隣の国との関係がこんなに悪化したらね、経済的にも非常にマイナス面が非常に出てきますしね、安全保障面でもやっぱり不安要因が出てきますから。もう小泉さんが、靖国参拝。公式参拝問題に固執したために、米、韓に対日、反日抗議っていうんですかね。反日運動を起こさせるような余地を作ったと。それに対して余りにも無神経でありすぎたと。僕は思いますよ」

― ポスト小泉は…
渡辺

「要するにね、力関係、現在の力関係でいえばですね、安倍さんが最強力ですよ。これは否定できない。安倍さんが、安倍さんに、まあ、小泉さんも安倍さんに継がせたいんでしょう。そうすると、小泉政治ってものは温存されるから。それにぴったりくっついているのはまあ、麻生さん竹中さん、中川さんって真ん中にいますが、その他に武部幹事長ってのが下の方で踊ってますよね。この人たちは、自分たちの権力を温存するためには、安倍さんの方が具合いい。麻生さんは別ですよ。麻生さんは自分でも出ようと思っているから。しかし、竹中、中川、書いていないけど、武部幹事長ってのはそうです。

しかしね、今までのやり方をですね。まあある意味では市場経済原理主義みたいな、もので、弱肉強食社会を作っていいのか、というような事。それからアジア外交なんとかしなきゃいかんじゃないかと。そのために靖国問題を処理しなければどうにもならないよと。いう人たちは安倍さんに反対する一つの、まあ勢力を結成するでしょうね。その中で誰が上に立つか。候補者はだれだということですね」

中曽根

「そういう感じはありますね。ただ、安倍さんが小泉さんの言うとおりみんなやるかというと、彼は彼自体の政治的な信念を持っていますからね。まあ今は官房長官で下にいるけれどね、いざ選挙だとこういうことになればで、色々その場でみんなと相談して、新しいことも考える。

例えば開放、開放、改革、改革といってきたけどね、中身がないのよ。何の目的のためにどういう事を改革するのかって事がなくて、言葉だけが飛んでいると。そういう事は段々みんなわかってきたから。そうすると、小泉さんが言ったような改革、改革、開放。そんな事ばかり言ったって国民はもう信用しなくなる。そうすると、俺の後を継ぐやつは、俺のやってることを継ぐやつだといってもね、かえってそっちの事言うやつは人気が悪くなる。

やっぱり自分の独自の信念で、今の日本から見て、外交はどう打開する、あるいは、教育問題はどうする。あるいは、憲法改正には何を考える。そういう事を持った人間を国民は支持しますよ。ですから今までの既成の派閥意識でね、何人余計とったとか、何人子分ができたとかそういうものだけでは動かない時代になってきたと」

― 次の総理は誰だ…
岩見

「候補者のみなさんの中で、中曽根さんのお眼鏡にかなう、まあこの人くらいかなっていうのはいるわけですか?」

中曽根

「そりゃいますね。名前は言いませんがね」

岩見

「それは一人でしょうか?」

中曽根

「いや、数人」

岩見

「数人いますか」

中曽根

「2人か3人くらいいますよ」

岩見

「安倍さんは…」

中曽根

「やっぱりみんな、根性持ってますわな」

岩見

「2人か3人というお話ですが、渡辺さんの目からみるとどうでしょう」

渡辺

「まあ、ここに出ている候補者をまた裏で動かす人、まあさっき青木さんと森さんの名前を挙げたけれども、山崎拓さんっていう人がいましたね。山崎拓さんはその左側の福田さん、加藤さんの線ですよね。そっちの方にいて、安倍さんとちょっと違う。んで、小泉さんとかなり親しい仲でもある。で、こういう人がどういう風に動くかということもちょっとまだ、未知な領域ですね。大体僕は傾向は、感じていますけれども」

岩見

「感じていますか。はあ。そうすると、渡辺さんの、この、あれの中では、1人か、2人か、3人位に絞られてきていると見てよろしいですか」

渡辺

「まあ名前は言えないけど。お2人の争いぐらいになるんじゃないのかな」




 
   
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