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2008年5月4日放送
クィーンズランドの湿潤熱帯地域

世界最古とも呼ばれる「クィーンズランドの森」

グレートバリアリーフの最北端…その目の前に森は広がっている。3億年前の姿を今に残す、巨大なシダ。恐竜のえさになっていたであろうソテツの仲間。その森には、数億年も昔と、ほぼ変わらぬ姿をした植物が生い茂っている。乾燥した大陸・オーストラリアの大地で、クィーンズランドの森だけが何億年も生き延びてきたのである。

神とあがめられた鳥・ヒクイドリ

先住民アボリジニが「神」としてあがめた鳥・ヒクイドリ。恐竜のような脚を持ち、青と赤に彩られたノド、体長は160センチはある。古代の姿を残すこの「飛べない鳥」が、森にとってとても重要な役目を持っている。この鳥がいなければ「森」は滅んでいたかもしれないのだ。

奇妙な生き物たちの楽園

クィーンズランドの森には、他では見られない、奇妙な動物たちが歩き回っている。木に登るカンガルー。卵を産む哺乳類、かものはし。蛍光色をしたナナフシの仲間、ペパーミントスティック。他の大陸では見られない不思議な動物たちが、この森には今も生き続けている。

クィーンズランドの森は41の国立公園からなっている。その周辺も含め、森には他では見ることのできない変わった動物たちが闊歩している。森が生き延びるためには、そこにすむ動物たちが大きな役目を担っている。その中でも大人の背丈ほどある「飛べない鳥・ヒクイドリ」が重要なのだ。この大きな鳥は、150 種ものフルーツを食べ、その種を遠くに運んでくれる。そのため、森は広がっていったのである。しかし、現在ヒクイドリは「絶滅危惧種」。ヒクイドリがいなくなると、森はその豊かさを失ってしまうのだ。

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