
奈良は聖なる山に抱かれた都であった。 春日大社の神体山である春日山・御蓋山は古代から神々の宿る山として崇められ、1150年もの間、一切の伐採も狩猟も禁じられている。 |
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その春日山の最高所、高嶽に鎮座する神野神社。 春日大社造営以前から春日山に祭られていたのではないかともいわれる水分神である。 聖なる山の頂に位置し、都に住む人々の生活用水を守り続けているとされる。 |
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奈良・西ノ京。古寺巡礼のハイライトとして親しまれてきた薬師寺で戦国の戦火を生き延び境内に創建時から唯一残る遺構、東塔。 かつてそのたたずまいをフェノロサは「凍れる音楽」と称賛した。 |
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そんな静かな古刹が今、変身を遂げている。創建当時そのままの伽藍が再建されようとしているのだ。 歴史を刻む東塔と、朱も眩い西塔。僧侶たち、そして奈良を愛する人たちの努力が東西両塔を1200歳違いの兄弟として甦らせた。 次の1000年に踏み出した平城の都の姿がここにある。 |
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