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2009年5月24日放送
ベルリンの近代集合住宅群

型破りな色彩の住宅〜ファルケンベルク

ベルリンの近代集合住宅群は、昨年2008年に世界遺産登録されました。
登録された集合住宅は全部で6カ所。そのうち、4カ所が建築家ブルーノ・タウトの設計によるものです。中でも「ファルケンベルク」はタウトが一番最初に設計した集合住宅。当時は、その型破りな色彩構成にタウトの建築に異論を唱えるものが多かった。しかし、そこには住民の生活を一番に考えた設計がなされていたのです。

超巨大集合住宅〜カール・レギン

ベルリンの1920年代。勤労者の深刻な住宅不足を解消すべく、急ピッチで建設が進められた集合住宅は、鉄と、ガラスとコンクリートを駆使し、同じ規格による大量生産の時代がはじまったのです。
その頃、タウトはカール・レギンをはじめ、いくつもの集合住宅を建設。そこには、イギリスの「田園都市」の影響が見られます。
街の便利さと、自然に満ちた農村の魅力をあわせもつ新たな都市。その構想に、彼は青年時代から惹かれていたのです。

タウトの集大成〜ブリッツ

ドイツ最大を誇った、集合住宅の立ち並ぶ中心に、不思議な形の建物…
タウトの集大成とも言える、1925年に着工された、ブリッツの集合住宅です。
タウトは、田園地帯にもともとあった池を生かし、その池を馬蹄形に囲むことにしたのです。集合住宅で田園気分を満喫する。
そのため彼は、「屋外居住空間」というユニークな発想をもちこんだのです。

20世紀はじめ、アメリカに次ぎ、世界第2位の工業国へと躍進したドイツ。
首都ベルリンでは増えつづける人口に対し、住宅不足が深刻な問題となっていました。その頃、建築家ブルーノ・タウトは、鉄やガラスを使ったパビリオンを博覧会に発表、注目されていました。そんな彼に、集合住宅の設計依頼が舞い込んだのです。ベルリンの集合住宅建設には、前衛的な建築家が多く加わりました。しかし、勤労者のための集合住宅は、建設費用を抑えるため、画一的にならざるをえない宿命を抱えていました。そこでタウトは、色彩を多用することで、コストをかけず、同じつくりの家に個性をもたせたのです。ブルーノ・タウトは、現代に繋がるモダンな住まいへの扉を、開きました。目指したのは、勤労者の為のユートピア。

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