放送アーカイブ

  • 放送内容
  • ギャラリー
  • 遺産データ・アクセスガイド

2010年11月28日放送
絵画の旅スペシャルII:都市を愛した印象派

名画を生んだ発明

19世紀後半、それまで路地が入り組んでいたパリは近代的な街に変身していた。
そして、「写真機」「チューブ絵の具」という二つの発明品が登場し、画家を取り巻く環境も変わっていった。
それらの発明は画家たちの画風や描き方にまで影響を与え、それまでの絵画の慣習と決別して一瞬の光をとらえる印象派が生まれたのである。

パリが憧れた日本

19世紀パリを席巻したあるブームがあった。それは日本趣味。
パリ万博をきっかけに紹介された日本の浮世絵に、印象派の画家たちは魅了されたのだ。積極的に自然を描いたり、鮮やかな色を使うなど、浮世絵からの影響を感じさせる作品がいくつも生まれた。
中でもオランダから画家を目指してパリにやってきたゴッホは、浮世絵に心酔し、収集や模写までしていた。
ついには日本に似た光があると信じた南仏アルルに向かうのである。

光をとらえた画家

ゴッホはアルルで出会った強烈な光に魅了された。世界遺産の古都アルルを歩き、あふれる光の中で多くの傑作を生み出す。そして次第に画家たちのユートピアをアルルに建設しようと夢見るようになる。
しかしやって来たのはゴーギャンだけで、共同生活もじき破たん、そしてついには
自ら命を絶つ。200作品を超える傑作を残して。

世界遺産と絵画の世界をテーマにした2週目。
今回の舞台は印象派の生まれたフランスの3都市、ル・アーヴル、パリ、アルル。
それらは世界遺産に登録されている。「印象派」の画家たちは一瞬の光を求め、都市をさまよい新たな時代の絵画を模索した。
そして印象派は都市が近代的な姿に変容を遂げた時代をキャンバスに描きだすことに成功したのである。