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 第三十五回 ('05年1月9日放送)
  「今年、気になること」

  ゲスト: 野中広務 氏 / 渡部恒三 氏

「今年、気になること」と言えば、みなさん何をお考えになるでしょうか…。新しい年の幸せをお祈りしたのにスマトラ沖の大地震では被害者が増え続けその数は15万人を超えました。皇居では恒例の一般参賀が行われましたが、「女性天皇」問題に政府が乗り出すなど皇室をめぐる動きもあります。

そして、今年のお正月は小泉総理は靖国神社の参拝を見送りましたが、今後はどうするのでしょうか。お二人にじっくりと語ってもらいました。


― お正月をどう過ごした…
渡部 「私はもう決まっておって、元旦は皇居に参来して、天皇・皇后両陛下に新年のお祝いを申し上げて、それからふるさとの会津に帰ると。そして、新年会など出て、東京に戻る」
野中 「はじめてゆっくりした正月でしてね、せめて家族と旅行しようと思いまして、30日から沖縄に行きました。同じ行くなら沖縄に行って、子供たちや孫の、戦争の知らない世代に、日本で始めて地上戦が行われたところを見せておきたいし、小渕さんが心魂傾けたサミット会場を見せたい、まあこう思って4日間とりましてね、行ったんです」

― 女性天皇は…
渡部 「国会で法律になりますから、政治家の議論になりますね、しかしこんな問題がね、自民党がどうで、民主党がどうで、なんていったら大変なことになりますから、絶対にそういうことはしないで、国民的な合意のもとにスムーズに決めるのが、幸い私無党族ですから、私の務めだと思ってます」
野中 「女性天皇過去にもありましたし、皇室典範の改正だけでことは終わるわけですから、私はそういうことがあってもいいんじゃないかと思いますね。ただ女性天皇になったときに、ご結婚される相手がなかなか大変だろうなあと、そっちが心配するくらいですね」

― 靖国問題は…
渡部

「戦犯の問題ありました。これはいろいろ議論の出るところですね。私だって意見あるんですよ。というのは私、会津です。120年前、あの戊辰戦争の時、長州の人たちが攻めておいでになられて、白虎隊15、6の少年があの飯森山で戦って死んだ。やっぱり白虎隊だって国のために戦って死んだんです。靖国神社には会津を攻めてきて死んだ長州の方は奉ってあるけど、白虎隊は奉ってないんです。

だからね、この際白虎隊も奉って、もうあの時あいつが悪かったこいつが悪かったという話じゃなくて、国のために、尊い命をなくした方を奉ってあるんだと。侵略戦争に賛成したとか反対とか、そういう政治的なことは全くないんだと。素朴な国のために死んでいった人に対する国民の祈りだと。これをね、中国側に理解させれば中国だってそんなにしつこく言ってこないと思うんですよ」


野中

「やっぱり一国の総理ですから、やはりどうしてですね、靖国神社の本体で、サンフランシスコ平和条約で、極東裁判を正当な裁判と認めて我が国は平和条約を結んだというような厳粛な事実をね、やっぱり考えていただきたいし、繰り返して言うように、私はその、サンフランシスコ平和条約を受けてですね、翌年B級、C級戦犯は、靖国神社に昭和28年祀られたわけです。ところが、A級戦犯は祀られなかったんです。それが昭和53年になって、松平大使の時にですね、突然祀られて、翌年ですね、新聞がスクープしてわかった。

以来ですね、昭和天皇は初夏の例祭は別としてお参りにならなくなった。すなわち昭和天皇と今の天皇は、サンフランシスコ条約そのものを忠実にですね、守って、亡くなって戦争で大きな犠牲を強いた、家族に思いをはせながらもですね、日本が戦争が始まってからスタートしたその時をね、謙虚に考えられ厳粛に守ってきてらっしゃると思うんですね」

― 小泉総理に…
渡部 「21日から通常国会始まりますがね、最大の課題が郵政民営化だとか言ってますがね、21世紀を担っていく、最初の総理大臣の言葉としてはさびしいんでね、やっぱり憲法改正に取り組むとか、教育の改革こそ今やらねばならないとかね、日本の国がこれから21世紀どうあるべきか、本気になって考えてほしい」
野中 「小泉さんの言葉が走るばっかりで、全部先送りになってきました。国家の根幹に関わる問題が先送りになっているわけですから、今言われた郵政民営化の問題だけでなく、むしろですね、この国をどうするんだという国の根幹に触れてですね、国家戦略を描いてほしいし、戦後60年にふさわしい年にしてほしい」


一言