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 第八十二回 ('05年12月18日放送)
  「この国の行方」

  ゲスト: 宮澤喜一 氏 / 御厨貴 氏

マンション問題は、国会で証人喚問するも疑問は深まるばかり。また、小学生が殺されるという悲惨な事件も相次いで、国の安心と安全が揺らぎます。そんな中、小泉総理のアジア外交も、なにやら不協和音ばかり。今、何が起きているのか。戦後の初めから文字通り、政治の舵取りをしてきた宮澤さんと、この国のありようを深く考える東大教授の御厨さんにお伺いしました。



― 宮澤さんの好物は「マシュマロ」
木村

「今日のお茶うけですが、宮澤さんが生まれてから、最初に記憶に残っているものの一つという、『マシュマロ』を用意させて頂きました」

岩見

「最初の記憶というと…」

宮澤

「それは、大地震(関東大震災)です」

岩見

「あー」

宮澤

「大地震で家が焼けたり、騒動になってね。それで、みんな自警団なんてのを作った。その時の自警団のオヤジのお土産です。『マシマロ』は…」

岩見

「おいくつの時ですか…」

宮澤

「大正十二年だから四つですね」

岩見

「それ以来、ずっとこれは好物の一つだということになりますですか」

宮澤

「あはは(笑)」

〜 東アジア外交は 〜

― ASEANで各国から日中韓関係を心配する声がでたが…
御厨

「やっぱり靖国がネックになってることは、非常にはっきりしているわけで、もちろん中国の顔色を見る、日本の顔色を見る、色々あるとはいえ、それに対してやっぱり一つの問題で会わないとはおかしいとか、時間が解決するっていうのは、これはおそらく回答になっていないんですよね。やっぱり外交っていうのはそう言うものではなくて、小泉さんの側からどういう風に解決策をだすのかっていう風にね、彼は絶対出しませんからね。ずっと立ち止まっているっていうことですよね。それで考えているとか、調査するとか言うんだけれども、そこから出ない。これはどうしてかなって思いますね」

宮澤

「靖国参拝というような事は、中国は嫌がっているかもしれない。韓国も嫌がっているかもしれない。しかし、その他の国も嫌がっているかもしれませんから…、中国や韓国にだけに向けて思わないほうがいいですね。それは、なるべく人の嫌がる事はやめておきましょうかといったような事。今、アジアの国にとって、将来を展望してみて、今度のような大きな会議があると、中国がどう出るのかって事が非常に大きな問題。それと日本とアメリカがどう出るかっていうのが、その3つの組み合わせは非常に問題ですから。その間のハーモニーが取れていないっていうのは大変に気になることではないですか」

― 小泉総理は「靖国」を「一つの問題」と言っているが…
宮澤

「それは、こっちのいう事が勝手ですね。向こうが嫌がっているんだから、一つの問題と言ってみたってしょうがない。かなり大きな問題ですから、こちらがどうするんだという事はやはり言わなきゃならないでしょうね」

― 小泉総理は、いずれは日中韓の関係が良くなると…
宮澤

「アジアの中でこのままいくと、日本はどうなるのと…。対話の中のパートナーとしてどうなるのという答えはですね、中国と韓国の間からはなかなか出てこなくて。その部分は欠落してしまうんですね。それは小泉さんがいなくなったら非常に困りますね。そう思いますよ」

― この場面で、小泉総理に対するアドヴァイス的なことは…
宮澤

「いや、特にありませんけど、そういう一種のわがままですよね。それを考え直しなさいと、お直しになられたらどうですかといったようなことしかありませんけどね」

〜 ポスト小泉は 〜

― 安倍官房長官をめぐって、森前総理と小泉総理の間で一種の綱引きのようなことをやっているが…
宮澤

「つまり、この次ってことは、消費税と参議院の選挙って事です。この二つの事は割に重荷なんですね。それは一つスキップしろと、この際。というアドバイスかもしれないですね。誰かそれをスキップしたい人がいませんかといったような事は駄目だよと。小泉さんが言おうとしているんじゃないですかね」

― 次は安倍さんがいいんじゃないかと思っているという風な解釈も…
宮澤 「いやいや、いいんじゃないかと思って言っているんでしょうが、いいと思うについては、問題を飛ばしちゃいけないよと。こう言おうとしているんじゃないですか」

― 次の総理大臣にはアジア外交という問題もありますが…
宮澤 「ですから、それも飛ばしちゃいけないよと。その、靖国の問題を、ぐずぐずにしちゃいけないよ、ということを言おうとしているんじゃないですかね。それから、消費税の問題も、俺の時はしなかったけれども、一年見送り、二年見送りといったようなことはいつまでもそんなに時間はないよと。言おうとしているのかもしれませんね」
御厨 「すごい枠組みの設定ですよね。だから人はどうあれ、自分がやってきたことを継承しろという意味の発言だと思いますけれども。そこはうやむやにしてはいけないという話で…。小泉総理がやっぱりこの時点で初めて、ポスト小泉はやっぱり小泉路線だということを、宣言したという事ではないでしょうか」




 
   
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