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BACK NUMBER #610 2018.3.17 O.A.

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現役最年長野手・松井稼頭央 復帰までの舞台裏に独占密着
2018年のプロ野球は古巣に復帰したかつてのレジェンドたちの活躍が鍵を握るかもしれない。この男もその1人。埼玉西武ライオンズ・松井稼頭央(42)。

2018年2月、2008年に日本一になって以来10年もの間、リーグ優勝から遠ざかっている埼玉西武の春季キャンプは、15年ぶりに復帰したこの男の話題で沸き立っていた。日本球界で現役日本人野手最年長42歳。だが、その練習量は凄まじい。辻監督が打ち続けるノックを休みなく30分受け、さらには全体練習。そして居残りでバッティング練習にまで取り組む。今シーズンにかける松井の並々ならぬ意気込みが感じられた。
しかし、この春季キャンプのわずか3か月前、松井はどん底にいた。『現役引退』野球人生最大の危機。復帰までの舞台裏に独占密着。
1993年、名門PL学園から西武に入団した松井は、多くのタイトルをものにし、走攻守、どれもが超一流だった。中でもファンを魅了したのは華麗な守備。驚くべき守備範囲の広さと、日本人離れした肩の強さで「日本プロ野球史上、最高のショート」と呼ばれた。2003年オフ、28歳でメジャーリーグに挑戦。そのデビュー戦で松井は全米の度肝を抜く。センターバックスクリーンにボールをたたき込んだ。メジャー初打席、初球でのホームランは史上初の快挙。その後、ポジションをセカンドに移し、日本人メジャーリーガー初の内野手として、8年に渡って3つの球団で活躍した。
そんな松井が日本に戻ったのは、2010年のオフ、35歳の時。古巣西武ではなく東北楽天に入団した。その鉄壁の守備は、30代半ばとは思えない動きで「衰え」などという言葉を微塵も感じさせなかった。2013年には、37歳で125試合に出場。日本一に貢献した。彼は、才能に恵まれ、数々の栄光を手にしてきたと見えるかも知れない。しかし松井をよく知る者は口を揃えてこう言う。「努力の天才」だと。松井は自分の野球に満足するなどありえなかった。1年でも1日でも長く現役を続けたい。そのために彼は驚くべき決断を下す。
2015年、なんと華麗な守備を見せ続けてきた不動のレギュラーポジョンのショートを捨て、外野手へのコンバートを自ら申し出たのだ。通常こんな形でのコンバートなどありえない。現役を続けるためならなんでもやる。そんな松井の覚悟。
2017年、41歳、24年目のシーズンを迎えた松井は開幕から1軍で試合に出場。しかし、バットは湿り打率は0.211と過去最低にまで落ち、8月には2軍降格を命じられた。年齢的に限界ではと囁く声もあったが、松井は意に介さなかった。最高の自分を取り戻すには練習をするしかない。ひたすら打ち込み続けた。しかし、1軍が激しい順位争いの真っ只中にいた9月、それは宣告された。「現役を引退し、指導者になって欲しい」それが球団の意志だった。しかし松井の現役続行への強い思いは、微塵も揺らいでいなかった。コーチ打診を断り、松井は東北楽天を退団。現役続行への道を模索することになった。いつ、どこからオファーがきても対応できるよう練習を続ける。しかし、先が見えない状況が、これほど辛いとは…。プロ24年目で初めて知った。
楽天退団から21日、そんな松井にようやく吉報が届く。コーチ兼任という条件で、オファーしてきたのは、古巣・埼玉西武ライオンズ。若手選手が台頭し、更なる強化に力を貸して欲しいと白羽の矢が立った。こうして松井は15年ぶりに、西武に復帰。現役にこだわる男は、プロ25年目のシーズンへ。再びの新戦力が、チームにどんな化学反応を起こすのか、開幕が待たれる。
自分はまだやれる。その気持ちがある限り、42歳にしてなお松井稼頭央が挑戦を辞めることはない。来年も、さらにその先もグラウンドでこの男を見ていたい。
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