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盤師

1月22日(月)放送

最年少プロ、藤井4段の誕生で世間の注目が集まる将棋界。繰り広げられる名勝負、それを影から支えて来た職人がいます。
「盤」を作り続けてこの道45年、吉田寅義(よしだとらよし)さん。埼玉県行田(ぎょうだ)市にある「吉田碁盤店」の三代目です。

吉田さん「タイトル戦とかプロの先生が使ってくれるのは仕事冥利に尽きる」

機械で作られる盤がほとんどの中、吉田さんは手作りにこだわります。盤に使う木材は国産の「榧(かや)の木」。

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「柾取り」という技法で切り取られた榧の木の塊は、一つあたりおよそ200万円から300万円にもなると言われるものです。打ち味、打音(だおん)、木目、色つや、香りなど全てにおいて極上。樹齢300年以上の榧の木を10年以上、自然乾燥させます。最高の状態にまで乾燥させた榧の木にカンナをかけます。このカンナがけこそ、何十年先もひずみのない盤を作る上で重要な工程。

吉田さん「愛してるって言うんですか…この木を何とか少しでもキレイに作ろうかっていうのが伝わる」

そして、盤の裏の中央にノミを入れます。

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これは「ヘソ」と呼ばれ、この凹みが湿気を逃し、ゆがみや割れを防ぎます。さらに駒を置いた時の響きを良くする効果も。

続いて脚作り。
吉田さん「昔は盤をみて脚を見ると誰が作ったのかわかる。そのくらい個性があって名人と呼ばれる脚がある」
脚の形はクチナシの実。

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「対局中、打ち手は集中し無言、周りの人間は口出し無し」その「口無し」にかけて江戸時代からこの形になったそうです。

そして、神棚に柏手を打って取り出したのは…

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なんと日本刀。室町時代に作られた由緒あるもの。刃は完全に潰してあります。さらに「漆」を用意して…盤に刀の刃を当ててゆくと。

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盤面に漆の直線が! この技こそ代々受け継がれる「太刀盛り」。刀の反りを上手く利用すると、漆の盛り上がりが高く線がくっきり。盤作りで最も神経を使う作業。寸分違わない升目、熟練の技です。

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吉田さん「やっぱり線の美しさに自分たちが惚れている。大げさに言うと1本1本命を吹き込んでいる」
盤上で繰り広げられる熱戦、これを支える盤職人は、日本に今や数人。これからもこの伝統技術が守られていくといいですね。

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