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 第七十八回 ('05年11月20日放送)
  「日米首脳会談 小泉・ブッシュの裏側」

  ゲスト: 宮澤喜一 氏 / 寺島実朗 氏

京都金閣寺散策に始まった今回の来日日程。これら全てを終えてブッシュ大統領は、満足げに日本を後にしました。でも、よく考えてみますと、何故ブッシュ大統領は日本でこれほどご機嫌だったのでしょうか。今回の首脳会談に向けて進められたことは、私たち国民にとってもご機嫌になることだったのでしょうか。韓国、ロシアとの首脳会談など、外交日程が続く中、敗戦、占領のころから日米関係に深く関わり、裏の裏まで知り尽くす宮澤さんと、世界の中の日本の立場を鋭く読み解く寺島さんにズバリ語っていただきました。



― 今度の日米首脳会談の注目点、狙いは…
宮澤

「まあ、両方で、言いたいことを言って、そうだそうだ、というようなことですねえ。あんまり、注目すべきことは会談そのものにはなかったですね」

寺島

「地位協定の改定だとか、基地の縮小だとかっていうものと並行しながら、軍事的な協力関係をどうしたらよいか踏み込むのではなくて、アメリカの世界戦略の一翼をを担う日本、つまりアメリカのサブシステムとして、アメリカの世界戦略が展開されていくための基幹基地として、日本が位置付けられるような方向に軍事同盟強化という形で踏み込んだってことで、僕はこれは大変な問題を残したと思いますね」

― 日米関係さえ良ければ全て良しというような印象を受けたが…
宮澤

「受けましたね、私も。あの、あまり適当な発言だとは思わなかったな。日米関係は大事だよ、という事を強調する為に仰ったんだろうが、どうも、発言そのものはピッタリしたものだとは思えませんでした」

岩見

「日米関係が緊密になれば、靖国問題も、日中関係も解決しますよ、と意地悪くとれば、そういう風にも取れるわけです」

宮澤

「どうしてこんなこと言ったんでしょうね」

寺島

「この表面を追う限りはね、まさに、アメリカというのはかけがえのない同盟国なんですね。だけど、我々が生きている時代、つまり冷戦の時代とは違って、日米の二国間同盟が、冷戦で向き合っている国で日本を守ってくれるというですね、東西対立の時代と違って、今、世界がね、特にアジアの台頭。アジアのエネルギーが盛り上がっている時にですね。日米関係を大切にしながらもですよ、アジアの国とどういう関係を作っていくかという、非常に複雑なゲームになってる事に対してですね、アメリカとの関係さえ踏み固めていけば、アジアの利との関係も良くなるという考え方はですね、果たして21世紀の世界観として正しいのかどうかということは、これはそれぞれが真剣に問いかけてみなくちゃいけないと思うんだよね」

― 米軍再編は…
宮澤

「今の日米の両方で持っている体制、目的意識から言えばで、これはこれで合理性があるということなんでしょうね。ただ、日本と言うのはアメリカとの関連で、それだけの役割を現実に担っているんですか、あるいは担おうとしているんですか、ということについては、実は国民はあんまり問われていないんですね。問われていないもんですから、突然こういうのを持ち出されるとですね、それは今までやってることを合理化するとこういうことになるのかもしれないが、しかし、いつそういうことになったんですか、という事は聞きたい人は多いでしょうね」

寺島

「最大のポイントは、東京のすぐそこの座間に、米軍の統合作戦司令部が来るって事なんですよ。このことの意味について、日本人はぼんやりしていたんじゃ駄目で、ある覚悟をもってここを議論しなきゃいけない。というのは、日本の座間を基点にして、中東から中央アジアまでをにらんだ広域の、アメリカの戦略司令部が日本に置かれるということになるんですね。そうした時に、まさにイラク戦争の教訓なんだけれども、アメリカがここを基点にして、この『不安定な弧』の地域に何か紛争が起こった時に展開していくということについて、日本はよほどウォッチしていないと、自然に引き込まれていくというですね」

― 戦後の日米関係は…
宮澤 「一貫して、私はアメリカというのは、いい国だなと思ってきましたね。交渉ですから、うまくいかないことは沢山あるんですが、しかし、嫌な奴らだなあ、と思ったことは、無かったんですよね。それが、ここのところ私知らないんですけれども、2001年の例の事件以来、どうもアメリカって国が変わりつつあるのかなぁと。ブッシュさんがそういう人なのか、ネオコンがそうなのか、どうもちょっとアメリカって国が変わりつつあるのかなぁと。この頃、直接やっていないんでわからないけれども。そういう感じは時々持ちますね」

― 宮澤さんはアメリカに対して「踏み込みすぎ」と言っているが…
宮澤 「つまり、イラクの事なんかもそうですけれども、確かに日本の安全と言うのはアメリカが最終的には見てくれるんだ、ってことはそうだが、そうであるから、イラクの時もやっぱり自衛隊は出たほうがいいとかいったような判断は、そこまでやりますか、というような事なんですね。仰っている論理はわかるけれども、だからといって、そこまで我々やりますかと。いうことなんですね」
岩見 「今のような小泉外交における日米関係を続けていると、ひょっとすると日本は…」
宮澤 「ブッシュさん自身が、国内的にはネオコンに相当影響を受けた人だと見えますので、そういうブッシュに対しては、小泉さんのやっていることは少し踏み込み過ぎじゃないかと。こういうような感じになりますね」




 
   
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