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 第六十五回 ('05年8月21日放送)
  「刺客選挙の行方」

  ゲスト: 後藤田正晴 氏 / 塩川正十郎 氏

小泉首相は今回の総選挙は郵政民営化と問う選挙だと言っています。反対した議員の選挙区にはいわゆる刺客が次々と擁立されています。この裏には一体何があるのでしょうか、つまり日本は今どんな分かれ道にあるのか…。お二人にじっくり語って頂きました。


― 今回の解散は?
後藤田

「僕は無理があったんではないかと思いますね。参議院で法律案が否決になったんですよね、その時に重要な法案であれば、院内の手続きとして両院協議会でどう扱うかを決めてそして場合によれば衆議院で再審議という事ですね。だけどもあの状況じゃ時間的にも、また票数も否決になる事は確実ですよね。

しかし、やはり民主主義というのは手続きが一番大事なんですよね。ならば、院内の手続きを踏んだ上で解散というのが当然ではないのかな。私は手続きが粗雑すぎるのではないかと思うんですよね。

それから、もう一点はやはりこの法律案が否決だったんですね、ところがその法律案を解散後は郵政法案の闘いの選挙だとおっしゃる。代議制民主主義というのは憲法改正の様に国民投票にかけるなら、憲法で決まっていますから良いですけどね。やはり、代議制の場合、立法府で通らなかった法律案を実質的に国民投票にかけるのと同じような手続きになりつつあるんですね。これは私は代議制の上から見ても少し行きすぎではないのかな。

3番目は、非公認。私は、これは当然だと思います。37名の反対派は…。しかし、それへの立て方が、少し無理ではないのか強引すぎますよと、見方によれば極悪非道なやり方ではないのか。国民というのは感情で動くわけですから、あんまり強引な事をやるとしっぺ返しを受けると…。そこらはやはりお考えにならないかんのではないかなと。

まぁ、こういった事を色々考えましてね、政治は厳しい闘いですから、こういう成り行きもある意味においてはやむおえんなと思いながらも、もう少し情味のあるやり方というものでやらんといかんのはないかなぁと、こんな気がしますね」

― 政界再編は?
後藤田 「いや、再編よりも、自由民主党というものは、あまり非情な政治はやってもらいたくない。それから、民主党に対しては野党第一党というものはどういうものだと、自由民主党とあなたどこが違うんですかと、そこをはっきりしてもらいたい。あるいは、公明党に対しては、やはり福祉と平和の立党の精神、これをいつまでも守ってもらいたい。あとは共産党と社民党ですね。共産党はマルクス主義はやめて当面は共産党という党名を改めて日本の政治の中で、社民党と一緒になって、社会主義的な政党としての柱を一本立ててもらいたいと、こんな気がしますけど…」

― 『官』から『民』へについては
後藤田

「今の『官』から『民』へという時に、私は是非言いたいのは、一体『官』が担当しなければならない境界点はどこまでで、それから、利潤というものを美徳としておる『民』が引き受ける事が出来る限界はどこだと。そこの分界線を明示しないままに、『官』から『民』へ、それは少し乱暴だと…。議論でもう少し定義をしてもらいたいと。

そうでないからこそ、現在イラクで何が起きてますか、軍事会社じゃないですか。株式会社が大変な高い値段で戦の一部を引き受けてやっている戦いなんて、これは国の役割ですよ。それが民間会社になっている、こんなべらぼうな話があるわけがない。

しかし、うっかりすると『官』から『民』へと何でも境界なしにいうことは、私は非常に危険性がある。これはもう少し真剣に分界点を示して、ここまではこれは『民』に任していいではないかと、ここまでか『官』がやらなきゃいけないんだと…」



 
   
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